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ヤクトリの女
【熟女/人妻 官能小説】

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リュウ-3

 銀三は、公衆電話の通話を終えると近くのパチンコ店に行く。イチが来てから、リュウの事をあれこれ考えたが良い案が浮かばない。銀三は、どう考えてもサツに保護を求めるか逃げるかしか思い浮かばなかった。

銀三が気にしたのは、イチの事だった。イチは、仲間思いの良いヤツで、銀三のグループがまとまっているのもイチがいるからだと銀三は分かっていた。

痴漢しているのが不思議な位、真っ当で優しいヤツだ。何故痴漢してるのか何度も聞こうと思ったが止めた。大きなお世話だし、やりたいからやってるに決まっていたからだ。

このまま、リュウの事を放っとくとイチが無茶しそうなのが気掛かりで心配なのだ。最初に頭に浮かんだ考えを実行する事にした。詳しい人間に相談する事だ。一番の専門家を一人知っていた、小田真理子だ。

だが、真理子に相談を持ち掛ける事にかなりの躊躇いが有った。銀三は、警察を信用していなかった。ヤクトリもサツみたいな物だと思っている。しかし、良いアイデアも浮かばないので相談するだけでもしようと思ったのだ。

いつもより遅れてパチンコ店に入る。遅れたのは、真理子に電話したからでは無い。朝早くから用事が有ったからで真理子に電話する前位に終わったのだ。

平日なのに好きなパチンコ台の『大川物語』は満席だった。何かのイベントの様だ。打とうと思っていた台が連チャンして早くもドル箱を積んでいた。

(これは、今日はツイて無いのか?)

銀三は、他の機種の台は打たない。帰ろうとするとその台を打っている常連の顔見知りが満面の笑みで、

「最初の小魚群で当たったよ!」
「こいつは伸びる!」

と話し掛ける。銀三は笑って頷き、

「ツイてるな。」

と返して店を出た。


 真理子が、時間の30分前にあのホームのこの前会った所に行くと銀三は既に来ており、近くのベンチに座っていた。周りに乗客の姿は無い。真理子は、胸が高鳴り顔が赤くなるのを感じた。

(何で、初恋の相手に会う見たいにドキドキするの?)
(顔も火照るし、しっかりしてよ!)
(協力者と会うだけだわ。)

と自分を叱り付け、落ち着こうと軽く深呼吸をする。そしてベンチに近づき、

「早いですね?」

と話し掛けると銀三は苦笑いして

「ああ、台取り損ねたからな。」
「予定が空いて暇になった。」
「アンタも早いな。」

と返して来た。銀三はベンチを指し、

「座ったらどうだ。」

と言って来る。真理子は頷いてベンチに座った。銀三の横の座席には銀三の荷物らしき袋が置いて有り、その座席を挟んで銀三と横並びに座る。真理子は、暇で買い物に行ったのかなと思いながら上着から封筒を取り出し、

「この前は、ありがとうございました。」

銀三に手渡しながら言う。銀三は受け取り、封筒の中を見て一枚だけ万札を抜くと封筒を返しながら、

「これで十分足りる、残りは返す。」

と話す。真理子は黙って受け取る。銀三はいくら言っても残りは受け取らないだろうと雰囲気で感じたからだ。

その時、電車がスピードを落として停車する。乗客がまばらに降りて全員通り過ぎるまで2人は無言だった。誰もいなくなると銀三は、

「相談が有るんだ。」
「良いかな?」

と待ち切れない様に言って来る。真理子は頷き、

「どうぞ。」

と短く返した。かなり胸のドキドキは収まり、顔の火照りも冷めて来たと思った。銀三は真面目な顔になり、

「最初に言って置きたいが。」
「今から持ち掛ける相談は、本人は知らない。」
「俺が勝手にする事だ。」


と前置きした上で真理子が頷くと、

「半グレと付き合いの有るヤツが抜けたいが抜けられ無いらしい。」
「どうしたら、一番良いかな?」

と尋ねる。真理子は、

「私達の薬物取締局で保護する選択肢が一番安全だと思います。」
「もちろん、関わった犯罪が有れば全て話して貰います。」
「そして、半グレに関する知っている事も全部話して貰う事になるでしょう。」
「情報と犯した犯罪によっては司法取引も可能です。」
「ですが、重大犯罪殺人などに関わっていた場合は余程の情報で無いと取引出来ません。」

と説明する。銀三は真理子の話す事に度々頷きながら聞いていた。銀三が思い出す様に、

「俺も又聞きなんだが、ツープッシュの配達、例の傷害事件が有った時痴漢グループにいたらしい。」
「レイプを撮影したと聞いた。」
「これで取引出来るか?」

と真理子を見て尋ねる。真理子は思案気に眉を寄せ、

「全て関わり具合に寄ります。」
「特に傷害事件、レイプは関わり具合によっては重い罪になる可能性が有る。」
「本人に話しを聞かないと何とも言えないわ。」

と説明すると銀三は唸り、

「そうか、だよな。」

と納得した様だ。真理子が、

「何か有って抜けたいのかしら?」

と逆に聞いて見る。銀三は呆れた様に、

「世間知らずの馬鹿なのさ。」
「半グレの仕事やっといて、配達らしいが。」
「バイト見たいに、すぐ辞められると思っていたんだ。」
「仕事内容が段々とヤバいやつをやらされる様になり、抜けたいと言ったら殺すと脅されたと。」
「同じ様なヤツが抜けようとしたら港に浮かんでビビりまくり何だと。」

と真理子は黙って聞いていたが、

「あの港の溺死体、やっぱり半グレ関係だったのか。」
「あの男性は、半グレの関係者との噂が有った。」

と呟き、

「余り良く思っていない様だけど、どうして相談を?」

と疑問思っていた事を聞く。


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