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玉子焼き
【純愛 恋愛小説】

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玉子焼き-1

「もーう!何してんのよぉー。」
「あぁぁ!ミスったぁぁ…。」

俺に突っ込みを入れてるのは、成宮此華(なりみやこのか) 勉強も出来て、料理も上手い。しかもスポーツ万能。

それに比べて俺、鷹端滄(たかはしあおい)は、勉強もダメ。料理をすれば、指切るし。スポーツすれば、どこかしら肉離れを起こす。

ちなみに俺は此華と付き合っている。何故だか知らんが、ある日イキナリ告られ、返事する前に付き合うのが決定した。まぁ、嬉しいこと限りないんだけどさ、俺が主導権を握れないのが悔しい。あ、ちなみに俺に惚れた理由は教えてくれない。

で、今は我が家で玉子焼きの作りかたを教えてもらっている。ちなみにタマゴ25個目。

ジュー。
「おいこらぁ!焦げてんぞッ!」
「はっ!あ、あぁ!」
26個目。しゅ〜りょ〜(泣)


「つっかえねぇなぁ…滄は!」
「うぅ…ごめんなさいぃー。」
なんかもう此華に怒られるのが日課になっている。
「あたしが居なくなったらどーすんのさ?」
途端に此華が真顔で言った。居なくなるという言葉を聞いたら、急に不安になってきた。
「此華…居なくなるの?」
「やっ、別にそういう訳では…子犬のような顔で見ないでくれえぇぇ!」

此華は自分の顔を手で押さえて、のたうちまわっている。か…かわいい。
そしてある程度冷静になった頃、「あたし、帰るわ。」と言い、帰ってしまった。
最後に「明日も玉子焼きね。」とも言い残して。

その日、俺がずっと玉子焼きを練習したのは言うまでもない。もちろん、全部黒い塊になったのも。


翌日。
此華が来ない。電話も出ないし、メールに返事もない。
「此華…?」
俺以外いないキッチンで一人寂しく呟く。今まで此華が俺のそばから離れたことは一度もない。

ピンポーン
「此華ッッ!」
急いで玄関を開ける。そこには此華…ではなく宅配便のオッサンが立っていた。

『成宮さんからお届けものでーす。サインお願いしますね。』
(此華から?なんだろ?」
サインを押してやると、宅配のオッサンは出ていった。

一人部屋に戻り、俺宛てのダンボールをびりびりっと開ける。

中には、たくさんのタマゴと一通の手紙が入っていた。

『滄へ。
いきなり居なくなってごめんね。心配したかなぁ?まぁ、前置きはここまでにして、本題に移るよ。私、此華は病気です。心臓ね。泣かないでよ?それで私は今、アメリカで手術を受けるの。成功率は15%なんだって。何もしないで死ぬなら15%に賭けてみようかなって。もし成功したら一年後に帰って来れるのよ。そこで愛しいマイプリンスの滄に宿題をだそうかなって思って。なぁに、課題は簡単。私が元気になって帰ってくる前に、玉子焼きをマスターすること!誰にも負けないような玉子焼きを作って。そしたら私はもっと元気になるよ♪タマゴいっぱい送っといたから。

最後に。いつまでも私の好きな人は滄だけだからね。だから私以外を好きにならないで。絶対。絶対帰ってくるから。
じゃぁね♪』


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