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恥ずかしの高校ミスコン
【学園物 官能小説】

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罰遊戯-2

 だがラストから2人目、2年生の本山太一は「美景ちゃん」ときっぱり言い、彼女を慄然とさせた。
 忘れかけていたことを、美景は今さらのように思い出した。彼は前年のクラスメートで、入学早々美景にアプローチし、告白してきた男だった。絶対に容姿しか見ていなかったし、あまりの軽薄さに彼女は何の躊躇もなく断った。本当にどうでもいい男にしか思えず、それ以後も同じクラスでもほとんど関わらなかったから、記憶の片隅に追いやられていたことだった。
 まだ未練があるのか、それとも振られたことを根に持って、腹いせに裸にしてやろうと投票したのかはわからない。それにしても勝手に名前呼びするとは馴れ馴れしい……。

 ここまで早織が0票で、脱落となった。奈津江とセクシー系で被り、いくら高1にして大人びた色気があるといっても、奈津江の方が1学年上で成熟度も圧倒的に優る。セクシー系好みの男子の票が奈津江に流れるし、また可愛い系の顔立ちなら梨佳の方が評価は高い。魅力が中途半端だったというべきかもしれない。
 もとより早織は得票5位でファイナリストに入ったとはいっても、票数は上位4人とは明らかに見劣りした。敗退も当然の結果といえよう。最初から4人で争ってもよかったかもしれない。
 敗退したことよりも、裸にされずに済んだことで彼女はむしろ安堵の表情を浮かべ、ほっと息をついていた。美景にはそれが羨ましく思えた。

 最後の投票者は、美景の科学部員仲間の柏井文之。他の面々の投票行動を見て後出しの選択をできる、たいへん有利なポジションだ。
 すでに通過か敗退が確定している奈津江や梨佳、早織に入れれば残る2人の決選投票になる。だがそれはわざわざ死票を投ずるに等しいから、自分の投票で事態を左右したければ、美景か琴音のどちらかに入れるのが合理的な選択のはずだ。つまり、最推しでなくても、より裸を見たい方に入れれば良い。賢い美景は、それぐらいまですぐ考えを及ぼせる。

 こうして柏井は完全にキャスティングボートを握る立場となった。美景からすれば、運命の1票だ。
(お願い、柏井くん、私を選ばないで……秋村先輩に入れて……)
 美景は柏井の目を見て、訴えた。それは琴音には気の毒かもしれないが、琴音は審査通過を受け入れているようなのは、票が入った時の頷く様子でもわかる。だから、彼女に……。動悸がいよいよ激しさを増してくる。

 柏井は、迷った。彼はずっと科学部の仲間として美景と楽しく語らってきた一方で、ひそかに彼女に思いを寄せていたのだ。
 当然、彼は美景がこの5人の中で最も綺麗で、魅力的だと思っている。それ自体は本心だ。ここで美景を選んだら、その彼女の一糸まとわぬ姿を生で見ることができる。今まで何度となく、「ごめん……」と罪悪感は覚えつつも妄想の中で彼女を裸にして、独り遊びに耽ってきた。それだけに、夢みたいなことだ。

 その一方で、好きな女の子をそんなふうに酷い目に遭わせるのは、可哀想でたまらない。彼女は明らかに恥ずかしがっている。ここで美景を選んだら確実に嫌われ、二度と恋人になるチャンスなんてなくなってしまうかもしれない。琴音に入れさえすれば、それは避けられる。そうして美景を救うべきではないのか。それが男ではないのか。

 その葛藤ゆえ、美景の訴えるようなまなざしからつい目をそらして視線を落とすと、彼女に残された純白のブラジャーとパンティが目に入ってくる。彼女のあの下はどうなっているのだろう、この目で見てみたい……そんな思いがいよいよ募ってもくる。

 その衝動に負けそうで、柏井は床にまでさらに視線を落とした。そんなときに、今までの美景との思い出が押し寄せるように少年の脳裏に浮かんでくる。
「わあ、ちゃんと色変わった!」
 化学実験の成功や生き物の観察に、普段のクールさとは打って変わって子どものように無邪気に目を輝かせた彼女の姿。
「数学95点、生物98点、化学93点、現代文36点、古文24点、世界史28点―どうしてこんな差が出るの?」
 理数系の成績は抜群なのに文系科目はダメダメの彼に対して、全教科よく出来る美景が半ば呆れながら赤点脱出を手伝ってくれたこと。
 ただの成り行きで2人だけで科学博物館の特別展に行った時。美景にそんな気は全くなかっただろうが、彼はデートしているつもりで内心ドキドキしていたこと。
……これぐらいではとても足りない。

「何ぐずぐずしてるの柏井くん。早く言いなさい」
 これまでの10人はほぼ即答したのだ。柏井に、ゆっくり思案する時間など与えられていなかった。

 せっかく深瀬の裸を拝めるチャンスなのに、ここで棒に振ってどうする。どうせもう下着姿だって見てしまったんだ。いや、だいたい好きな女の子を一番美人だと言って、何が悪い……。邪な思いが黒い毒ガスのように心を覆っていくのを、彼は止められなかった。

 半ば自分をごまかしつつ、柏井は口を開いた。
「深瀬に、1票」

(そ、そんな……ひどい、柏井くん……!!)
 美景は心臓も凍りそうな思いだった。


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