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恥ずかしの高校ミスコン
【学園物 官能小説】

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審判者-1

「どういうことなの? あたしが一番じゃないなんて!」
 どんな基準で評価されたのかは知らないが、自分の評点が美景より下回っているのを聞かされて、奈津江はいきり立った。

「なんであたしが、こんな貧乳パイパンの色気も無い女なんかに負けるんですか?」
 美景を片手で指さし、彼女をあからさまに侮蔑するような言葉を吐きつつ、もう片手を握りしめ、奈津江は昭代に激しく抗議した。
 美景自身はその罵詈雑言をさして気にかけなかった。そもそも得点1位になったことに喜びを感じてもいない。ただ、これでやっと終わった、という安堵感が先に出ていた。

「落ち着きなさい大渡さん。今のは中間発表。ミス和天高校が決定したなんて誰も言ってないのよ」
 昭代にそう宥めるように言われて、奈津江もとりあえず握りしめた拳を解いた。

「まだ、あるんですか?」
 これでともかくも解放されると思っていた梨佳が不安げに尋ねた。
「ミス和天の最終判定は、これから第二会場に移って行います」
 まだ審査があることを告げられ、もう終わりだと思っていた美景はまたも気が重くなった。今度はいったい何が待っているのかも空恐ろしくなってくる。

「先生方、本日はお疲れさまでした」
 こうして男性教師陣は、にやりと満足げな表情を浮かべて席を立つと、この場を後にしていった。
「生徒会の2人は、この場の後片付けを頼みます」
 あとは昭代と、女性教師2人だけだ。

「では第二会場に移動します」
「第二会場って、どこですか?」
「いいから、ついて来なさい」
「あの、服は……」
「まだその恰好のままです」
 こうして少女たちは、一糸まとわぬ姿のまま廊下に連れ出された。昭代が先導し、他の2人の女性教師が付き添っている。

 部外者立ち入り禁止の今日だから、他の誰かに見られる心配はないはずだ。それはわかっていても、全裸で廊下を歩くのはそれ自体が恥ずかしくてたまらない。
 最終会場とは、いったいどこへ向かうのか。そこで何が待っているのか。それもまるで知らされないまま、不安と恐怖に苛まれながら歩かされるのは、美景には死の行進にも等しく感じられた。
 廊下の端まで着くと、昭代はエレベーターの上階行きのボタンを押した。

 とりあえず他の誰にも見られることはなさそうなので一息つくと、美景には、かねてから気になっていたことに、ここで思いをめぐらせ始めた。

 この卑猥極まりないミスコンは、結局誰が楽しむためにやっているのか、ということだ。
 生徒会の面々ではないだろう。表向きは生徒会が企画したイベントとしてミスコンは立ち上げられた。確かに彼らは文化祭の時は前面に立ってコンテストを主導していたが、この本選では審査員を務めてはいるものの、ほとんど前面には立っていない。それに、教師たちまで抱き込んでこんな破廉恥なイベントを開催するなど、さすがに生徒会で出来ることとは思えない。
 ここまでコンテストを進行させ、出場者たちに恥ずかしいことを促してきたのは司会の昭代だった。女生徒たちが恥じらうのを見て、明らかに楽しんでいた。とはいえ彼女も女だ。それに若い女の子たちを辱めて楽しむという、高校の教師には全くあるまじき悪趣味を持っていたとしても、そのためだけにこんな大々的にコンテストを開こうとするだろうか。だいたい一教師でそこまでのことができるとは考えにくい。
 審査員に選ばれた男の生徒たちや教師たちにしても、それぞれに目を楽しませている様子だったとはいえ、コンテストそのものを統括する立場にいそうな者は誰もいなかった。
 とすれば、中心人物はあの場にはいなかった。別に誰か黒幕がいて、その主導をしているはずだ。その黒幕が楽しむためにやっているのが、この破廉恥なミスコンということだ。
 美景の明晰な頭脳は、そこまで推理を進めていた。
 けれど、その黒幕とは、いったい誰なの……? まさか……?

 エレベーターに乗り込んでからも、美景は考え続けていた。昭代が押したのは一番上の5階のボタンだ。
 それでほぼ、美景の中でも結論が出た。目的の5階に着いてエレベーターを出て、昭代が案内した部屋のドアには、「理事長室」のプレートがあった。彼女が考えた通りだった。
「ここが、第二会場よ」
 梨佳も奈津江もそこまで考えは及んでいなかったのだろう。部屋の前まで来て、はじめて驚愕した様子だ。

「審査の最終決定は、理事長が直々に下してくださるわ。くれぐれも失礼の無いようにね、みなさん」
 そして、昭代がドアをノックする。
「理事長、出場者の生徒たちをお連れいたしました」
「入りなさい」
 昭代がドアを開けると、中には和天学園の理事長である三田村友常が待っていた。



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