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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(後編)-6

宮廷議会の重鎮モルガン男爵が殺害されたことで、ランベール王が宮廷議会に積極的に参列していた。宮廷議会の3ヶ月ごとの定例会議が行われる。6月の定例会議までランベール王が昏睡した状態であれば、ゴーディエ男爵と法務官レギーネであれ隠し続けることは難しい。
あと2ヶ月半のあいだ、定例会議以外で何か大きな問題が起きて緊急会議が行われることを避けなければならない。

マキシミリアンの儀式によって、精霊たちの記憶とレナードの断片となっていた記憶などが結びつき、虚脱していた肉体から、小顔で小ぶりな胸のふくらみをもつ少女のような容姿の身体と変化したレナードは、目を覚ました時には僧侶リーナのことを思い出していた。
正確には、精霊たちの記憶によって、アルテリスとの旅の記憶や、マキシミリアンとセレスティーヌの記憶によって、世界樹の精霊の特殊なドリアードとなったリーナの容姿や声までレナードは思い浮かべることができた。居間でアルテリスと顔を合わせるときには、自分が女体化するまでの物事の流れを理解していた。
レナードはさらさらとした涙を流しながら目を覚まし、自分が泣いていることに気づいた。まだ、なぜ泣いているのかわからないまま、上半身を起こして部屋にさしこむ丸窓の障子ごしの柔らかい朝の陽光を見つめた。

ランベールの肉体は虚脱の眠りにつき、衰弱死をもたらす呪いのつながりから逃れたレナードは、ロンダール伯爵に見つかれば、僕の邸宅で一緒に僕の妹になって暮らさないかと誘われるような可愛らしく美しい女体化をして目を覚ました。

神聖教団の本部がある大山脈の都ハユウの神殿では、昨夜、星詠みの占星術で吉凶を占っていた女神官たちが女神像のある祭壇の前に集まっていた。
女神ラーナの降臨の兆しがあらわれたからであった。

ブラウエル伯爵領のジャクリーヌ婦人の邸宅では、ジャクリーヌ婦人の寝室で眠ってしまったロイドが、朝勃ちした逸物を愛しそうな表情のジャクリーヌ婦人に咥えられていた。

バーデルの都とロンダール伯爵領の境界あたりにある職人の村ドレチの邸宅で、ニルスとエイミーがベッドで全裸で寄り添い、おだやかな寝息を立てている。

アルテリスは眠っているテスティーノ伯爵を起こそうとして、まだ夢うつつのテスティーノ伯爵に抱き寄せられてしまい起こすのをあきらめていた。テスティーノ伯爵に密着した肌や、抱き寄せている手がとても気持ちいい。
アルテリスもマキシミリアンの儀式は気になっていた。テスティーノ伯爵は、アルテリスが悪気なく儀式を妨害しかねないと思い、アルテリスが気持ち良すぎて気絶するぐらい念を込めて交わった。
朝からアルテリスは、まだ自分の牝の花がまた濡れているような気がして恥ずかしくなりながら、テスティーノ伯爵に腕枕をされていた。目を覚ましてすぐにレナードの儀式が成功したらしいのを感じて、テスティーノ伯爵に知らせようと思った。昨夜はテスティーノ伯爵はアルテリスを激しく求めてきて、さすがに疲れたのかもと思い、もう起こそうとするのをやめた。しばらくこうして静かにくっついていたい、なんか幸せと思い、ゆっくりと目を閉じた。
テスティーノ伯爵は、なんで昨夜、自分が昴ぶったのかわかっていない。この数日、賢者マキシミリアンと接していて、マリカがセレスティーヌと行動をともにしていて、感応力が上がっているようにテスティーノ伯爵にも影響があった。魔力が少し上がっている。

バーデルの都では、執政官ギレスが悪夢にうなされて目を覚まし、荒い息を吐き背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
牢の拷問室でシャンリーに蛇神のナイフで腹を裂かれていて、それを妖しい微笑を浮かべたシャンリーと、フェルベーク伯爵が無表情で見つめている悪夢。
恐ろしいのは、夢のなかで死にかけながら、ギレスは興奮して射精してしまっていたことだった。

(シャンリーは、火炙りにされて処刑された。それを俺は王都まて行って見たのに、まだ、こんな夢をみるとは)

領主不在のバーデルの都で盗賊団と、もともと都の警備を任されていた衛兵隊が闇市を開き都を占拠していた。
女伯爵シャンリーが、フェルベーク伯爵領やロンダール伯爵領で集めた兵士を連れて、バーデルの都を解放しない歴史もあった。
シャンリーが王都トルネリカの後宮で、ランベール王の妻妾の黒薔薇婦人としてバーデルの都の領主の地位を望まなかったら、という歴史である。
ランベール王としてローマン王の亡霊がゴーディエ男爵を側近にすることや、モルガン男爵が令嬢ソフィアに誅殺されることもない歴史の可能性があった。
ザイフェルトが学者モンテサンドの元から離れ、王都トルネリカで、モルガン男爵の暗殺を決行する。
ギレスはバーデルの都の執政官になることもなく、バーデルの都を占拠している盗賊団と警備隊、どちらかの集団に身を置いていただろう。

何人もの人々の運命の選択が関係して、歴史が作り上げられていく。神と呼ばれる存在が人々を操っているのではない。むしろ、世界の人々の心や、行動の選択が、神と呼ばれもするものに影響を与えている。

蛇神の淫獄に生きたまま連れ去られた辺境の村で暮らしていた村娘は、レナードの容姿が変化していても、執政官ギレスが悪夢でうなされていようと、快感に溺れさせられていた。
うわごとのようにあえぎ声を洩らして、身をよじらせている裸身の柔肌は、蛇のごとき触手にまとわりついたヌメヌメとした粘液まみれにされ、薄暗いが淡く発光している洞窟の中で妖しく照らされている。
村娘フェミルを責め苛むものは、蛇神の贄にされた亡霊や先に異界へ連れ去られた犠牲者たちの成れの果て。怨霊と化したものは、村娘フェミルが異界に取り込まれるか、怨霊となるまで何度でも快感を与え続ける。
村娘フェミルの運命の選択は、村から出て食用の野草を採取に森へ踏み込んだことだった。
村娘フェミルには同じ村に、年齢の近い恋人がいて愛し合う悦びも知っていた。


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