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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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強姦者ロイド-10

フリーデも、ザイフェルトと同じように祟られているような気がした。
ベルツ伯爵領で、子爵メルケルからは強姦され、また再び、蛇神の呪物に憑かれたロイドという強姦しようとする男から狙われた。

(これでフリーデの運命の流れは変わったのかしら?)

フリーデの運命は、ザイフェルトが子供の頃に祟られていることの半分を伴侶としてかぶってしまっている気がした。
フリーデを強姦するはずだったロイドという男は、メリッサによればバーデルの都で女伯爵シャンリーから呪物を憑けられたとのことだった。
バーデルの都には、まだ侵略した移民を末裔まで祟る怨念が浄化されずに残っていて、愛妻のフリーデを強姦して穢れさせ、ザイフェルトを絶望させるために、ロイドという呪物に憑かれた者を送り込んできた気がした。
呪物の骨もフリーデに恋をした者から手渡され、侵略者の移民の末裔であるリヒター伯爵を祟った。
フリーデを強姦して穢そうとした男は、前世のローザの姿になったリーフェンシュタールを襲った。まるで、生まれ変わっても贄は逃がさないと狙われ呪われ続けているかのように。
祟りと蛇神の呪い。因縁が絡みあっているのをヘレーネは感じていた。
リーフェンシュタールが強姦されていれば、蛇神の呪物に憑かれた男ロイドは、激痛に苛まれながら、生き絶えていたはずだった。

(うっかり呪物に憑かれた男に、私は生きる運命を与えてしまったのかも)

シュレーゲルは、フリーデの運命を変えた。バーデルの都の暴徒鎮圧の混乱で、フリーデは死んでいてもおかしくなかった。そして、メリッサもロイドと共謀してフリーデを陥れたあと始末されるはずの運命が、シュレーゲルがリヒター伯爵に会わせることで変わろとしている。

「メリッサを小貴族にした公文書を我々は、無断で書き換えることや無視することができぬ」
「伯爵様、この証明書はメリッサが小貴族であることの根拠と、婿養子がロイドであることについて記されています。メリッサの婿養子のロイドが、今、牢屋に留置している不審者であることを、どうやって証明できるのですか?」

ヘレーネがリヒター伯爵に言ったので、リーフェンシュタールが驚いてヘレーネを見つめた。

「メリッサは、私たちのように村人たちの前で結婚したわけではないので、証明する者は本人たちと婚姻の承認者以外にはいません。また、メリッサとロイドの婚姻を承認した者については記載がありません。証明書を偽造したり改竄せず、新たな証人がいれば、婿養子のロイドをすり替えることができるのではありませんか?」
「ヘレーネ、その婿養子のロイドをすり替えるとはどういうことかな?」
「この証明書に婚姻の承認者の記載があり、また私たちのように結婚式に立ち会ったものが多く、婿養子のロイドとメリッサの容姿などを知る者がいるならば、すり替えはできないでしょう。メリッサと婿養子ロイドを証明書に記載されていの人物であると証明できるのは、ブラウエル伯爵領のジャクリーヌ婦人ということになるのでしょうが、きっとジャクリーヌ婦人は、ロイド夫妻の証明者もメリッサの縁者であるルーク男爵だとして、ロイド夫妻との関係やロイドの狼藉についての関与を否定するのではありませんか?」
「ふむ。その発想はなかったな。ロイド夫妻の婚姻を認めた承認者だと私が申請すれば、メリッサと婿養子のロイドが証明書の持ち主である証人となれる。問題があるとすれば、メリッサが誰を婿養子として残りの人生を暮らして行くのかということだ」

リヒター伯爵とメリッサが、捕らえられている不審者はロイドではないと否定すれば、ロイドは身元不明の人物ということにできる。身元不明の狼藉者を、リヒター伯爵の自治権によって裁きを下すことは可能である。
パルタの都のリヒター伯爵領官邸とリヒター伯爵領の邸宅を行き来して、書状を運ぶ伝令係の小貴族の婿養子ロイドとしてリヒター伯爵に仕える人物と、メリッサが本当に婚姻すれば表面上はとりつくろうことができる。
誰が適任か。
そこに問題があった。

「シュレーゲル、貴方の隣にいるメリッサの命を守る方法は、もうひとつだけあるわ」
「姉上、どんな方法ですか?」
「リヒター伯爵領の小貴族の未亡人メリッサ婦人を、ベルツ伯爵領の子爵として側室とする事を、リヒター伯爵に承認してもらって婚姻するのよ。婿養子のロイドが失踪したことにして、ロイドだけをジャクリーヌ婦人に突き返すの。狼藉者の処分は、ジャクリーヌ婦人に押しつけてやりましょう。ベルツ伯爵領の子爵婦人になったメリッサを、これから貴方が夫としてしっかり守るのよ」
「えっ、僕がメリッサと婚姻するのですか?」
「ねぇ、メリッサ、それなら貴女も不満はないでしょう?」
「シュレーゲル様は、ベルツ伯爵領の子爵様なのですか?」
「そうよ。シュレーゲルは、まだ見た目は頼りなくて子供っぽい顔をしているけどね」

するとリヒター伯爵がまじめな顔つきのまま、ヘレーネに言った。

「メリッサが小貴族ではなく子爵婦人になれば、伝令の任務を子爵にはさせられないという言い訳はできる」

子爵リーフェンシュタールと子爵カルヴィーノが、このやり取りを聞いていて、こらえきれなくなり笑い出した。

ベルツ伯爵と子爵シュレーゲルが、ヘレーネを奪い合い、ベルツ伯爵領をシュレーゲルが簒奪する運命を、ヘレーネは強引に子爵シュレーゲルを婚姻させることで変えた。ベルツ伯爵は、シュレーゲルが、王都の宮廷官僚の血縁関係のある女性と婚姻することに、特に反対しなかった。腹違いの姉のヘレーネやフリーデと引き離したあと、シュレーゲルには貴族の妻を迎えて、いずれは伯爵領を継がせようと考えていたからである。

下半身丸出しのロイドは、そのまま情けない姿で処刑されたくなければ、ブラウエル伯爵領へ帰れとカルヴィーノに告げられた。
ジャクリーヌ婦人を、ロイドは今度こそ強姦して堕落させると強く心に誓った。


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