未亡人との歪な関係F-9
胸元にキスを這わされて、何も特別なことなどされていないのに、自分の心が顕になるきがした。
「ーーどこか痛かった?」
佳織に聞かれて気づく。冴子は目から涙を流していた。
「どこも、痛くない……寝起きだから……」
冴子は唇を震わせて、咄嗟に嘘をつく。
「そう」
佳織はそれ以上何も聞かずに微笑んで、冴子の脚をM字に開かせる。
昨日の余韻なのか、既に体液を滴らせたそこに唇を寄せた。
「はぁ、うっん……」
急な甘い刺激に、冴子は体を仰け反らせる。
佳織はねっとりとした冴子の体液を舌に絡ませて、全体にお互いの体液を馴染ませるようにクレバスや、陰核をも優しく舌で舐め、しゃぶる。
それは気持ちよくさせよう、というより、愛おしく美味しそうに味わっていると言った方が正しい。
性的な行為なのにもかかわらず、佳織の視線や、指先や、舌からは、昨晩冴子が佳織に向けたような性的な衝動は、少なくとも冴子には感じ取れなかった。
ーーセックスがコミュニケーションであることを十分に理解していたつもりだったのに、肉体的に気持ちよくなることばかりに囚われて、誰かとひとつになることの精神的な心地良さをすっかり忘れていた。
そして、それは恋人でなくとも共有でき、少なくとも佳織はそういうことができる女なのだということを、冴子は知った。
性欲が強いとか、夫が亡くなって寂しいとか、佳織はそんな短絡的な思考で語れる女では無いのだろう。
心地のいい、優しい愛撫をされながら、冴子はそう思った。
「ん、んんっ……」
心が顕になり、解放されていく感覚が恥ずかしい。
性的な興奮よりも、佳織の体とひとつになり、体を預けているという感覚だ。
「……昨日は気持ちよくしてもらってばっかりだったから……たくさんしてあげる」
「そんな、嘘……あたし、強引に……」
「だから、嫌なんて一言も言ってないって言ったでしょう?冴子さんてば、優しいんだから。ふふ、美味しくてずっとしゃぶってられる」
柔らかな肉びらを口に含み、ちゅぷちゅぷと音を立てて、しゃぶる。
また反対のそれも佳織はしゃぶると、ひだとひだの隙間をも舌を這わせて、まるで汚れを舐めとるように丁寧に舐めていく。
「かお、りさ…ん、恥ずかしい……そんな、んん、いっぱい……」
数え切れないほどの男と、しかも明るい場所でセックスなんて今まで幾度もしたというのに、こんなにも優しい行為が恥ずかしいと思うなんて、冴子は思いもしなかった。
「もう、冴子さんがすごく可愛くて仕方がないの。そんな切なそうな顔されたら、たくさんしたくなっちゃうに決まってるじゃない」
佳織は寝巻きのスエットを脱ぎ、下着姿になると、サイドチェストの引き出しからハンディタイプの電気マッサージ器を取り出した。
「ふふ。これ気持ちいいのかな」
「え……?」