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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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混沌とした世界(前編)-5

初日に、ガルドは3試合を圧勝した。

(ソフィアが出場させて、俺が見物でもよかったかもな、この程度の連中なら)

素手だろうが、闘技場にある倉庫にある
武器や防具を使ってもいい。ただし、持ち込んだ武器や防具は使えないというルールだった。持ち込んだ刃物に毒を塗って試合をした者が過去にいたので、私物の武器や防具の使用は、禁止になったらしい。
槍、長剣、片手剣、メイス、棍棒、ナイフなど近接武器や弓などの遠距離武器、鎖に棘がついた鉄球、鞭などガルドが見慣れていない武器などもあった。
防具も兜、盾、革鎧、チェーンメイル、甲冑といろいろ用意されていた。
敷石の範囲から出すか、相手を気絶して起き上がれなくすれば勝ちである。真四角の敷石の範囲の外側の四隅には、審判が4人いる。闘士が審判に降参を宣言した場合も試合終了となる。
敷石1枚が一歩。真四角の試合場は、一辺あたり34歩ほどの広さがある。初めの試合はこの試合場に、闘士3人で上がらされた。闘士3人だと試合場は狭く感じる。

ガルドは革鎧にガントレットを両腕に装着していた。指先から前腕部だけ金属の防具で覆われている。

対戦相手は、どちらも片手剣に丸盾、チェーンメイルを着込み、金属の兜をかぶっている。どうやら、この装備で剣で打ち合い、相手を場外まで追い込むのが定番のやり方らしい。

ガルドは相手の剣の打ち込みを腕を振って払い、さらに踏み込み、ガントレットの握り拳でみぞおちのあたりを強打していく。
相手が打撃の衝撃にたじろぎ後退する。
背後から斬りかかってきた相手を、咄嗟に振り向き蹴り飛ばす。殴られた相手は転倒しなかったが、斬りかかり蹴られた相手は倒れ込んだ。
ガルドは、子供の頃からオークたちと力任せに殴り合いをしてきた。
蹴るために背中を見せたガルドに斬りかかった闘士の剣が場外へ飛んだ。
ガルドが振り向きざまに相手の手元をガントレットを装着した腕で払ったので、衝突の衝撃に、剣を握っていられなかったのだ。
剣をはじき飛ばされた闘士が慌てながら後退する動きに、ガルドが連続で殴りつける。たしかにチェーンメイルは剣の刃で斬られるのを完璧に防ぐが、真っ直ぐ打ち込こんでくる衝撃は防げない。
うずくまる相手を蹴り、場外へ出すと起き上ががってきた相手へガルドはゆっくりと歩いていく。
盾で打撃を防ぎ、その隙に斬りつければガルドは戦えなくなると相手は盾をかざしながら、ガルドに突進してきた。
ガルドは脇へ身を避けながら、相手に足をかけた。
前のめりに転倒した相手の背中をガルドは踏みつけた。
相手は起き上がれない。両手がふさがったまま前のめりに転倒して強く胸を敷石に打つ瞬間に、背中を踏まれた。
剣でガルドの足を払うように斬りつける余裕はなかった。
相手の闘士は胸を強打していて、息が一瞬うまくできない。
ガルドは相手から兜を剥ぎ取り、放り投げ、頭部をがっしりつかんで言った。

「なあ、気絶するまで頭を叩きつけられたいか?」

ゴンッと額を敷石に叩きつけられる。これが3回繰り返されたところで、悲鳴を上げた相手が降参を宣言した。

観客は見たことのない戦い方を見せたガルドが勝利するまで、息を飲んで見つめていた。

「ソフィア、次は俺も剣を使ってみる」

ガルドは、片手剣ではなく両手用の無骨な大剣と革鎧という装備で試合に出てきて、相手の兜の上に一撃を入れて、一瞬で試合が終わった。
打ち込まれた兜が割られていた。一撃の衝撃に相手の闘士は気絶していた。

(やっぱり、ガルドの相手になりそうな相手ではないわね)

初戦、2回戦を圧倒的な実力差を見せつけてガルドは勝利した。
3回戦からは、観客たちが試合ごとに賭けを始める。

「ソフィア、次の試合は俺にありったけの金を賭けておけよ。俺に勝たせないように準備した奴が呼ばれて来るだろうから、俺に賭けておけばいい稼ぎになる」

3試合目の相手は控え室にはいなかった闘士があらわれた。
全身を甲冑で防御している相手は、両手にモーニングスターを握っていた。
ガルドの方が相手より体格は大きいが、今までの試合とちがい、ガルドを負傷させるか殺して決着をつける気なのが、観客にも明らかにわかる。
甲冑は重く動きは遅い。だが、モーニングスターの一撃は甲冑を装備していなければ一撃でも深刻なダメージを受ける。
モーニングスターは棍棒の先に棘のついた重い鉄球をつけた武器で、片手剣の刀身ぐらいなら一撃で曲げてしまう。

観客は闘牛バロウと呼ばれている相手を殺害してしまうために優勝したことがない闘士が、ガルドの次の相手とわかり、観客たちの賭け金はほぼ闘牛の勝利に賭けられていた。
ソフィアはガルドの勝利に、旅の費用をすべて賭けた。
闘牛バロウは観客たちにまぎれて、ガルドの勝利に賭けているソフィアを見ていた。ガルドに勝てば、あの凛々しい美しい顔立ちで、周囲の観客を無視して、強気に恋人の勝利に賭けている青年を、自分の好き放題にできると舌舐めずりをしてその場を離れた。
闘牛バロウはソフィアが賭けているのを見るまでは、ガルドを殺す気で試合を行う気ではなかった。
とても美しい青年を恋人にしているガルドに、闘牛バロウは嫉妬していた。

「お前っ、殺す、か、覚悟しろ!」

闘牛バロウは、甲冑の下からガルドに叫んだ。観客が歓声を上げる。

(悪趣味な観客どもだ。俺が撲殺されるのを見られると思って興奮してやがる)

ガルドが倉庫で甲冑を確認していた。視界が狭い。チェーンメイルよりも重さは感じないが、間接部分の構造で動きにくさがある。移動の動きは鈍くなる。
初戦で甲冑の両腕部分にあたるガントレットを試しにガルドは装着してみたが、脚部の間接よりも肘の間接部分は動かしやすい。
近づけば強烈なモーニングスターの打撃が襲ってくる。
全身が覆われていて、甲冑内部は熱がこもり、息苦しさかある。


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