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恥ずかしの高校ミスコン
【学園物 官能小説】

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審判者-2

 60歳手前だが、ダンディさとエネルギッシュな雰囲気を感じさせる大柄の男性だ。焦茶色のダブルのスーツに身を包み、やや派手目の柄のネクタイを締めている。
「ようこそ、ミス和天学園候補のみなさん」
 三田村は全裸で入室した3人の女生徒を、満悦の表情で迎えた。
 これまでさんざん男たちに見られてきたとはいえ、こうして学園で一番偉い人物に裸身を晒すのは、これまた質の異なる恥ずかしさと緊張に見舞われる。美景もそれをひしひしと感じていた。

「今までのことは、こちらの部屋でたっぷり楽しませてもらったよ」
 三田村はそう言いながら、デスクから見て左側の壁を指す。
 そこには大型のスクリーンがあった。三田村が手元のPCを操作すると、さきほどまで会議室で開かれていたコンテストの模様が映写された。
 制服姿で並んだファイナリスト5人。恥じらいつつ脱いで下着だけの姿になる様子。男子生徒たちが見ている前で、下着姿で繰り広げられる美少女たちのパフォーマンス。男の子たちのにやけた表情。勝ち残った3人がいよいよ下着も取り、一糸まとわぬからだを晒すところ……余さずだ。
 その模様は会議室に設置されたカメラで一部始終ここまで届けられていたのだろう。三田村はこの理事長室でそれを堪能していた。今見せられたのは、その録画というわけだ。

「いやぁっ!」
 少女たちの悲鳴があがった。今も裸だとはいえ、こうやって自分たちの恥ずかしい姿を大々的に映し出されると、それとは別の恥辱に見舞われる。ついさっきまで堂々とした態度を崩さなかった奈津江とて、声こそあげなかったがこれはかなり堪えた様子だ。

「みんな、それぞれ素晴らしいじゃないか。さすがはわが学園の誇る美しい娘たちだ」
 三田村は3人を絶賛したが、それで喜べるわけもない。

 ここにきて、美景はこのミスコンの意味をおおむね理解した。それは何より、理事長が楽しむためのイベントだったのだ。主催者に理事長が名前を連ねていたのは、単に名前を貸したというだけではなかった。
 現理事長の三田村は、昨年の暮れに就任した。過去には短期間校長を務めたこともあると聞くが、直前は一理事だった。公式には前理事長で学園創立者の甥の息子にあたる南原の病気のために交代したということだが、一説ではクーデターで追い出したという噂も流れていた。
 ただそれで学園の教育方針が大きく変わるようなことはなく、生徒の自主自律を尊重する校風を引き継いで発展させようという姿勢だったし、紳士的な一方で親しみやすい雰囲気もあったから、全般に生徒にも保護者にも評判は良かった。それが、裏の顔にこんなものを持っていたとは……。
 今年から文化祭にミスコンが導入されたのは、表向き生徒会が決めたことになっていたが、実は就任して実質1年目の理事長が裏で糸を引いていたわけだ。生徒会長も副会長も男であり、美貌の女生徒たちの裸を堪能するまたとないチャンスとなるのだから、乗って悪い話では無かったのだろう。
 そうしてコンテストを開き、非公開の本選会を催してこの理事長室から審査の過程、少女たちの痴態を存分に楽しんだ挙句、最後の最後にここに呼びつけたのだろう。

 変態、悪趣味、破廉恥、ロリコン、スケベオヤジ……口には出せないが、美景は内心そんな風にも言いたくなった。

「ご苦労だったね、福部くん。あとの2人はいったん外に出てくれるか」
 このねぎらい方からして、福部は三田村にずいぶん気に入られているのだろう。これまでの審査での進行役も明らかに楽しんでいたが、そういう役目を与えられたのも三田村の覚えが良いからに違いない。
「では3人とも並びなさい」
 そして三田村は、美少女たちを自身の前に横並びにさせた。

「理事長、このなかで一番綺麗なのは、やっぱり私ですよね?」
 なお優勝への意欲を燃やす奈津江は、率先してセンターを占めて、懸命に訴えた。ここで理事長に自分の魅力を全力でアピールし、ここまで美景に負けている評価を覆すことに賭けようとしていた。
 このときばかりはさすがに、彼女の一人称も普段の「あたし」から「私」になっている。

「まあ私としても、これまでの審査員諸君の苦労を無駄にしないためにも、その評価は基本的に尊重するつもりだ」
 三田村の返した言葉は、そんな奈津江をがっかりさせるものだった。そして彼は続ける。

「私が行うのは、ミス和天高として本学園を代表する資格の、最終的な確認だ」
 資格? いったい何のこと? 3人は、それぞれ怪訝な面持ちで戸惑う。
「仮にも学園を代表する娘ともなれば、ただ容姿が美しいだけでは務まらぬ。学業も、品行も、それに相応しい立派なものでなければならぬ」
 そう言って、三田村は卓上の書類を見やり、またPCを操作して画面もチェックする。

 奈津江は困惑した。学業……? そんなことまで選考材料になるなんて聞いてない。それでは当然ながら優等生の美景に圧倒的に有利だ。奈津江も赤点を取るほどの劣等生ではないが、よくて平均程度の成績しか挙げたことがない。逆転どころかさらに水をあけられてしまう。
「試験じゃないんです。ミスコンに、学力なんて関係ないじゃないですか、理事長」
 抗議したのは美景だった。それは、もしミスに選ばれた場合に何か恐ろしいことが待っていそうな予感があったからでもある。
「その通りですよね。あんたって結構フェアなところあるのね、深瀬さん」
 そんな美景の思惑も知らず、あくまで勝ちにこだわる奈津江は、呆れ気味に彼女に言葉をかけた。あたしが言いたいことをわざわざ代わりに言ってくれるなんて。そうやって自分に有利な材料を自分から放棄しようなんて。
「まあ、深瀬くんは申し分なしとして、残る2人も落第点を取ったことはないようだから、必要最低限の成績は満たしているものとしよう」
 そう言われて、奈津江も頷いた。


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