教祖ヴァルハザードの淫夢-9
半分泣き声を上げている強気さを失った歳上の女性の肛肉から、青年が指先を離すとレギーネは恐ろしい予感に顔をひきつらせている。
「けっこう柔らかい。ここは使ったことはないんですか?」
「な、ないわ。使うって……汚いところだから、さわらないで」
ローマンはレギーネに微笑みかけて、尻の谷間を左右に開いた。
「な、なにを、やめて、あっ……くうぅ」
戸惑うレギーネを妖しげな瞳で見下ろしたローマンは、ひくひくと怯えたように反応している肛門のすぼまりに、顔を近づけた。
「ひっ、舐めちゃダメっ、やめてぇ」
ローマンは指先でレギーネの肛門をほぐして確信していた。レギーネは肛門も感じる。ローマンは指先よりも軟らかい舌先を使って、肛門に唾液をなじませるようにねぶる。
後宮でモルガン男爵が妻妾たちを孕ませないように、肛門を犯すのにはまっている時、ローマンは肛門で感じやすい女性とあまり感じない女性がいると、じっくり観察していた。
(そんな、肛門なのに、むずむずしてなんか変な感じに……)
指で弄られるのを嫌がっていた時より、レギーネの腰の動きが緩やかになっている。肛門そのものは、レギーネが必死で締めようとしているようだが、ローマンは、ヴァルハザードの淫らな夢でみた舌の変化をレギーネに試してみるつもりなのだった。
舌の長さを変化させ、蠢く舌を挿入して犯し、蛭のように肉壁から血を奪う。
「あひっ……あっ……あぁん……んんっ」
ローマンが肛門に唇を押しつけ、舌先をずるりと肛門の締めつけのわずかに緩んだ隙に侵入させた。
レギーネの唇から、明らかに甘い快感のあえぎが洩れ始めた。
(肛門の中で舌がうねうねしてる……お尻なのに……やだ、だめぇ)
レギーネの息づかいが乱れていく。鼻から湿った息が漏れ、嫌がって食いしばっていた力が抜けて、無意識に唇がわずかに開いている。
膣内に大きく太いものが入ってきた時はまるで胸のあたりまでズンッと貫かれたような感じがした。しかし、肛門の中に舌が入ってうねうねと動いているのは、また異なる快感があった。
(ヴァルハザードが肉槍を挿れられたのは、こうやって女たちの穴をじっくりと拡げていたのだな)
ローマンが舌先の血を奪う口を腸壁に向けるために、肛門の入口のきつい締めつけに動きを何度も止められながらも、うまく吸いつけられず押しつける。
「うぅん……あぁっ! あっ、あっ、ん」
腹側の膣壁を押しつける時だけ、それに反応するようにレギーネが声を上げているのにローマンは気がついた。
腸壁の向こう側に子宮や膣洞があり、押しつけられる刺激がどうやら伝わっているようだった。
(よし、ここに押しつけて血を吸ってやろう!)
ローマンがレギーネの豊満な尻の肉をぐいっと指が食い込むほど強くつかんで、膣壁に変化したを舌先を押しつけて吸いつかせる。
「んああぁっ、おしり、おしりなのに、あううぅ……あ、熱い、はひぃぃ!!」
血を吸って膨らんた舌が腸壁を圧迫して吸いついた膣壁はさらにグイッと押されている。ぎゅむっと肛門の入口がレギーネが絶頂した瞬間に強烈に締めつける。
血を吸われている部分は熱さを感じて、前の牝のわれめから大量の愛蜜が湧き出して、敷布に大きなしみが広がる。
舌がちぎられそうだとローマンが吸血を止めて、変化させた舌を戻すことで、ずるりと肛門から引き出されるとき、腸壁が軟らかいが弾力のある舌の肉に擦られて、レギーネは絶頂しているところをさらに激しい快感に襲われた。
「んひいいぃぃ!!」
レギーネが叫びながら豊満な白い尻を上げ、全身を絶頂に震わせ続けた。
ローマンが尻の谷間から顔を離した時、レギーネは、排泄のための汚い穴としか思っていなかった肛門の奥から子宮まで逆らいきれない甘美な快感に痺れてしまい蕩けきった余韻の陶酔の中で、頬や火照った肌は薔薇色染まり、唇には微笑を浮かべ、涙を流していた。
生き血を奪われた快感だとレギーネは気づかずに、肛門を舐められ舌を押し込まれたことで、今まで知らなかった淫戯を教えこまれてしまったと思っていた。
人に言えない快感を知ってしまった背徳感が、レギーネの葛藤の中にさらに刻まれることになった。
情念がある女性の生き血を奪ったローマンも、思わず泣いているレギーネの尻や背中に白濁した熱い粘液を放ってしまっていた。白濁まみれにされたレギーネの姿は、身も心も汚されてしまった牝の悦びによって、妖しい艶かしさを醸し出していた。
ローマンが再びレギーネとの逢瀬の夜を迎えることができたのは、3ヶ月半後であった。
レギーネは毎週、宿屋の主人にローマンからの伝言の有無を確認していた。政務のめどがつきゴーティエ男爵に6日前に宿屋へ伝言させた。レギーネが伝言を知ったのは昨日だという。
マジャールを、パルタの都の執政官として単身で赴任させた。
マジャールは、レギーネがローマンと出逢ってから夫婦の交わりが無くなり、浮気したのである。浮気してから邸宅へマジャールは帰っていない。浮気相手は後宮の妻妾である。王の妻妾に手を出した罪で処罰されたくなければ、パルタの都へ行けと命じた。
マジャールの代わりの新任の法務官を着任させるまで、ゴーティエ男爵が法務官を行っている。
レギーネは、夫は政務が忙しく帰宅していないだけだと思っていた。
6日前、マジャールはパルタの都へ出立している。
ゴーティエ男爵がマジャールの浮気を調査しパルタの都への赴任で国王が許したと、新任の法務官が着任した日に公表する予定……逢瀬まで日数がかかった理由をレギーネに説明した。
「法務官レギーネ、慎んで王命に従い政務を全う致します」
レギーネは女性の宮廷官僚として出仕することになった。女男爵(バロネス)の爵位が与えられた。
こうしてターレン王国の法の正義は、裏では、ローマンに適用されなくなった。