ミライサイセイ act.2 『不安定な球体』-7
そしてそれを潰したのは、紛れも無い僕だ。
「そんな顔をするな」
言われて僕は、はっとする。
「いい加減自分を許せよ。お前が悪いわけじゃない」
自分を許す?
それは出来ない ――― 兄さんの未来は、もう再製できないんだ。
どうして何も無い僕が生き残り、全てを持つ兄が死んでしまったのか。
考えない日など、一日も無い。
考えて、考えて、考えてかんがえてカンガエテ
深く闇に堕ちる。
それは幸せを断絶する、真空の闇。
僕は幸せにはなれない、なってはいけない。
だからその分、僕の周りにいる人たちだけは、絶えず笑っていてほしい。
そう願ったのは、兄が死んだ直後だった。
僕が生き残ってしまった罪は、果てしなく大きい。
「おい。俺の目を見ろ、あきら」
下げていた視線を大地に向ける。
「あやが、お前から離れた理由はそれだよ」
「え?」
「お前は、人の死に対して異常なコンプレックスを抱いている。もし次、同じように大切な人を失うような体験をすれば、お前は立ち直れないって言ったんだ!」
「一体何の話だよ」
「あやの話だ!!」
大地の声が震えている。僕の膝が震えている。
得体の知れない何かが、背後から迫っている。
例えばそれは、絶望の音色に似ている。
僕は力なく、背もたれに体重を預けた。
大地は、頭を抱えながら呟いた。
「彼女は、そう長くない」
to be continued / by delta