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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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蛇神祭祀書-4


辺境で、ガルドの傭兵団に小村を襲撃させ、虐殺させることで、蛇神の影響力がわずかながら、世界に戻りつつあるのをシャンリーは感じていた。
さらに祭祀書の知識とその秘術を使いこなすためには、もっと多くの犠牲が必要だとシャンリーは考えた。

シャンリーは、ローマン王の暗殺に関与し、後宮の妻妾となった。そして、ランベール王にゼルキス王国への遠征軍を出征させた。
蛇神への生贄の人数は、小村の焼き討ちよりも多かったらしいとシャンリーはわかった。祭祀書からシャンリーは、秘術の知識を得ることができ、ランベール王を生きた死者、つまり本当は肉体はすでに死んでいるが、シャンリーの行った呪術の力で、生きているように動かされている存在にすることに成功した。

しかし、そのランベール王の肉体に、ローマン王の亡霊が憑依してしまった。
バルデット伯爵領の3人の美女を強奪するために、ランベールの即位に反対した政敵とはいえ、バルデット伯爵とその息子の子爵オーギャストを捕らえてきた。
シャンリーは、王城の牢獄塔での拷問をランベール王に命じられ、バルデット伯爵と子爵オーギャストは、謀反の考えがあったことを自供して獄死した。
ランベール王であれば行わないはずの行動を、ローマン王の亡霊は、シャンリーが命令したわけではないのに勝手に実行した。シャンリーは、国王を思い通りに操ることに失敗したのである。
これは遠征軍として出兵した志願兵を全員、蛇神の贄にできなかったからだと、シャンリーはガルドがパルタの都を占拠した情報を知って理解した。

今後は勝手な行動をしないようにシャンリーが脅したところ、ローマン王の亡霊は、女伯爵の爵位とバルデット伯爵の領地であったバーデルの都を与え、厄介払いするように、妻妾となったシャンリーを自分の傍らから引き離した。

ランベール王を操ることに失敗し、王都から引き離されたシャンリーは、宮廷議会の重鎮モルガン男爵を利用して、ターレン王国の奴隷取引に関する法律を、ガルドがモルガン男爵を暗殺する前に改正させることに成功した。

シャンリーにとって、ガルドがパルタの都で、モルガン男爵を暗殺したことも想定外だった。
これで、王都から離れた伯爵領にいるシャンリーと、宮廷議会との人脈のつながりが絶たれてしまった。

シャンリーは、ターレン王国を呪術だけでなく財力で支配するために、バーデルの都を悪徳と頽廃の都とすることに決めた。だが、かつての蛇神の神殿は、王都トルネリカの位置にあった。シャンリーが蛇神の神官として君臨すると時には、王都に蛇神の神殿を再建したい。

ローマン王に憑依されたランベール王がシャンリーに対し、バルデット伯爵を弾圧したように、バーデルの都へ捕縛に来ることはできない。ランベール王の心臓をバーデルの都に来れば、シャンリーは呪術によって、たやすく止めることができる。
また、伯爵には自治権が与えられているために、シャンリーがターレン王国からの独立宣言でもしない限り、他の領主たちに王命が出され、シャンリーを捕縛させたり、討伐するために攻めてくる心配は、今のところなかった。もしもシャンリーを討伐する王命が出されても、どの伯爵領も遠征のために志願兵を募ったので、兵力となる人員不足である。

もし例外で軍隊がバーデルの都やシャンリーの邸宅を攻めてくるとすれば、騎士ガルドの元遠征軍の兵力だろうとシャンリーは予想した。
ランベール王は、パルタの都を占拠した騎士ガルドに対し、騎士の称号を剥奪していない。
騎士ガルドがランベール王の支配を受け入れ、王の手駒として志願兵の兵力をシャンリーの領地に向けて進軍してくるのか、それとも、王都トルネリカを陥落して、ランベール王を殺害後に自ら王となろうとするのか。

どちらであっても、シャンリーの命を守るための盾や身代わりが必要である。

女伯爵シャンリーが、邸宅からバーデルの都へ馬車で訪れる時、馬車に同乗させて、従者としてメイドのエステルを常に連れて歩いている。シャンリーはバーデルの都に王国公認の賭博場、奴隷市場、遊廓の建造を同時に進めていた。
パルタが小貴族の都と呼ばれるように、のちにバーデルは、奴隷の都と呼ばれることになる。

国境地帯の街道沿いの宿場街で、表向きは宿屋だが、客の紹介状がわりの手紙を持参した者には、娼婦を客の部屋に向かわせて相手をさせる娼館をシャンリーはこっそり経営していた。シャンリーは酒場も経営していて、酒場の女給が、娼婦を兼ねて働いていた。
女伯爵となりバーデルの都の自治権を得た上に、奴隷売買の許可をシャンリーだけが持っていた。そこでシャンリーは、遊郭を作ることにした。
格安な食事つきの宿舎に娼婦は住み込みで暮らし働くことができた。職業としての娼婦はターレン王国ではいなかった。旅人が一夜の宿と食事の提供を条件に、感謝の奉仕として、相手の肉欲を解消するためだけに交わることはあった。
しかし、明確な価格という報酬の取り決めや、契約書が交わされるわけではない口約束で、相手から「証拠がない。そんな約束など知らぬ」と言われたら泣き寝入りするしかない危険な行為が行われていた。

パルタの都の学者モンテサントと同じように、シャンリーも避妊の呪法を祭祀書から習得していた。シャンリーは避妊の呪法を施すことに対価を要求した。娼婦は施術の費用を借金として背負い働いて払う。身請けは、この施術の費用分の借金分と、遊郭で定められた身請け料金をまとめて支払うことで、娼婦を奴隷として購入することであった。

シャンリーは他の伯爵たちにも、借金を負ってバーデルの都から返済せずに逃げた者が他の伯爵領へ逃亡したのを発見した場合は、罪人としてシャンリーに引き渡すことを要求した。
他の伯爵領で借金が返済できぬ者や罰金を払えぬ者なども、バーデルの都の奴隷市場で競売に出す許可を、逃亡奴隷の引き渡しの協力への交換条件として、各地の伯爵たちに提示した。


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