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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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牡のリングと牝の指輪-5

「10日間、奴隷に御主人様がリングにふれさせなければ、鼓動が遅くなって気絶してしまいます。リングに直接でなくても、体のどこかに急いでさわってくれるだけでも死にません。ふたりですっかり忘れていて翌朝、奴隷がずいぶん前に気絶して、すっかり冷たくなって手遅れというのはありそうな話でこわいです。でも、その、あの、毎日、手を握ってみたり、抱きついたり、えっと仲良く、あの、いろいろすれば、そんなことにはならないと思います」
「いろいろ?」
「はい。キスをするとか……」
「奴隷があっちこっちにたくさんいる御主人様は、大変だよな。しばらく会ってなかったら死んじゃってるわけだ」
「そうですね。奴隷の御主人様は、ひとりだけですからね」

ニルスは顔を近づけてきたエイミーに、キスされた。

「キス……しちゃいましたね」
「うん。ただ死んじゃうとか、やっぱり少しこわいよ」
「ニルス様、こわいの? あんな命がけの大勝負を私としたのに?」
「自分が死ぬよりも、そばにいる人が死ぬほうが、俺はこわいよ」
「それなら私と仲良くして下さいね」

このニルスが奴隷商人になったのは、初めての奴隷がエイミーだったことも関係している。

エイミーがまたキスをして、今度はニルスに少し体重をかけてきたので、ニルスはベッドに押し倒されてしまった。エイミーの身体がニルスに密着している。抱きついているエイミーの身体に、おずおずとニルスは腕をまわして抱いてみる。エイミーの身体は思ったよりも、細くて華奢な感じがした。

「ふふっ、もっとぎゅっとしても大丈夫ですよ」
「エイミー、女の子の身体ってこんなに柔らかくて、ふにゃっとしてるんだな。大きいネコみたいだ」
「え〜っ、ネコですか?」

エイミーはニルスの手首を握ると、自分のふわりとしたロープの上から、胸のふくらみをさわらせた。

「私はネコじゃないですよ。あの、どうですか?」
「どうって?」
「さわった感じは、どうですか?」

ニルスが手を離そうとしたので、エイミーがまた手首をつかんで引き寄せた。

「ニルス様は御主人様だから、さわらせてあげます。柔らかいですか?」
「柔らかいけど、手を押し返してくるみたいな感じもあるな」
「んっ……あんまり強く握ったらダメですけど、ゆっくり揉んでみて下さい」

エイミーに言われて、ニルスは服の上から胸のかたちを確かめるような感じで乳房のふくらみを揉んだ。

「は〜っ、ふふっ、んっ……あ……」

エイミーの唇から、小さな甘いあえぎ声がこぼれ始めた。

「ニルス様におっぱいさわられたら、なんか暑くなっちゃいました。私も服を脱いじゃっていいですか?」

ニルスがうなずくと、エイミーはニルスから離れてロープを脱いだ。

「その下は裸だったのか!」
「驚くところはそこですか?」

裸になったエイミーが、ベッドに座っているニルスのそばに上がって来て、ニルスの隣に座った。
ニルスは、あまりじろじろ見ないようにして耳まで赤らめている。

(これは、もしかして、ニルス様も初めて……いや、恥ずかしがってるだけなのかしら。私だって恥ずかしいですけど)

「あの、ニルス様」
「ん?」
「ニルス様もあまり今まで、こういうことはなされたことがないのですか?」
「ニルス様も……って、エイミーは経験あるんじゃないのか、おれのやつにリングつけたりするぐらいだから」
「あ、あれは、その、女の人から御主人様につけてさし上げるものだと、マーカスさんが言っていたから。ゆ、指だと思ってつけてさし上げれば平気だって」
「ふっ……ははははっ!」
「えっ、な、何がおかしいんですか?」
「いや、ごめん。なんかすごく緊張してたんだけど、安心したっていうか」
「ふふっ、緊張してたんですね」
「俺はしたことないんだ。見たことはあるんだけど」
「えっ、見たって、どこで?」

王都トルネリカからバーデルの都まで、旅をしてきて、宿屋がない村の村人の家で泊めてもらったとき、寝室の扉が中途半端に開いていて、夜中にトイレに行ったら中から声がして、廊下で寝室の中が見えてしまった。
廊下は真っ暗で、寝室にはランプの薄明かりが灯っていた。

「わざと見せつけてたのかもしれないけどね。だって廊下に俺が立ってたら、部屋からは、廊下にこぼれた明かりで姿か見えるはずだろう。あんまりじろじろ見たら悪いなと思ったんだけど」
「見ちゃったんですね」
「だから、なんとなくこんな感じかなっていうのはわかるけど、自信なくて」

するとエイミーは、賭博場で働いている給士の下着姿のお姉様たちから、話は聞いているけれど、誰ともおつきあいしたことがないと、もじもじしながらニルスに話した。

「そうか。俺はしたことがないから、娼館に行って経験してこようかと思ってたんだけど、賞品の奴隷って聞いて、経験豊富なもっと歳上のお姉様っぽい人が来ると思ってたんだ」
「なんか、すいません。私、経験豊富なお姉様じゃなくて」
「いや、俺と同じで経験ないのにキスしてくれたよね。エイミー、がんばってたなって」
「はい。すごく恥ずかしかったです。でも、がんばりました」
「じゃあ、今度は俺が、がんばらないといけない感じかな」

童貞の御主人様と処女の牝奴隷。
おたがい、相手はそれなりに経験豊富にちがいないと思い込んでいた。
ニルスとエイミーは、抱き合ってキスしてみた。そしてキスのあとゆっくりと目を開けると見つめあってしまい、ふたりでクスクスと笑い、ひたいをくっつけてみたりしていた。

少し前までは、ニルスとエイミーは人生が破滅するような大金を動かして勝負していた。
まだ大人になりきれていないふたりは、命をたやすく奪う恐ろしい呪物に御主人様と牝奴隷というつながりを、利用することを考えている大人たちに与えられながらそれを受け入れ、恋をしていた。


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