投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最初へ Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 296 Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 298 Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最後へ

レナードの覚醒(後編)-1

セレスティーヌは精霊たちに、レナードの命を助けることに、どんな意味があるのかを、マキシミリアンが口にしない事実を教えた。
レナードを犠牲にして、ターレン王国の侵略を企む国王を殺害すれば、戦を起こそうとする国王がいなくなる。

「マキシミリアンは、それでもレナードを助けたいと考えています。しかし、戦が起こそうとする国王が生きていれば、また辺境地帯で貴女たちのような犠牲者が出る心配の種が残ります。だから、よく考えてみてほしい。でも、マキシミリアンは戦が起きることを望んでいるわけではないの。レナードを助けて、リーナに会わせてあげたいと考えているだけ。アルテリスも、レナードの命を犠牲にすることを許さないでしょう。目の前で命が奪われようとしているレナードを見殺しにできるようなら、苦労してここまで連れて逃げて来たりはしません。貴女たちは選ぶことができる。私にできることは、貴女たちが選んだことに協力するだけです」

(どうしよう?)
(セレスティーヌ、戦を止めさせることはできないの?)

「ターレン国王が行った遠征軍の最初の遠征軍の出兵は、貴女たちと同じように犠牲になった人たちの怨みの力もあり、異界の門が開かれたことで、兵士や村人たちが祟られ、人間ではないものに変わり果てることで犠牲になりました。ランベール王が崩御したあと新たな国王が玉座についたとして、辺境地帯やニアキス丘陵をターレン王の領土にしたいと望む者や、ゼルキス王国を侵略したい者が多ければ、また戦が起きるでしょう。ストラウク伯爵やテスティーノ伯爵のように戦を心から望まない者が国王であれば、戦を止められるかもしれません。今のターレン王国の国王は、それができなかった人物です。私はレナードの命を助けなければ、蛇神の異界の門が祓えても再び開かれ、障気の影響から戦を望む者が増えたり、穢れによる祟りが大陸各地で起きると思っています。そうなれば、いずれは辺境地帯だけでなく大陸各地で犠牲者は増えるでしょう」

蛇神の異界の障気に心が影響された者たちによって、戦乱の時代が始まる。
蛇神ナーガが異界に封じ込められているように、愛と豊穣の女神ラーナの化身のリーナは、ダンジョンに封じ込められた状況のまま、レナードの生まれ変わりの者があらわれるのを待ち続ける。

「レナードを助けても、犠牲にしても、人数のちがいはあっても、戦を仕掛けようとする者がいたり、戦が起きれば、貴女たちのような犠牲者は必ず出るでしょう。レナード自身が心を取り戻したあとで、どのような世界を望むのかも、私や貴女たちにはわからない。今は、貴女たちは選ぶことができます。レナードの命を犠牲にするか、命を助けるか。今のまま、貴女たちがレナードが命尽きる日まで見守り続けることもできる。ランベール王の命が尽きれば、レナードも道づれにされて死んでしまいます。アルテリスやマリカ、そして貴女たちは知らずにランベール王の命を守ってきた。ゼルキス王国とターレン王国の戦が起きれば、ランベール王を、聖騎士ミレイユや神聖騎士団の騎士たち、レナードの父親のクリフトフ将軍は討ち取るでしょう。そうなれば、やはりレナードは死にます。このレナードとランベール王の呪いは、神聖教団が仕組んだものとマキシミリアンは考えているようです。神聖教団がなぜターレン王国の国王に対する呪詛を仕掛けさせたのかも、明確な理由は今のところわかりません」

ランベール王の肉体が完全に死ねば、ローマン王の亡霊はランベール王の肉体を手放さなければならなくなる。一緒に滅びてしまうからである。

「レナードの命を守るために、貴女たちがレナードに融合することは、ランベール王の命を助けることにもなるでしょうが、私やマキシミリアンは、レナードをリーナの伴侶とするためにレナードを迎えに来ました」

(レナードとリーナが結婚するの?)

「今の虚脱したレナードでは結婚することはできません。伴侶となるということは、ストラウク伯爵とマリカのように心のつながりを誓うということです。貴女たちもマリカの心を感じることができているでしょう?」

(マリカはスト様が大好き)
(スト様もマリカが大好き)

「そうです。リーナがレナードを好きでも、レナードが今の状態では結婚できません」

(レナードとリーナが結婚すると、どうなるの?)

「マキシミリアンは、蛇神ナーガの人の心に与える影響が今よりも弱まると考えているようです。しかし、これもやってみなければわからないことです」

凌辱されて殺害された強い怨みから亡霊になり、亡霊からリーナの祈りで怨みから解かれて精霊と変化した5人の命が、今、目の前にある。

(レナードは私たちと結婚して、リーナとも結婚するの?)

「そういうことになりますね。6人の命の伴侶となるのですから」
「セレスティーヌ様、この子たちもレナードと結婚するんですか?」
「私の娘のミレイユは、夜の女王ノクティスと伴侶となることで融合し、異界から召喚され生還しました。レナードと精霊たちが融合するということは、この精霊たちと結婚するのと同じです。レナードは、6人の花嫁を迎えることになるでしょう」

マリカにはわからなかったが、精霊たちはレナードに惚れているのではなく、僧侶のリーナに惚れている5人の女性たちの命なのだった。

(セレスティーヌ、レナードと一緒に、私たちもリーナと結婚するの?)

「レナードとの融合に成功すれば、私とマキシミリアンがリーナのところへ、レナードを連れて行ってあげます。レナードがリーナと結婚すれば、貴女たちはリーナと結婚することになりますよ」

セレスティーヌは精霊たちにマキシミリアンが説明不足なことを教えた。

「レナードも心から貴女たちとリーナの6人を愛さなければ、ランベール王の道づれになり命を落とすことになるのですから、とても大変なことです」
「セレスティーヌ様、そうですよね」


Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最初へ Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 296 Sorcery doll (ソーサリー・ドール) 298 Sorcery doll (ソーサリー・ドール)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前