予期せぬイベント-2
梨紗が入社する2週間前に、営業として皆川アンナと言う27歳の帰国子女が中途で入って来た。これは元の人生にはなかったイベントだ。高身長、スリムながらも豊満な胸、茶髪のロングヘアでまるでモデルのような容姿の美女。かなりのハイスペックだ。性格も明るく社交的で陽気、まさにアメリカ育ちの帰国子女と言った感じだ。
「帰国子女と言っても日本に帰って来てもう7年も経ちますので、期待してたらゴメンなさーい!もうほぼ日本人ですから♪」
そう言ったアンナだったが、やはりそこらの日本人女性とはちょっと違う雰囲気はプンプンしていた。
そんなアンナの指導係として修が指名された。
「高梨さん、よろしくお願いしますねー♪」
いきなりウィンクして、悪い言い方をすれば馴れ馴れしいアンナに、何か苦手だなと思った修。しっかりとスーツを着ている事には感心したが、胸元は開け谷間が見え、フトモモが半分ぐらい見えるミニスカート。セクシーさアピールが日本人から見ると度が超えているアンナに、こんな女とは付き合いたくないなと、さすがの修もそう思った。
「てかさー、もう少し肌の露出抑えたスーツ着たら?」
思わずそう言った修。
「えーっ?何でぇ?」
「いや、何でって…」
「セクシーさは女の武器なんですよー?見せてるって事は見られても平気って事だから。チラチラ見られて嫌だったら初めから隠してるしー。高梨先輩ぁーぃ、見ていいですよー♪そんな事でセクハラセクハラ騒ぎませんから♪」
「いやー、だからって…」
「気にしない気にしない♪こんなんで文句言ってたら私の水着とか見れませんよー?」
アンナはそう言って去年の夏にビーチで撮った水着姿の写真を見せる。
「うおっ!ってか、これは水着としての役割を果たしてるのか…!?」
際どいマイクロ水着だった。黒の際どすぎるビキニに目を丸くする修。胸や股間を隠す布切れが異常に小さく、特に股間は良く毛がはみ出さないなと言うぐらいの際どさだった。
「一応ポイントは隠してまーす♪」
「いやだって…、これ、着てないも同然じゃんか…」
「一応着てますんで♪」
そう言ってスマホを引っ込めた。
「て事で、このぐらいの露出、全然平気なんで♪」
「て事じゃねーし。」
「高梨さん、ブツブツ煩いタイプですかー?私、細かいこと煩い人、嫌ぁーい!」
「嫌われても構わないし!」
「そんな事言わないでっ、た・か・な・し♪」
「…(こ、こいつ、嫌い。)」
初体面の人間にズケズケと踏み込んでくるアンナにそう思ったが、気づけばもう2、3年ぐらい一緒に仕事をしている間柄のような距離感になっていた。