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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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肉欲の宴-1

傭兵ガルドは、手下を連れて、ターレン王国の王都トルネリカの王城へ招かれていた。

ゼルキス王国から聖騎士ミレイユと従者の女僧侶リーナは、焼き討ちされた村の徐霊をしながら、傭兵ガルドの行方を追っていた。

焼き討ちされずに残った辺境の村。

噂を聞きつけ不安になっている裕福な村人たちがいる。
他の村が焼き討ちされていて、ニアキス丘陵のオークが村を襲っている噂。
ターレン王国は皇子が新王となり、ゼルキス王国との戦の準備を始めた噂。
これらはターレン王国からゼルキス王国へ逃げるついでに、村で品物を取引した獣人族の行商人たちから聞きつけた噂である。

裕福ではない村人たちは、いつもと変わらない生活の日々を過ごしている。

昔なら、村の周辺、せいぜい隣村ぐらいしか知らずに一生を終えている村人たちだが、今は、ゼルキス王国やターレン王国へ、旅行に行ってみたいと憧れている者までいる。

戦と聞いても、自分たちが巻き込まれるとは、まったく考えていない。
亡霊についても、怖がらせるためのつくり話ぐらいにしか思っていない。

ハンターたちは、ゼルキス王国まで遠回りしたくないので、ニアキス丘陵を突っ切って移動していて、村へ訪れることは稀である。訪れても、よそ者扱いで、金を払えば、村人の一部はそれなりには対応するが、獣人族の行商人のように歓迎されない。

だが、ニアキス丘陵の周辺の異変は、この焼き討ちされなかった村人たちが暮らす身近な森の中で起きていた。

いつもと変わらない見慣れた森の小径を通り、村に帰るはずの若い女性が、夜になっても帰宅しない。

翌日、若い女性の家族や知り合いが探してみるが、たとえば木の実や食用になる山菜などを入れる袋が見つかるが、本人は見つからない。

若い女性を男性が犯して、その後、殺して遺体を見つかりにくい場所に隠す。

殺された女性と犯した男性は、顔見知りで、女性に村へ生きて帰られて、誰かに話されたら困るから、殺される。

そんな最悪なことまで考えて、必死に探してみても見つからない。

若い女性の失踪が、同じ時期に別の村でも起きていた。だが、他の村との交流はあまりないので、それには気づかす、誰がやったのか、村の住人たちの中で、それぞれ疑い始めた。

村人でも裕福な者たちは、そこで行商人から聞いた噂を騒いでいる者たちに聞かせた。

「オークに拐われてしまったのかもしれない。村が襲われるかもしれないから、村をみんなで見廻りして用心しよう」

ニアキス丘陵のオークが襲撃している噂を信じているわけでないが、村人たちがお互いを監視していれば、悪事を抑止できるだろうと、周辺の見廻りの提案に同意して、話し合いは終わった。

それが、異変だと村人たちは考えない。何が起きているのかを、村人たちの常識の範疇で考えていた。

森で失踪した女性たちが囚われているのは、まさに淫獄である。

ぬらりとした蠢くモノに捕らわれて、失踪した若い村娘は、すでに純潔を失っただけでは許されず、嬌声を上げさせられて、なぶられていた。

ひさびさの餌を得た魔物は、人間のとりわけ女性が快楽に溺れ、股間から溢れさせる愛蜜を啜るのを楽しんでいた。

すでに喰われていると気がついていない獲物が、帰りたいと望んで必死に辱しめに耐えて、快楽に溺れていく。

ずっとこのまま快楽に溺れて、何も考えたくないと望み、ひたすら快感だけを貪るようになった獲物は、蠢くモノと夢中で戯れる。

陵辱されてどうして自分だけがこんな酷い目にあわされなければならないのか、と恨みをつのらせていた獲物は、生き霊となり果て、他の獲物を捕らえ、なぶる蠢くモノに変化していく。

淫獄で凌辱するおぞましい蠢くモノは、怨霊のなれの果てなのだった。

獲物が自分から肉欲のままに、愛蜜をあふれさせて、指先で蜜穴をまさぐり、敏感な小さな突起を弄るようになると、蠢くモノがまとわりついていく。

何をされても、ただ息をして生きているだけの肉になってしまえば、蠢くモノは興味を失い、別の獲物を求め這いずりまわる。

生き霊が離れた肉体と何も本当に考えなくなった肉体は、生きているだけの肉。
生きているだけの肉になれば、ゆっくり吸収されていく。

この淫獄の支配者を視ることができる者がいれば、巨大な蛇の姿をしていることに気がつくだろう。

囚われて魔獣と成り果てた女性たちの怨嗟の囁きと、淫らな嬌声と愛蜜の湿った卑猥な水音が響く暗がりの中で、鎮座して嗤う巨大な蛇をかつて霊視した者たちは、それを蛇神として畏れ、崇めた。

異界はひとつではない。

ダンジョンやガルドの故郷やノクティスの館も異界だが、辺境の森からつながった淫獄もまたひとつの異界である。

ガルド傭兵団に凌辱され焼き殺された女性たちの怨みと、巨大な蛇が鎮座する淫獄の魔獣と化した女性たちの怨みの念は同調し、世界をつないでしまった。

ガルド傭兵団の男たちに犯されて、苦痛よりも淫らな快感に溺れることで、何もかも考えたくないと望んだ女性たちの念も、淫獄に囚われた女性たちと同調していた。

奴隷商人シャンリーが行っている奴隷を生贄を捧げる方法とは別の方法で、傭兵ガルドは異界の門を開いてしまったのである。

淫獄からの影響は、単純に村はずれで、若い女性が連れ去られるだけではなかった。

村人の中でも影響を受けた男性が、奇妙な夢をみるようになった。

もしも、ガルド傭兵団が王都トルネリカに行かずに、森で野営を続けていたら、手下のうち何人かは、悪夢に蝕まれていったにちがいない。

嫌がる女性を犯して射精する。それは、同じ村の若い女性のこともある。見知らぬ幼女や、少女のこともある。

森に囲まれた村の中でも、異変が起こり始めていた。

若い女性たちや男性たちが、奇妙な夢にうなされるようになっていた。


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