ザイフェルトの修行と厄祓い(中編)-5
「ザイフェルト、貴方がこれから誰かを殺めても、避けたりしません。私を憎んで殺めたとしても、怨んだりしません。私は誰かに殺されるなら、貴方に殺されたい。もし犯されるなら、貴方に犯されたい。貴方が人を殺めてしまった罪を悔いて生きていくのなら、私も貴方ではない人たちに体を許した自分の淫らで愚かな罪を悔いて生きていく。他の人に体を許してわかったのは、それでも、ザイフェルトを愛しているってことだけ。この気持ちは、どうしたら貴方に伝わるのでしょう?」
「俺も気持ちをフリーデに伝えたい」
「さわってください。ザイフェルトの手から、私も貴方の気持ちを感じられるかもしれません」
フリーデはザイフェルトの手を、自分の左の乳房のふくらみの上にふれさせた。ザイフェルトは、フリーデの乳房のふくらみを握ったまま動かさず、ゆっくりと目を閉じた。
ザイフェルトとフリーデは、言葉では伝えきれない想いを伝えたいと望んた。
「ザイフェルト、貴方の手がすこし汗ばんでいるのがわかります」
フリーデも目を閉じて、ザイフェルトの手を感じようとしてみた。
ザイフェルトはフリーデの乳房のふくらみをゆっくりと揉みしだいた。フリーデの唇からは、熱い吐息と嬌声がこぼれ始めた。フリーデはザイフェルトの浴衣の帯紐を解いた。
(ザイフェルト、貴方は目隠しをされて愛撫されたことなんてないですよね)
「ザイフェルト、今から貴方にこれで目隠しをします。見えないから、音や手ざわりがよくわかるようになります」
ザイフェルトは上体を起こし、目を閉じてフリーデが包帯を巻くように、帯紐を目隠しにするのを受け入れた。
少しきつくまぶたの上が押さえ込まれ、自分で目を閉じているよりもまぶた越しの光を感じなくなった。
「今、さわっているのは私の耳。少しずつ下ろして。指先がふれているのは首。そのまま下に。撫でているそこが肩」
「見えてないが、わかってきた。右肩がここなら、左肩はこのあたりか?」
ザイフェルトが左肩の丸みを指先と手のひらで撫でた。そして、首から左の耳まで体の線をたどってふれた。
手をゆっくりとすべらせ、ザイフェルトはフリーデの両肩をつかむと腕で包むように抱き寄せた。
「胸のあたりに今、顔がある。息がかかるからわかる」
「ふふっ、こうしたら、もっとわかりますね」
フリーデはザイフェルトの左の乳首を唇でチュッと吸って、チロチロと舌先で舐め転がした。ピクッとザイフェルトが小さく身を震わせ、フリーデの髪をそっと撫でた。
「ザイフェルト、私の唇や舌を感じましたか?」
「わかる。唇も舌も、とても柔らかい。とても気持ちいいよ、フリーデ」
ザイフェルトは、目を使わずにフリーデの気配や愛撫の感触を感じ取っていた。
アルテリスが護りの精霊を連れて居間から去ったあと、ストラウク伯爵は目隠しをして交わるのをフリーデに教えた。
「マリカさんとそういうこともなさっているのですか?」
マリカは酒を飲んでいないのに、耳まで真っ赤になり、驚いているフリーデと目があってもじもじとしていた。
「マリカの感覚を研ぎ澄ますためにな。ザイフェルトは、気配をつかむことが今まで目や考えることに頼っていたのでわからず、悩んでいる。フリーデ、ザイフェルトの修行を手伝ってみないかね」
「帯紐で目を隠してしまったら、どこにさわられるかわからないのではありませんか?」
「そうでもない。マリカ、どうかな?」
「唇を重ねたすぐあとは、頭は顔のそばにありますよね。だから、手をのばして胸はさわれても、脚をのばした足の小指には手はとどきません。体を撫でられていると、次はこのあたりに手がくるなとか、わかってくるんです。太腿の内側を撫でようとして、脚を撫でているときには、私に脚を開いて欲しいのかなとか、スト様がどんなことを考えてるのかも、なんとなくわかったりします」
「そういうことだ。逆に私にマリカが目隠しをすることもある。マリカが次はどこに愛撫するか、癖みたいなものがわかってくる。すると、灯籠の明かりがなく真っ暗でも手でふれあって、肌を合わせていれば、どこに何があるのかわかるようにだってなる」
「スト様、あの、わ、私も温泉に入ってきますね!」
マリカが恥ずかしさに耐えきれなくなって、腰を上げ、酒の空っぽになった小壺などを片づけ始めてその場を離れた。
フリーデがザイフェルトの腰の上にまたがり、ザイフェルトがつないだ手で支えるようにして騎乗位になった。
ザイフェルトは自分の勃起して猛った逸物が、フリーデの膣内で優しく包まれているのを感じている。
フリーデがゆっくりと腰を動かし、切なげな牝のあえぎ声を上げ、何度もザイフェルトの名前を呼ぶ。
ザイフェルトは、フリーデの膣の濡れた肉壁が締めつけてくるのを、見えないが感じている。フリーデの手がザイフェルトの手をぎゅっと握り返してくると、フリーデの見えない膣内がぎゅむぎゅむと搾り取るような牝の淫らな締めつけを起こすのがわかった。
(ああっ、わかる、私にもわかります。ザイフェルトが興奮して、でも達しそうなのを我慢してるのがわかります)
「あぁっ、ザイフェルト、このまま私の中に、貴方の熱いものを出して下さい、あふっ、ああっ、んっ、んっ!」
ザイフェルトはフリーデも感じて、昴ぶっていて、絶頂まで達するにはもう少しというところまでになっているのがわかった。しかし、このままでは、フリーデより先に、ザイフェルトのほうが射精して達してしまう。
「んあっ、ザイフェルト、は、激しい、あっ、あああっ、んあっ、あぁん!」
ザイフェルトは下から腰を突き上げながら、フリーデと一緒に達したいと強く思った。
射精への昴りが限界に達し、一気に全身に快感がはじけた。
フリーデは、ザイフェルトが射精した瞬間、伝わってきた見えない強い力に身をゆだねた。
絶頂の感覚が同調する。