第三十八章 僧侶と司教5-6
今、理解したのだ。
何故、自分がここにいるのかを。
「凄く・・感じる・・のぉ・・・」
(司教様・・・・)
愛おしそうに男を抱きしめる。
(司教様が清めて下さっている)
アズートが言うままを信じ込み、その灰色の瞳を見つめるのだった。
(神が清めて下さっている)
しかしその瞳に邪悪な炎が宿っている事には、全く気づいてはいない。
催眠術の如くマチルダの心は吸い込まれていく。
「お前はもう、ワシのものだ・・・」
その男の言葉が悪魔の調教の仕上げでもあり、始まりでもあった。