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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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伴侶の選択-1

クロエとシロエ。神聖騎士団5番隊と6番隊の隊長の双子の少女である。
見た目や声までそっくりだが、目元に小さなホクロがあるのがクロエ、口元にあるのがシロエである。肩にかからないぐらいに整えられた髪型さらりとした金髪で、あどけない顔立ちの小顔のふたりが騎士だと名乗っても、相手になかなか信じてもらえない。
強化訓練のパートナーを選ぶことになったので、このふたりは姉妹でパートナーの契約を結んだ。
他の騎士隊長に恥ずかしい姿を見せたくないのと、お互いに他の騎士隊長とパートナーの契約を結ぶのを想像するだけで大切な人を奪われる感じがして、とても嫌だったからである。

サルージュとカーナ。同じ褐色の肌と黒髪が特徴のふたりは、強化訓練のパートナーになることに決めた。7番隊と8番隊の隊長で、ターレン王国にいる預言者ヘレーネと同じ民族の末裔である。騎士団に入隊する前から、一緒に協力して旅を続けていた。パートナーの契約を、騎士隊長の誰かと結ばなければならないと聞いて、それまで意識していなかった感情にお互い気づいた。サルージュはすらりとして、カーナより頭ひとつ分だけ背丈がある。旅の途中の酒場で、同じ肌の色と髪の色をしていて、自分の祖先の謎を解き明かそうとしているとわかり意気投合したのがきっかけで出会った。このふたりは酔うと息の合った踊りを披露することがある。剣をぶつけ合い、ギリギリで避けながら踊る姿はとても美しい。他の騎士隊長たちは、このふたりはとっくに恋人どうしの関係だと思っていたので、ふたりが赤面して恥ずかしそうにパートナーの契約をマルティナに告げた様子に、少しだけ驚いた。

エレイン王国出身の貴族令嬢ルディアナは、大胆にもマルティナをパートナーの契約者として指名した。

「マルティナが、ミレイユ様をずっと慕っているのはお見通しですわ。他に誰かマルティナをパートナーに希望する人がいれば、今すぐこの場で名乗り出て、私と勝負して頂きます!」

エレイン王国は、女性が船長として海に乗り出し、船員たちを従えて、相手がやる気なら容赦なく船を沈める。海の商人の国ではなく海賊の国と呼ぶ者もいる。幽霊船の騒ぎが起きた時に、他の船乗りたちが海へ出たがらなかった中で、ただひとりだけ、船を出したのがルディアナである。幽霊船の調査にはミレイユにマルティナが同行していた。
ルディアナはミレイユのためではなく、マルティナのために船を出した。幻術師を相手にマルティナを人質に取られ激怒し、目を閉じて、魔力を込めた銀の弓矢で勝負した騎士団で一番の弓の使い手がルディアナである。エルフ族も弓の使い手は多いが、ルディアナほどの腕前の者は少ない。ミレイユでも魔剣ノクティスを使わないという条件でなら、射られる覚悟が必要な名手である。
たっぷりとした胸のふくらみは、弓を射るのには適していないように思われる。
かなりの資産家であり、エレイン王国では姫とまで呼ばれている美女である。9番隊の隊長で、弓兵部隊を従えている。船で大砲も扱っていたので、砲術も心得がある。法術の知識は不足しているところが欠点ではあるが、世渡りや交渉などでは、他の騎士団の隊長たちにはない才能がある。
この情熱的な申し出をマルティナが断れば、ルディアナは騎士団を辞めて、海賊として悪名を馳せるだろうと、その場にいた他の乙女たちはマルティナの返答かあるまでの沈黙の時間は、手のひらが汗ばむほど緊張していた。

残り4人の騎士隊長、1番隊の隊長セレーネ、2番隊の隊長マノン、3番隊の隊長フェルリス、4番隊の隊長レヴィアは休暇明けの会議では、誰とパートナーの契約を結ぶか決められずにいた。

ドワーフの細工師ロエルが協力者として訪れており、参謀官マルティナが9人全員と潜在する魔力の解放の手解きをするのは、かなり難しいのではないかという提案から、パートナーの契約を行うことになった。
聖騎士ミレイユはノクティスと契約を結んでいる。ノクティスのミレイユに対する愛情たっぷりの執着は、他の者が魔剣にふれることすらも拒み、嫌がらせでふれている手に激痛を走らせたりする。
ロエルは弟子のセストの育成の経験も話して「愛情がとても大事」とマルティナに教えた。
マルティナ自身も、姉のエルヴィールが
マルティナに対して強い想いを抱いていたことで、融合した魔石を自力で体から吐き出し、魔石に宿って最後の言葉を伝えたということを体験していたので、ロエルの提案に同意した。

魔石を人体へ錬成して融合させるのは、魔石へ意識が移せるが、肉体に戻せなくなる。意識と肉体を解離させ、さらにひとつの魔石の欠片に10人の意識を逃がすと、魔力の中で10人の意識が混ざり合ってしまう危険もあると、ロエルはマルティナの立てた仮説を否定した。
魔石へ人の意識を移せるところまでは正しい。ロエルは賢者の石を錬成した時、異界の洞窟の中で不思議な体験をした。ドワーフ族の職人たちの残した意識がロエルを励まし導いてくれた。錫杖に僧侶リーナの意識が宿っていたこともまた、ロエルには不思議な体験だった。
マルティナの姉、聖騎士候補だったエルヴィールが魔石へ意識を移せたのは、神聖教団が選んだ聖地だったことも関係しているはずとロエルは説明した。

霊障をエルヴィールに与えていた危険なものは、エルヴィールに憑依していることを隠しきれるほど心に混ざり合うことができなかった。
魔石にエルヴィールの意識が宿り、肉体が空いたにも関わらず、憑依していたものは肉体を奪えずに、奪った魔力を障気に変えて逃げ出した。
生還直後、憑依したものはエルヴィールの心に混ざり合うために心を壊そうとしたが、マルティナが魔石を融合させるときにエルヴィールの心を潜在する魔力で修復して混ざり合えなかった。
しかし、操れない肉体から聖地である外へ逃げ出せる力はなかった。
眠っている間に呼びかけ続け、心を衰弱させて唆し同化して体を操るのを妨害している融合した魔石を分離させた。


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