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チャーム(charm)
【ファンタジー 官能小説】

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チャーム-15

アパートでベッドに倒れ込んで、服を脱ぎすてると、うとうとしていました。あたしは寝る時はいつもTシャツとショーツだけです。
今日はみんな家族で一緒に過ごしているのでしょう。はじけた若者は恋人と。でもあたしはひとりでした。殺風景な部屋にはクリスマスをにおわすようなものはなにもありません。
≪クロは何をしてたんだろう、こんな日の深夜にでもすぐに駆けつけてくれた。彼女もいないのかな‥≫
たずねたこともありませんでした。無口な彼は全てが謎です。その上、同じウイッチのくせにそれを隠そうともします。
≪あの魔にさぐらせてみようか≫ すぐに見つかって捕まりそうです。そうなったらあたしに記憶がある事がばれてしまいます。
≪様子を見よう。 クロも、ナオも≫
ナオのことは、疑いが生まれたら、一気に広がってしまいます。気にならなかった行動がすべて不審に思えてきました。
≪どんな言い訳も、もう信じられなくなる≫
こんな日には、心までが寒くなってきます。
≪お母さんの所へ行ってみようかな≫ 白樫邸はいつでも歓迎してくれるでしょう。
しばらくして、あいつはパタパタと飛んできて、ショーツに細長い頭を突っ込むと押し入ってきます。
敏感な所にこすれて、声を漏らしそうになります。
「そんな入り方しかできないの」股を押さえます。
「だって、ここから出し入れさせるのが人のやり方なんでしょ」そして体の中でまるまりました。
小さくなると見えないくらいになります。魔にはほとんど重さもありません。
「やっぱりここがいい。僕の家」
おなかが膨らむわけでもありませんでしたが、それでもなんとなく重たいような気分になります。
≪仕方がないのかなぁ≫ こいつはこいつなりに人間の文化を受け入れようとしているのかもしれません。
「あんた、ずっとあたしのところに帰りたかったの? だからあんな、だますようなことをしたんだ」
黙っています。
確かに、『入れて』だけでは絶対に無理だったでしょう。
「ずっとあたしの周りをうろついてたんだ。だからクロのこと知ってたんだね」
「うん」
「クロに言われたのに、どうして記憶を取り上げなかったの」
「あいつは記憶を消せるか聞いただけだよ。それに君はその前に『あたしの役に立ちなさい』と言ったじゃないか」
≪こいつはよく嘘をつく。けど、役にも立つ≫ これをどう見ればいいのかよく考える必要がありそうです。
「おまえ、名前はなんて言うの」
「そんなのないよ」
「じゃ、メリュジーナにしよう」
「名前をくれるなんて思わなかった。メリージーナ。 メリークリスマス、 メリーマイ」
「どう見てもメリーじゃない。『陽気』でも『愉快』でもない」
「もっと楽しんでよ。僕は君へのプレゼントなんだよ。君を救っただろ」
「そしてお前にもぐりこまれた」≪あたしは、靴下程度だっていうの≫ 
クリスマスの朝、変なのが中に住み着くことになりました。
時々虫を食べるのか、出口あたりまで降りてきて暴れることがあります。
そうするとちょっと気持ちよくて、結構よくなって、足をすぼめてしまいます。
癖になりそうです。
「まあ、いいか」
しばらくは飼ってやることにしました。


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