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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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レナードの覚醒(前編)-2

リーナは蛇神の錫杖から賢者の石へと錬成された時、ガルドの母親であるルーシーの種族を越えた愛情や細工師ロエルの弟子セストに対する愛情の力を感じ、リーナの心の中のレナードへの愛情がさらに強まった。愛情の力は、賢者の石へ錬成される時に強く作用し、錬成の助けとなった。

賢者の石からマキシミリアンがダンジョンの力を使って、リーナの心や記憶を残したまま錬成召喚しようとして、森林の樹木ではなく、エルフ族が王国で守り続けている世界樹のドライアドになったのか、賢者マキシミリアンはわからないとリーナに錬成召喚成功後に、エルフ族の妻セレスティーヌが拗ねている間にリーナと語り合った。

「えっ、本当にわからないのですか?」

呆れてリーナは、マキシミリアンに思わず聞き返してしまった。
マキシミリアンの愛情が強い相手は、エルフ族の妻セレスティーヌだった。その影響で世界樹の精霊であったり、樹木と身体が融合した魔物娘の容姿ではなく、エルフ族と人間を合わせたような容姿として身体が錬成召喚された。
指摘されたマキシミリアンが、リーナにとても照れていたことをセレスティーヌは聞いた。セレスティーヌも、リーナの目の前で、顔だけでなく耳の先まで真っ赤になって照れていた。

人間から魔族へ覚醒して変化するよりも僧侶リーナは、人間から蛇神の錫杖、蛇神の錫杖から賢者の石、賢者の石から特別な世界樹の精霊族のドライアドに変化するという試練を乗り越えた。
それも自分自身の強い恋心だけでなく、変化に関わった人たちの愛情という心の力の影響で変化に成功した。
蛇神の神官だった怨霊たちの蛇神ナーガに愛されたいという渇望も、また愛情であった。リーナの心の中にレナードに対する恋心から、僧侶ではない自分になれたらという想像も強く意識しないまま心の底にはあった。そこにつけこまれて身体を奪われ、蛇神の錫杖へ心が封じ込められることになった。しかし、身体を奪われる原因になった恋心が、異界から脱出する力にもなった。

賢者マキシミリアンは、愛情を魔法の力に変えて大きく影響させたリーナの正体が、愛と豊穣の女神ラーナの化身なのではないかと鋭い推察を、妻のセレスティーヌに仲直りして語っている。
夜の女王ノクティスが魔剣の半身を持ちながら、ミレイユに融合して、聖騎士として、夜の女王ノクティスの化身となっている。
リーナが愛と豊穣の女神ラーナの化身なので、蛇神ナーガが花嫁としてリーナを狙い、伴侶となることで蛇神ナーガは愛と豊穣の女神ラーナの世界へ戻ろうとしている。
マキシミリアンはこの推察を、リーナには話さずにおいた。

リーナがダンジョンで、マキシミリアンの愛情の影響を受けた世界樹の精霊ドライアドになったことで、ターレン王国では、運命の変化が起こっている。
獣人娘アルテリスが、テスティーノ伯爵と恋に落ちた。テスティーノ伯爵もアルテリスに強い愛情を抱いた。
ストラウク伯爵を子供の頃から恋慕ってきたマリカが、ストラウク伯爵の伴侶となり、巫女の修行をしながら一緒に暮らし始める。
前世では傾国の美女であったヘレーネが子爵リーフェンシュタールの心が、前世のローザという女性だと知り、テスティーノ伯爵と恋に落ちた獣人娘アルテリスを諦めて、愛情を抱きリーフェンシュタールと結婚した。
子爵カルヴィーノと酒場娘シナエルの出会いと恋愛、そして結婚。
蛇神の錫杖がダンジョンで賢者マキシミリアンに発見された時には、騎士ガルドにモルガン男爵の令嬢ソフィアが恋をしている。
ザイフェルトとフリーデがかなりの障害を乗り越えて再会し、ストラウク伯爵領でさらにおたがいの愛情を深め合った。
ブラウエル伯爵と子爵ヨハンネスの恋愛と結婚。
ランベール王の4人の愛妾たちの関係。踊り子アルバータは、ゴーディエ男爵に恋心を抱いていたが、踊り子と名門貴族では身分違いだと恋心を隠していた。
ロイドとジャクリーヌ婦人と4人のメイドたちの恋愛関係。
ロンダール伯爵と腹違いの妹のメイドのアナベルの愛情。
他にも多くの者たちが、愛と豊穣の女神ラーナの化身リーナと影響を受け合い、運命が変わった。

蛇神ナーガの異界から脱出した時も、獣人娘アルテリスにレナードの事がやはり心配で会いに行ってもらえるように頼んだ時も、リーナは女神の化身ではなく、ひとりの女性として、何度も運命の選択を続けてきた。
僧侶として自らの心を犠牲にして他人のために生きるべきか。
それとも僧侶の立場を捨て恋するひとりの女性として、自由に生きるべきか。

マキシミリアンは、僧侶どころか彼女自身が女神ラーナの化身だと知ったら、今よりも葛藤して悩み、リーナの選択しだいでは、世界は古代エルフ族が魔族を討伐した頃よりも大混乱が起きる。
女神ラーナの化身として、リーナが蛇神の花嫁として身を捧げる。そうすれば他の女性たちが犠牲にならないと自らを犠牲にする決断をしたとしたら、蛇神ナーガの異界がこの世界と融合する。
ダンジョンの上層階のように魔獣から身を守る力のないものは、たやすく襲われて餌にされてしまうだろう。
ダンジョンの上層階で死亡したハンターの遺体は、ダンジョンへ吸収されてしまうのである。
賢者マキシミリアンは、蛇神ナーガに愛と豊穣の女神ラーナの化身リーナが奪われた世界を想像してみた。
人の遺体すら残らず吸収されてしまう世界となるだろうと、マキシミリアンは想像した。

リヒター伯爵が呪いの眠りについている間にみた夢。ロンダール伯爵の身代わりとしてメイドのアナベルがみた夢。
リヒター伯爵やメイドのアナベルが同じように、蛇神ナーガの異界の夢をみたのは、このふたりは自分が犠牲になり大切な人を救えるなら、愛情深いゆえに、愛する人のため犠牲になることを選ぶ性格の者たちだからである。
僧侶リーナは、蛇神ナーガの異界で神官たちの怨霊に身体を奪われ、他人のために犠牲になっても救いにならないこともある事を見せつけられた。


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