チャーム-6
―――とりあえず今日の分、ありったけのお金を病院に持っていきました。
「これくらいじゃ全然足りないよ」ナオが癇癪を起します。
「そんなこと言ったって簡単に稼げるもんじゃないよ。あんただってわかってるじゃない。入院費なら後でもいいんでしょ。少しずつ返していけば」
「それだけじゃすまないんだよ。もっと前借できないのかよ。人が苦しんでるのわかってて、それかよ」
「あたし、パンツを見せてまでこんなことしてるんだよ」
「どうせそれ用のパンツなんだろう。そうだ裸見せろよ」
「そんなのできるわけないし」もう、そうしてしまったことは言えませんでした。
「やってるところ撮影させてやれよ。高く売れるぜ」
「ばか」
「俺としてるのと同じことを、ちょっと見せてやるだけじゃないか」元気な方の手でスカートの中のショーツにさわってきます。
「なあ、たのむよ。お前のきれいな姿を残しておきたいんだよ」
「もう、ナオったら。きちんと寝てなさい。退院したらいっぱい見せたげるから」ナオの手を押さえます。
「見せろよ」
仕方なしに、だれも来ないのを確かめて、スカートを持ち上げると、ずらしてやります。
こんな所で直接触られると濡れてしまいそうです。
「ほら、よだれ垂らしてないで、みんなにも見せてやれよ」指を割れ目にはわせます。
「もう、やだよ」
「これでもか」揺すりました。
「ナオったら、性欲だけは消えないんだね」
「どうでもいい。どうせ何もしてくれないんだ。俺のことなんかどうでもいいんだろ」
わざとのように苦しそうな息使いをします。
わざとのようでも、あたしの心は痛みます
そのまま布団の中に顔を突っ込ませて、彼のものをくわえさせられました。
「なあ、金が要るんだよ」
それを舐めながら、ナオの愛撫に震えます。
それでも痛みは消えませんでした。―――
次の日には。あたしがトイレでさせているという噂が、広がっていました。
「おまえは入れ放題なんだって」何人かの客があたしをトイレに連れて行こうとします。そしてその中の何人かと一緒にトイレに行ってやりました。
≪こんなの、ナオとしてることを、ほかの人ともちょっとするだけのことじゃないの。代わりに治療の援助をしてもらうだけのことなんだから≫ 「何してなぐさめてほしい?」
触らせようとする者、触りたがる者。下に入れたがる者。口に入れたがる者。してほしいようにしてやりました。
ほかの従業員たちはあたしを見て、見下げたような薄笑いを浮かべています。
≪もういい、あんたたちの知ったことじゃない≫
そんな時フロアマネージャーから呼び出されました。
「派手にやってるようだな」あたしが部屋に入って行くと、マネージャーがテーブルを指でたたいて、にらみます。
「さあ」とぼけておきます。 ≪まずいな≫ 口の中で呪文を口ずさんでいきます。気持ちが落ち着いてきました。
マネージャーは立ち上がってあたしの両腕をつかむと前に立たせます。
「この店を使って売春行為か。そんなことされちゃ困るんだよ」
「クビですか。みんなやってるって聞きましたけど」 ここは強気でいくしかありません。
「なんだと、馬鹿な。そんな奴はクビだ」周りにとどろく声で叫びます。
先輩メイドの言うことがみんな嘘なんだとそのとき分かりました。
そして、あたしはやり放題なんだといううわさを流したのがだれかも分かりました。
「どうしました」先輩ボーイが顔を出しました。
「何の用だ」
「すみません、大きな声がしたので‥」声は先細りになって、もぞもぞと言い訳をつぶやいています。
「いいから出て行け」放り出しました。
「誰から聞いた。今は取り締まりがきついんだ」間が開いたおかげで、ちょっと頭が冷えてくれたようです。
「だが、クビを回避する手もあるんだよ。やりようによってはね」マネージャーの声が違います。