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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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ターレン王国の退廃-2

雇われ農夫の娘から、市場で働く娘たちまで、奴隷として、平民階級の最下層と差別される立場に落ちていった。
そこから、裕福な貴族に買われて愛妾になったり、運が良ければ王の後宮にも入れてもらえることもあるという、人生の大逆転を夢みていた。

貴族の男性の若者たち、とりわけ子爵の若者は親の立場を譲られると思っていたので、バルデット伯爵とその息子の子爵オーギャストの投獄は、宮廷に逆らったら殺されるという認識を強く持った。
伯爵の地位を持つ領主たちは、奴隷商人シャンリーの錬金術に翻弄された。

領民の女性たちを、農作物のように搾取して売ることができる。不作の年、地主から若い娘と、以前は行商人に横流しをしていた分の作物と交換する。
女性を奴隷商人シャンリーに売る。
それで、王都の男爵どもから奴隷商人シャンリーを仲介にして金を引き出すことができる。しまいには、自分の娘の姉妹のどちらかを売ったり、愛妾の娘なども売るようになった。若い愛妾なども飽きたら売られた。平民階級の女性たちの、領主の愛妾になれば安心して暮らせると信じきっていた保証が失われた。

王都では、貴族の館で使用人として奴隷の女性たちを使うようになった。館の使用人になって、貴族の男性の愛妾になるという理想の展開がふさがれた。
繁盛している店なども奴隷を使うほうが数年働かせることを考えれば、平民階級の女性たちを雇うよりも得だと、仕事を失う女性たちも出てきた。
生活に困って奴隷となり、娼館に売られる者も多かった。

王の廷臣たちは、若く美しい奴隷がどれだけ館にいるかを自慢するようになっていった。愛妾ではなく、買い替える奴隷という考え方になっていった。

奴隷を財産と考えるようになった。
一度、貴族に買われた奴隷として寵愛されて安心していた女性が、数年後、奴隷商人シャンリーの都で、奴隷として売られているということもあった。
金に困れば手放す。
貴族でも裕福とは限らないと、ようやく気づいた時には、娼館で働いていることもあった。

客が娼婦を気に入り、奴隷商人シャンリーに仲介で、娼館の主人から娼婦を自分の妻妾として買うこともあった。

モルガン男爵と賄賂に目がくらんだ宮廷官僚たちによって、女性が商品として売買される道筋がターレン王国に作られていったのてある。

モルガン男爵の養女である令嬢ソフィアは、引き取られてからずっと、モルガン男爵の慰み者にされてきた。

モルガン男爵がフィオレという使用人の女性を孕ませた。だが、平民階級の女性は愛妾にふさわしくないと保護せず、金だけ渡して館から追い出した。

使用人フィオレは館を追い出されて、道で倒れていたところを、画家の青年リアムに拾われた。リアムはその頃、王都の平民階級の者たちが暮らす地区で暮らしていた。

画家リアムは、のちにローマン王の肖像画を描いた画家となった。
画家リアムは、妻フィオレや娘ソフィアを描いた絵を、誰にも売らずに大切に保管していた。

ある日、画家リアムとフィオレが殺害された。ソフィアは父親の親友というモルガン男爵に、養女として引き取られた。
モルガン男爵は館ごと買い取った。リアムの個人的に描いた絵画も一緒に。

ソフィアは、画家リアムを父親だと16歳で引き取られるまで思っていた。

「リアムとフィオレは、モルガン男爵が金で傭って殺させたのかもしれません。証拠をつかむことができていません」

引き取られて5年間、ソフィアはモルガン男爵を殺害する機会を待っていた。

ソフィアの剣技はモルガン男爵に、養女にしてもらった恩返しができるようになりたいと言いくるめて、習わせてもらったものだという。

ガルドにソフィアは抱かれた。

王の廷臣たちは、自分の妻や娘を他の貴族との取引のために抱かせるのは、常套手段となっていた。
だが、モルガン男爵は、ソフィアを他の貴族との交渉材料として抱かせようとはしなかった。
ソフィアの口からモルガン男爵が養女を引き取り何をしているかを、他の貴族たちに知られたくなかったからであった。

騎士ガルドが謀叛した情報を知ったモルガン男爵や宮廷の官僚たちは、国王ランベールに隠していた。
ガルドが軍事会議で要求した2000人の兵士たちの兵糧3ヶ月分の許可を国王ランベールは出していた。

後発隊は解散させる。後発隊は兵糧を15日分に減らし、建前上、10人だけ衛兵を増員させることにした。
王都の宮廷にガルドのゼルキス王国への寝返りを報告した衛兵は、モルガン男爵に、ひそかに殺害されている。

もちろん、後発隊を解散させたあとモルガン男爵は、兵糧の支給をする気はまったくない。
支給したことにしておき、浮かせた費用分を、モルガン男爵を中心とする派閥の廷臣で横領して山分けする。

志願兵に、地方領主の子爵が一人でもいれば、モルガン男爵の不正の情報は領主たちの知るところになり、王都の宮廷官僚と地方領主との確執は深まったかもしれない。
確執は内乱の火種となる。

だが、志願兵に子爵の爵位を持つ者は、一人もいなかった。平民階級の者と肩を並べて戦う気は貴族階級の特権意識が許さなかったからである。

奴隷商人シャンリーが、奴隷の取引できる街を実現してからは、地方領主と宮廷官僚は、奴隷商人シャンリーの仲介で奴隷取引のつながりができてしまった。

ゼルキス王国へ寝返ったはずの騎士ガルドは、宮廷の不正の中心であるモルガン男爵の令嬢ソフィアを、反乱軍に引き入れた。
解散するはずの志願兵を宿場街で鍛え上げ、先発隊と遠征軍駐屯地で合流して、王都トルネリカを陥落させる気でいた。

だが合流するはずの先発隊1000人の兵士たちが、蛇神のしもべの影響で、ゼルキス王国へ、若い女性を求めて攻め込んでしまった。
兵士に辺境の村人の男性たちが加わった軍勢は、ゼルキス王国の国境で全滅するまで戦い抜いたのだった。


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