教祖ヴァルハザードの淫夢-8
すると貴婦人は扱いていた手を離して、ローマンの脇腹のあたりを撫で、すぐに射精して満足させないように休ませた。
(こんなに立派なもの、私のおなかの中に入るかしら……こんなに太くて大きな人は初めてだわ)
貴婦人レギーネは、どうしても青年の股間で屹立しているものが気になってチラチラと見てしまう。
王族の性器は大きさも太さもそうだが、勃起の持続力や射精できる回数も、そこらの貴族とはちがう。13代目のターレン王ランベールの逸物は、王族にしてはさほど、そこらの貴族よりかはましというぐらいだったが、ローマンと融合したあとは、太さや大きさが増していた。糸触手を逸物の中に隠しているためだとローマンは思っている。それでも、夢にあらわれるヴァルハザードの肉槍ほどではない。
愛撫をしばらく止めて戯れていると、レギーネの知っている男性たちの逸物は半勃起の状態になる。しかし、目の前にあるものは、猛ったまま逞しく屹立し続けている。つい、レギーネは手をのばして撫でてみたくなる。
青年の顔立ちは、いかにも好色さを剥き出しにした雰囲気はまったくなく、むしろ優しげである。体つきも、それほど長身でもなければ、手足の大きな大男でもない。この青年の股間にこんな立派な逸物がついているとは、誰も想像できないとレギーネは思う。
「はぁ……すごいわね」
「えっ、あの、僕のもの、なにか変なんですか?」
「ふふっ、こんなに勃ったままなんて、私にすごく興奮してくれていると思ってもいいのかしら。それとも、初めてだから、すごく興奮しているの?」
「だって、本当にとてもきれいだし、とても、その色っぽいっていうか……あっ、すいません、いやらしいって意味じゃなくて、その……す、素敵な女の人って感じがして」
「誉めてくれてうれしいわ。そろそろ、続きをしましょうね……んっ……」
その場しのぎの誉め言葉を並べて、機嫌を損ねないようにすることばかりを考えて話す遊び慣れた男性たちには感じられない素朴さを感じて、レギーネの胸はときめいた。
ぎこちなくなるほど一生懸命、自分の気持ちを伝えようとしてもらえるとは思っていなかった。
宮廷で行われる舞踏会で、どれだけ相手から誉められても、それはそのあとの交わりへ進むための下準備のようなもの。結局は快楽を貪るために交わって、することを済ませたら、また別の相手を見つけて、恋の気分だけを楽しむ遊びだと知っている。もう、うぶな頃の気持ちには戻れない。
唇をふれ合わせるだけのキスで、泣きたくなるぐらい胸が高鳴り、興奮できた頃の気持ちを、まだ目の前にいる青年は持っている。
レギーネはもう一度、唇を重ねると青年の口の中に舌を入れた。舌を入れられても、青年は舌を絡みつかせてこない。
(この人は、まだキスにもまだ慣れてないのね。いいわ。気持ちいいことを私がたくさん教えてあげる)
レギーネが口の中で舌をねっとりと絡みつかせる。濃厚な長いキスをしながら、レギーネはうぶな青年の体をつつみこむような気持ちで抱きしめた。
(今夜は、この女に一生忘れられない快楽を教えてやるとしよう)
ローマンはレギーネの背中に腕をまわして抱擁を返しながら、ゆっくりと目を開いた。目を閉じて濃厚なキスをしているレギーネの表情を見つめて、再びうぶな青年のふりを続けるために目を閉じた。
雨が上がり、街が霧に包まれた朝にはレギーネは、自分の本当の名前や宮廷官僚のマジャールの妻であることをローマンに聞かれるがままに明かして、身も心も悦びに溺れきってしまっていた。
レギーネの生き血を奪い尽くして、殺してしまうこともローマンにはできる。
「レギーネ、また、僕とここで会ってくれませんか?」
「えっ、それは……でも……」
会話する力もほとんど残っていないレギーネは、何十回達したのかわからず、頭の芯まで痺れきっていて、快感か苦痛かなのかすら曖昧になっている。ベッドの端に腰を下ろして佇む青年の逸物は、レギーネの愛蜜にまみれて、まだ隆々と反り返っていた。威容を誇る張り出したカリ首を見てしまい、子宮のあたりがじわりと熱くなる。
(ああ……まだ、あんなに……)
「死んじゃうっ」「もう無理」「許してぇ」と何回も達しながらレギーネはあえぎ、涙も流しながら本気で言った。なのに、子宮と膣奥は名前も知らない青年の怒張した逸物だけは、真逆の反応を見せている。
「僕はマジャール法務官から貴女を奪ってしまいたい。でも、貴女はそれを望んでいない。せめて、僕とまたここで会ってくれると今、約束してほしい」
まだ若いこの青年が、夫の名前を聞いただけで何を任されている官僚か知ることができる身分の人物、つまり宮廷に出仕が許された身分の人物だとレギーネは思った。法務官の妻の不貞は、法の番人である夫にとっては、官僚を辞めざる得ない致命的な醜聞である。
そうなれば、マジャールとレギーネは爵位を剥奪され没落することになる。不貞を晒されたレギーネを、妻妾にさえする貴族は誰もいないだろう。
レギーネがベッドの上で起き上がれず、寝姿のまま、涙目ですぐに返答できずに目を逸らす。
青年の脅迫めいた提案よりも、青年との交わりに魅せられている自分を懸命に否定しようと葛藤している。
レギーネが返答するよりも先に、ローマンは29歳のレギーネのこれからさらに美しく熟れ始める身体に手をのばした。
うつ伏せのレギーネの豊満な尻を撫で、手ざわりを確かめるように揉む。
「ひっ、嫌、そこはやめて」
レギーネの肛門を、ローマンはほぐすように指先で弄った。
かつての恋人の中にはその場所をいたずら半分にふれた者もいた。だが、彼女は目を吊り上げ怒りやめさせた。
女性の肛門を使う者もいるのは聞いたことがある。しかし肛門でなんて汚ないと嫌悪感を持っていた。
だが、数えきれない絶頂に疲れきった身体は、拒絶しようとしても、腰をよじらせるのがやっとだった。