俺のM女調教日記(33)-1
その頃の季節は秋になりかけていた。
街に出れば、郊外の並木道も、少しずつ寂しげな秋色に染まっていった。
今までには青々としていた葉も色褪せてきて、
それぞれに、黄色や燻んだ色合いをした葉達もそぞろ歩く人達の肩に揺れ落ちる。
その道並みには、色々な人達が行き過ぎていた。
子供と手を繋ぎ、微笑みを交わす親子連れなど。
あの暑い夏も終わり、秋になりかけた頃、暖かい衣を羽織った恋人達は肩を寄せ合っている。
陽が翳り、夕方近くになると、景色は物憂げになる。
街灯が、枯れ葉が散って重なった道をぼんやりと照らしていた。
秋の気配を感じながら、その郊外の建物に向かって、何人かの人達が歩いている。
その場所は、街並みから少し外れており、初めての人は戸惑うかもしれない。
歩きながら、二人の女はなにやら話しながらその館に向かっていた。
その顔は少し緊張しているようだった。
「ねえ、真梨子さん、そろそろかしら」
そう言うのは慶子と言う女だった。
秋だと言うのに、その女が着ている少し華やかなコートが目立っていた。
年齢的に言えば、三十歳を少し過ぎたような肉感的な女だった。
彼女に寄り添っているのは、友人の真梨子である。
真梨子も同年代のようだが、慶子よりは目立ってはいないが
父親が外国人でハーフの為にその顔は美しい。
二人は数少ない友人だったが、とくに二人には共通したところがある。
或るパーティーで知り合い意気投合をした。
パーティーで偶然知り合ったのは友人の結婚式の披露宴だった。
その席で隣同士だった二人は何故か気が合っていた。
披露宴が終り、帰りに一緒に歩きながら、近くの喫茶店に入っていった。
店に入ると男の客達は、二人のその華やかな出立に目を止めていた。
コーヒーを啜りながら慶子が言った。
「素敵でしたね、さっきの披露宴……」
「ええ、麻美さんでしたよね、お綺麗でした」
「はい、あ、まだ私達は紹介していませんでしたね、私は鮎川慶子と言います」
「わたしこそ、牧本真梨子と申します」
こうして、二人は打ち解けてしばらくそれぞれに話していた。
「なんか、私達、気が合いそうね」
「ええ、私もそう思います」
二人はお互いに顔を見つめて微笑んでいた。
やはり、結婚式の披露宴の後ともなれば、気持ちは高揚していた。
好奇心が旺盛な慶子は、真梨子にあることを試していた。
その後の出方は、話題に彼女が乗ってきた場合による。