玉子焼きリターンズ-1
久しぶり♪此華です。まぁ今となっては、心臓も丈夫だし!!元気に過ごしてます。そしてなにより私の愛しのダーリン、滄くんと言いますと…
「このか〜、玉子焼きまた失敗したぁー」
…まだ作れないんだよ…。
何をどうしたらそんなに玉子焼きが難易度高くなるのか?混ぜて流して焼くだけじゃん…。むぅ、玉子焼きは奥が深い…。
「このかぁ〜へるぷみ〜」
だぁぁぁぁ!!マジで頼りない男だよ!!
「まだ作れないの!?」
「このか…怒ってる…?」
チワワのような目で見つめる滄。
「見つめるなぁぁぁ!!ったく、私が作るから良いんだけどさ、もしもの時の為に作らせてるのに…。心配だわ…。」
「また此華は居なくなるの…?また前回と同じ流れ…?」
「いやもう治ったから!!心配しないでって!!」
「良かったぁ…。よし、玉子焼きがんばろー!」
下手したら女の子に間違えられるほど可愛い滄にチワワみたいな目で見つめられたら、私だって苦しいわ!!
つか前に「自分変わったっしょ!?」って言ってたけど、ちっとも変化してないじゃん…。人は一年で変わるんですか?変わらないんですか!?
「ほらほら、もう昼だし御飯作るからテーブルで待ってなさ〜いー。」
「っしゃ!!美味しいものが食べれる〜!!」
私と滄は同じ部屋に同居してる大学生。
前に私からプロポーズしたけど入籍はまだ。私ん家はなんか凄いお金持ちだから生活に困ることは今んとこ無し。貧乏でも滄がいてくれれば問題無しかな!!愛!!命!!
昼ご飯を作りながら、ふと、滄と出会った時のことを考えた。
私が滄と出会ったのは大学の帰り道だった。台風が近付いてて、大雨の道を私が家に向かって歩いてた。
最後の曲がり角を右に曲がろうとした時、隅っこに一つの影があった。傘もささずに。
「あのぅ…。大丈夫でしょうか?」
心配になり声をかける私。
「え…あ、成宮さん。この犬が捨てられてたんで…可哀相になっちゃって。傘をパクられたんで急いでたんですけどね。急いだ意味ないですよね。」
ははは、と自嘲気味に笑うのは、大学でも女顔で有名だった鷹端くんだった。
「今時そんなことする人居ないわよ…。」
「でもさ、可哀相じゃん。犬だって一つの命なんだからさぁ、大事にしてあげないと。」
バケツをひっくり返したような大雨の中、犬を抱えて濡らすまい、としている鷹端くんに私の胸は深く脈打った。
「とっ、とりあえず傘入って?私の家に一先ず来て。」
私のお父さんは獣医。私ん家に来てくれればこの犬を保護することも出来る。