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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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モルガン男爵-4


ヴィンデル男爵と同じ立場で、宮廷の廷臣たちをまとめ、王の機嫌を損ねないように気づかい、厄介な問題の対応で失脚しないようにしながら暮らしていると、若い頃の緊張感の中で、女性たちを犯して逃亡していた日々をモルガン男爵は、なつかしく思う。

ヴィンデル男爵の死後、宮廷の貴族たちの派閥が生じた。その時期にモルガン男爵は王都に戻ってきた。
ニクラウス王の時代は内政重視の傾向が強かった。ローマン王が17歳で即位しても、それはローマン王が32歳の時にヴィンデル男爵が68歳で亡くなるまでは、ターレン王国の政策の方向性が変わらなかった。
モルガンは26歳で、父親のレーゼル男爵に連れられて宮廷に足を踏み入れた。
モルガンの父親レーゼル男爵は、王都出身の貴族であり、政策もターレン王国の外交政策をかかげていた。
この当時の宮廷は地方出身の貴族がヴィンデル男爵と同じ内政重視の政策で動いていて、レーゼル男爵は目立たない存在であった。

ローマン王は、ヴィンデル男爵の死後4年間で、ほぼ宮廷の会議に参加しなくなった。後宮で過ごす時間か増えていく。
そして皇子ランベールが、ローマン王が36歳の時に生まれた。

ローマン王は17歳から32歳までの15年間、ヴィンデル男爵の傀儡だったともいえる。
ヴィンデル男爵の死後は、ヴィンデル男爵に後継者がおらず、宮廷をまとめる重鎮が不在の時期がしばらく続く。
ローマン王はゼルキス王国との外交政策を進めた。ただし、完全に同盟国として条約を取り決めて親睦を深めるまでには至らない。
それは王都出身の貴族と地方出身の貴族の権力争いが行われていて、地方出身の貴族でも、外交政策は無視した内政重視のままの官僚と、外交政策でも領土拡張政策の官僚で内部分裂を起こした。
地方領主が官僚を送りこみ権力を握る状況から、王と王都出身の名門貴族による宮廷が権力を握る状況へ移行していく過渡期だったことが影響している。

ターレン王国の領土拡張案には、ゼルキス王国との戦も想定されている。戦になればローマン王が外交してきた成果が戦によって失われるとして却下された。この領土拡張案がローマン王に承認されていれば、地方出身の官僚は王都出身の官僚よりも宮廷で強い発言権を得ることができていたはずである。

ローマン王にはランベールが生まれてからその後、一人も子を授からなかった。
その理由は後宮の妻妾たちと、肛門を使った交わりをローマン王は楽しむようになったからである。領土拡張ではなく、妻妾たちの肛門を拡張していた。

ローマン王が57歳で崩御し、皇子ランベールが王位を21歳で継承する流れで即位した。
これはターレン王国が、モルガン男爵の進めてきた地方領主から、王都の名門貴族による宮廷が実権を握る状況になったことを示している。
モルガン男爵は51歳で、25年かけて宮廷の重鎮という立場となっている。

ターレン王国は騎士ガルドと遠征軍や、女伯爵シャンリーという平民階級の国政への参加の雰囲気を政策として進めながら、王と王都出身の貴族が実権を握っていて、地方出身の貴族には不遇の状況となっていた。

とりわけ、ランベール王がバルデット伯爵と、その息子の子爵オーギャストを反乱罪の容疑で王城に幽閉した事件は、地方の伯爵たちに、王と宮廷に対して不満を表明するだけで弾圧されることを知らしめる結果となっていた。

モルガン男爵の栄耀栄華は、ランベール王が即位した戴冠式が頂点であった。

ランベール王の募った志願兵によるゼルキス王国への遠征軍という政策で、穀倉地帯の平民階級は、宮廷の官僚と地方の領主のどちらも、他国の脅威に対して貴族たちは命がけで戦う意志がないとわかってしまった。
さらに、女領主シャンリーによって人身売買が行われ始めて、平民階級の者を売る領主たちに対して、敵意を抱くようになる。

モルガン男爵が遠征軍の解散に、他の宮廷官僚ではなく、養女のソフィアを派遣したのは、遠征軍の志願兵が兵糧を持ち逃げしてターレン王国からゼルキス王国に亡命したのだという情報を流布するためである。
不正な兵糧輸送の横領を、他の宮廷官僚たちに嗅ぎつけられないようにするためだった。

ソフィアが騎士ガルドと接触して、モルガン男爵の命を狙って動き出すとは予想していなかった。
後宮ではいつも黒色のドレス姿なので、黒薔薇の貴婦人と呼ばれる王の妻妾シャンリーに毒殺されるのではとモルガン男爵は警戒していた。
だが、ソフィアは、モルガン男爵が死ねば、貴族令嬢の生活の安定は失われ、平民階級として路頭に迷うことになる。だから、モルガン男爵の不利になる行動はしないと油断していた。

気がかりだった元平民階級の王の妻妾シャンリーが女伯爵としての爵位と領土を与えられ、王都トルネリカから離れた。
そして、後宮で、ひそかに没落させた貴族の貴婦人や令嬢の妻妾たちと、淫らな行為をして、ランベール王と深い親睦を深めていることで、モルガン男爵は、まるで自分がターレン王国の王になったような気分になった。

これが、ソフィアが王都から離れている間に、モルガン男爵の気持ちの中で起きた変化である。傲慢さなのか。それとも老いと呼ばれもする倦怠感なのか。
後世のターレン王国を憂いながらも、亡くなったヴィンデル男爵の憂鬱とはかけ離れた気持ちだったのは間違いない。

シャンリーを警戒して自分の暮らす王都から離れさせたかったのは、ランベール王、正確にはランベール王の肉体に憑依して融合しつつある亡者ローマン王の意識も、モルガン男爵と同じであった。

黒薔薇の貴婦人シャンリーからすれば、王とモルガン男爵は道具にすぎない。蛇神を信仰する地を再興する。その野望をモルガン男爵の常識では理解できるものではなかった。

騎士ガルドとソフィアが、街道沿いの店主たちと、王国の要所であるパルタの都を新しい拠点として選び、占拠するための計画を練っていた。


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