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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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実家での語らい-4

 母の前では姉妹は五十路でもみな娘に戻る。娘たちの『成長』を確かめたかのように母が切り出す。

 「せっかく集まったんやから、八幡さまにでもお詣りにいかんか?」

 「いいわね」
 「そうね」
 「いこいこ…」

 三人の娘たちも口々に賛同する。

 「満場一致…やな。それはええとして…さて『足』はどうするかの…」
 「○子ねえちゃんのお婿さんを呼ぶのもかわいそうやから、タクシー呼ぼうか」

 △子姉が電話が置いてあるところの壁に貼ってあるタクシー会社の番号に電話する。15分ほどしてタクシーが迎えに来た。助手席に○子姉が座り、後部座席に母を挟んで△子姉とわたしが座る。

 わたしが高校生だった頃は砂利道だった道もすっかり舗装されている。タクシーは呆気なく『八幡さま』の参道の入り口に到着する。

 参道の両脇には樹々が鬱蒼と茂っており、日傘は必要がなさそうだ。鳥居に立てかけて置いていく。鳥居には『木之内八幡神社』と額が掲げられている。『木之内』とはこのあたりの地域を指す地名だ。女たちが鳥居をくぐって本殿に向かって歩いていく。

 「懐かしいか? ○子」

 境内を見回している○子姉に母が声をかける。

 「懐かしいわねぇ。近くにいてもなかなか来ないものよねぇ。最後に来たのはいつだったかなぁ」と○子姉。

 「わたしだって懐かしいよ。『全国大会に行けますように』ってお祈りしに来たなぁ」と△子姉。

 「『入学試験に通りますように』ぐらいかなぁ」とわたし。

 この神社の境内で、そろばん塾からの帰りに「アオカン」を目撃したことには触れなかった△子姉。わたしも無難に、高校受験を控えて参拝に来たことを挙げておく。まさか吉田京子とたびたび訪れていたことを告白する必要もない…。

 「そのときどきで、みんないろいろお世話になったんやな。みんながまだ小さい頃は家族そろってお参りに来たもんやが、すっかりご無沙汰してしまったな。こうしてまた集まれたんも神さんのおかげや。しっかりお礼せんとな」

 「本当にそうねぇ…」
 「創建四百年かぁ…」
 「なんだか落ち着くね…」

 「みんな、まだまだこれからいろいろあるんや。しっかりお願いするんやよ」

 そう言って母が本殿に深々と頭を下げて柏手を打つ。

 「さ、みんなの幸せはお願いしといたから、今度はみんなそれぞれお願いしたいことをお願いしなされよ」

 ○子姉を中心に△子姉とわたしが両脇に立って3人並ぶ。

 「久しぶりだから、少し張り込んじゃおうかな」

 △子姉が千円札を取り出す。

 「そうね。もう子どもじゃないんだし」と○子姉。

 小銭を握っていたわたしも財布に千円札を見つけて安堵する。

 一礼して柏手を打ち手を合わせる。姉たちはなかなか頭を上げない気配。久しぶりの産廃に願い事も山積しているのだろうか。わたしも五十路から先の人生の安寧を願う。

 「なにをお願いしていたたの? 随分長いことお願いしてたわね」
 「そりゃあ、いっぱいお願い事はあるからね。お母ちゃんの健康でしょ、みんなの幸せでしょ…」
 「模範解答でつまらないわね。わたしはそれだけじゃないわよ」
 「えっ、なに? なに?」
 「ナイショ…」と○子姉。

 「済んだか? じゃあ、戻ろうかね」

 母の掛け声で賛同を戻っていく。

 「お待たせいたしました。じゃあ、戻ってもらいましょうかの」

 母が運転手に告げる。


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