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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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祓魔師の乙女たち-2

神聖教団は、僧侶リーナに襲撃されて焼き討ちされた村の住人の弔いと穢れの浄化を命じ辺境へ派遣していた。
異変が起きないように防ぐためと、僧侶リーナは神聖教団から任務の説明を受けていた。
僧侶リーナが、ハンターのレナードの助言に従いゼルキス王国へ訪れなければ、聖騎士ミレイユや参謀官マルティナは、異界の門が開かれようとしていた情報を神聖教団から知らされていなかった。
もしも、僧侶リーナからの情報がなければ、魔法障壁の対処が遅れ、ゼルキス王国には障気が流れ込み大混乱になっていただろう。

(神聖教団はゼルキス王国やターレン王国を、死地として見捨てるつもりなのかしら?)

参謀官マルティナの脳裏に、そんな考えもよぎる。

「辺境には、魔法障壁で保護されている王国内とはちがい、強い障気が満ちています。その中で、いくつも開いている異界の門を探索して、ひとつずつ破壊していかねばなりません。ミレイユ様は魔剣の加護があり、障気の影響に抵抗し、魔剣による異界の門の破壊が可能ですが、開かれている門の数があまりに多すぎます。すべての異界の門を破壊する前に、このままでは、ゼルキス王国の魔法障壁は耐えきれず決壊してしまうでしょう」

参謀官マルティナは、騎士団の隊長たちに、状況を説明していく。

「ミレイユ様と辺境の旅に同行していた僧侶リーナも現在、失踪しており、彼女は異界の門へ引きずり込まれた可能性があります。障気が強まるほど幻として見えたり、気配を感じるだけではなく、敵は具現化して襲ってきます」

参謀官マルティナは、異形のモノがどれだけ危険なものかを説明しなければならなかった。

「障気の影響を受けた村人たちは、欲情して、誰でもかまわず交わり、ミレイユ様が異界の門を破壊した翌朝、村人たちは自分たちが夜中に何をしていたのか、記憶していなかったそうです。人の心に辺境に満ちている障気は、強い影響を与えることがわかります。まず、その影響を受けても、理性を保ち続ける必要があります」

騎士団の隊長たちは、参謀官マルティナの説明を聞き、お互いの顔を見合せた。

「物質化した敵は、蛸や烏賊の足のような触手のようにまとわりつき、手足を拘束するだけでなく、障気で欲情した獲物を凌辱して、抵抗する気力を奪い、異界へ引きずり込むそうです。麻痺などを引き起こす毒針などがあるかについては、現在のところ不明です。障気が具現化していれば、異界の門の位置は近いといえるでしょう。さて、修道女のみなさんには、障気の影響に理性を失わず耐えきる防御力、そして、異界の門と這い出てくる異形のモノを同時に破壊して祓うだけの魔力の攻撃力、この2つの攻守の強化が必要となります」

ゼルキス王国神聖騎士団の隊長は、9人の祓魔師たちである。神聖教団から任務を受け、聖騎士ミレイユと同様に、王城の転送の魔法陣を使い、ゼルキス王国の国内だけでなく、大陸各地へ出向する。

1番隊隊長セレーネ
2番隊隊長マノン
3番隊隊長フェルリス
4番隊隊長レヴィア
5番隊隊長シロエ
6番隊隊長クロエ
7番隊隊長サルージュ
8番隊隊長カーナ
9番隊隊長ルティアナ

神聖騎士団の9人の隊長にして、聖騎士候補でもある強化者の修道女たちと、騎士団長の聖騎士ミレイユと参謀官マルティナが、騎士団の会議の場に全員参列していることは稀である。
まず、騎士団長の聖騎士ミレイユが多忙でゼルキス王国から不在の状況が多い。次に参謀官マルティナが、神聖教団の神官なのだが、魔法の技術を使った品物の研究や開発を行っていて、ゼルキス王国にはいるが、会議には不在ということが多い。

ゼルキス王国の神聖騎士団は、公爵マクシミリアンが創設した組織である。神聖騎士団は、ゼルキス王国の特務機関である。他の王国の騎士団は、王または貴族が作った騎士とその附属員から構成される軍事組織であり、神聖教団とは直接の関係がない。ゼルキス王国の神聖騎士団は、神聖教団と密接な関係がある。その活動範囲は、神聖教団の布教活動が行われている全域である。

「辺境の異変を引き起こしたのは、ガルドという人物の蛮行がきっかけになったのは、僧侶リーナの降霊術より被害を受けた村人たちからの情報によって判明しています。この人物の出自や、村の焼き討ちを行ったことで、大規模な異変が引き起こされることを理解していたかについても不明です。野盗の首領である可能性もあり、また異変の影響によって、辺境で暮らす村人たちのように、すでに人ならざる者と成り果てていることも考えられます。辺境においてミレイユ様が、ガルドを探索しましたが、辺境地域で発見されず、すでに辺境からターレン王国へ潜伏したものと思われます。この人物についての探索やターレン王国への潜入よりも、異界の門の破壊を任務として優先とし、また、辺境の生存者の治療と保護を最優先とします。国境の魔法障壁の維持管理については私が国王陛下から任されており、継続して行います」

辺境地域は、森林地帯とニアキス丘陵地帯がある。ゼルキス王国へ異形の人ならざる者の群れが襲ってきた時に、森林地帯の方面からのみ現れた。
ニアキス丘陵は、障気の影響からまぬがれていることは、聖騎士ミレイユがゼルキス王国へ帰還時に通過して確認した。
神聖騎士団は、この会議でニアキス丘陵に野営地を設営することに決めた。しかし、ターレン王国を刺激しないように、大人数が駐屯する野営地は設営せず、あくまで、村人を保護するための小規模な駐屯地とする。騎士団の隊長格のメンバーと補助役の人員のみとする。
徐霊という治療が完了後、発見された村人をゴーレム馬の幌馬車で、ゼルキス王国の国境へ搬送する。

聖騎士ミレイユは、森林地帯にあるアルナサの村の住人たちの安否を気にかけていた。
アルナサの村には、ゴーレム馬に神馬の法術を施し、蛇神のしもべや異形の者が現れても、ゴーレム馬が戦うことで撃退する仕掛けを残してきた。


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