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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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実家での語らい-3

 「懐かしいな」
 「懐かしいね」

 わたしと△子姉は畳の上に寝転がる。

 「わたしが家を出たのって18のときやろ。そんときって、お母ちゃんまだ四十過ぎだったんやねぇ。いまのわたしよりもずっと若かったなんてねえ」
 「○子を産んだんは19のときやったからな」
 「ってことは、△子姉を産んだのが21で、わたしが23か…」
 「23で打ち止めって言ったら随分若いな」
 「まあ、男が産まれるまでは頑張れって、姑もよう言っとったがな…。3人女が続けて産まれりゃあ、なんやすっかり『女腹』っちゅうことになってな。まあ、それでもお父ちゃんは、その、なんだ…随分お励みなさってたがのぉ。あっはっは。…神さんが、産むたんびに姑にやかましゅう言われるくらいなら、と塩梅ようしてくれよったんやろなあ…」

 (確かに、いくつになっても盛んだったもんなあ。避妊してる風でもなかったし…。おかあちゃん、八幡様にお参りしてたんかな…)

 「そやさげ、姑が言うには、あんたらのうちだれかひとりには婿を取らせるっちゅうことになっとったんやけどな」

 「そやよねぇ」と○子姉。
 「そやったん?」と△子姉。
 「知らんかったよ、そんな話」とわたし。
 
 「まあ、婿なんざとらんでよかったんや。おかげであんたらが出ていってからは、のびのび暮らさせてもろうたからな。日々楽しゅう暮らせることが、なにより大事なことやねぇ」

 「お母ちゃん…」

 下の姉がハンカチで涙を抑えている。

 「なに、泣いとるん? △子ねえちゃん。いま泣くとこか」
 「だって、お母ちゃんがなんやかわいそうで。女腹やらなんやらって言われたりして」
 「あっはっは。言うほどのこともないわ。自分さえ楽しければいいと割り切りゃぁ、姑なんざ怖いことなどなかったわ」

 (自分さえ楽しければいいと割り切って…)

 3人の娘が胸に手を当てて何か考えている。

 「なにを難しい顔してるんや。あんたら、いろいろあるやろうが、ウサ晴らしもせにゃああかんよ。人生、一度キリなんやしな」。
 「そう言うけど、おかあちゃんは、ウサ晴らししとったんか?」
 「…それなりにな」
 「うわ…聞きたいわ」
 「聞いたって、なあんや、そんなこと…くらいのもんやわ。アンタたちとそう変わらんで」
 「えっ…なんか知ってるん? あたしらのこと」
 「なんも知らんけど、暮らしが違おうとも、オンナはオンナやからな。同じようなもんやないのかい」

 「同じようなもん…って言っても…おかあちゃんは、おとうちゃんといつも仲良うしとって…うらやましいわ」
 「おねえちゃんは仲ようしとるんやないの?」
 「まぁ…ねぇ…。そういうアンタはどうなのよ?」

 「まあ、ええがな。お互いいちいち言わんでも本人がいちばんようわかっとるわなぁ?はは…」

 「そうねぇ、ほんとに」
 「言えてるわ」

 ○子姉も△子姉もしみじみと同意している。

 「みんな山あり谷あり…。ほんにご苦労さんやわ…。あんたはどうなんや?」

 母がわたしの顔を覗き込むが、言葉もすぐに浮かばない…。

 (…いろいろ、ヤってます…)

 「…まあ、ええ、まあ、ええ。」
 「なんかずるいわぁ、◇子だけええ子になってる」
 「そういうな△子。◇子は昔から察しがええ子や。姉貴たちの苦労もみんなわかっとる。なあ、◇子」

 「え? …うん」
 「『うん』なんてよう言うわねぇ、本当にもう!」

 △子姉がパチンと太腿を叩いてくる。

 「西瓜でも食べるか? 井戸で冷やしてあるぞ」
 「じゃあ、あたし持ってくる」
 「バケツに井戸水組んで足冷やしたなあ」
 「昔はクーラーなんかなかったからねえ」

 母が切り分けた西瓜を縁側に座って食べる。バケツに入れた井戸水に足を浸して。

 「◇子は相変わらず色白でうらやましいわ。○子ねえちゃんも色白で。なんでわたしだけ色黒なのか…」

 スカートをたくし上げる△子姉。

 「◇子の方が白いわよ」

 ○子姉までもが追随してスカートをめくって太腿を見せる。

 「なんやなんや、いい歳して。男もおらんのにそんなに脚を見せびらかして。なんなら裸になってもええぞ」

 娘たちの幼稚な戯れに母が目を細めている。

 「裸になっても男か女かようわからんなぁ…」
 「さすがにそこまでにはなっとらんわ…まぁ、中の仕組みはお役御免やけど…」
 「そやねぇ。もうようやく女から解放されたみたいやなぁ」
 「◇子はまだ大丈夫やろ?」
 「え?…うん。まあ。…かなり不規則やけどな」
 「そうか。じゃあ、もうそろそろかもしれんな。あたしも2年くらい前はそんな感じやったからな。おねえちゃんは5年前か?」

 「なんや、そんな話して。お母ちゃんはまだまだオンナやぞ」

 「ええっ? 本当?」
 「バカ。冗談に決まっとるわ。お母ちゃんたらもう…」

 女たちの笑い声が響く。

 「まあ、オンナでなくなったと言うても、オンナでなくなって、はじめてようやくオンナをたのしめるのとちがうか」

 「まあ、なんとなくわかるわ」
 「あたしも」

 「ほう。オンナをあがった姉貴たちはわかってるようやのぉ。まずは安心やな」

 「いや、そういう意味なら、あたしだってわかるよ」
 「でも、まだつけてしとるんやろ?」
 「え? つけとるって…うん」
 「もういちいち気にしなくていいっていうのはあるわよね」
 「そうそう」

 「ほう。察するにみんなスることはシとるようやな。感心じゃ…」

 「やだわぁ」
 「ほんと」


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