その10 茶道講師の女を茶室で調教-2
夕刻の静寂に包まれた厳かな茶室には、私と房江しかいない。
房江の茶室で茶を煎じて貰い、それを出された茶碗で啜る時、私の心は落ち着いていた。
もちろん、房江はきちんと着物を着ている。
いつものように茶を飲む前に、房江は私の前に茶菓子を差し出した。
「ご主人様 、どうぞ、お菓子をお召し上がり下さい」
「ありがとう、では、頂きます」
私は目の前に出された茶菓子の器を両手でもって少し持ち上げ、軽く会釈をした。
「どうぞ」
房江は微笑みながら、じっと私を見つめていた。
しかし、その微笑みの中に、私には房江が何を思っているのか想像できた。
その微笑みは穏やかで、私が初めてこの茶会に招かれた時のように、
少し緊張していた時の房江の顔ではなかった。
私という男に抱かれて、女としての快楽を知り、さらにM女として
私に奉仕する喜びを知ったからなのだろう。
それは、二人だけのこの茶会の後で房江が、
この茶室の中で、淫らな姿で私に調教されることになっているからである。
それゆえに、茶と調教に別にしておこうという私の提案に房江は理解した。
私としては、そのケジメをつけて、その後の房江を楽しもうと言う思いがあるからだ。
だが、調教は良いとしても、この茶室で行うことに房江は初めは躊躇していた。
ホテルで、房江を抱いている時に、私は房江に言った。
「これから、気が向いた時に、お前の茶室でも調教をするからな」
「ええっ! ご主人様 、房江はご主人様 の愛奴として尽くします、でもあの茶室の中では……」
「いやだと言うんだね」
「は、はい……できれば……ですが」
「ダメだ、そのほうが私は盛り上がるんだよ、わかったな、房江」
「はい、でも……」
「しかし、お前の茶を楽しんでからにしよう、その時には何もしないよ」
「は、はい、わかりました」
そのホテルでは手を縛られ、後ろから犯されている房江は官能の世界の中で、
私の言いつけにはそうするしかなかった。
調教が終わり、私が房江の膣の中に射精した後、房江は私に抱かれながら、
「もう、ご主人様ったら強引なんですもの」
そう言いながらも房江は嬉しそうだった。
「でも、スリルはあるだろう?」
「それはもう……大変なスリルですわ」
そのとき、私に抱かれている房江の目が眩しかった。
これが、そのときの話である。
茶室の中で、私は房江の出した茶菓子を食べていた。
次に房江はちょうどいい湯加減で抹茶を茶碗に入れて、わたしの前に差し出した。
「ご主人様、どうぞ、お飲み下さい」
その手が微かに震えているのが私には分かっていた。
この後の調教のことを意識しているからだろう。
「では、お点前を頂戴いたします」と言って私は慇懃に頭を下げ、
茶碗を軽く右手に添え、正面から少しずらし軽く茶碗を持ち上げ、
それを三口半でゆっくりと喉に流し込んだ。
そのときの綺麗な色の抹茶は私の渇いた喉にはとても美味かった。
私は飲み終わり、しばらくしてから
「房江さん、いつも見事なお手前でした」
私は丁寧に頭を下げて言った。
「いえ、ありがとうございました、ご主人様 」
房江は嬉しそうに私の顔を見つめていた。