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恥ずかしの高校ミスコン
【学園物 官能小説】

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罰遊戯-1

 ぜ、全裸審査!?

 男子生徒たちから歓声があがる中、美景は凍りついた。

 ここまで下着姿を男子たちに晒す辱めに懸命に耐えてきた。美景としては、もう心折れる限界に近い。それどころかさらに裸にまでされるなんて、恥辱も度を越している。まして高校生にさせることとしては、もう狂気の沙汰としか思えない。
 もし投票に勝ち残りでもしたら、その運命が待っている。

 それは酷い罰ゲーム以外の何ものでもない。美しければ美しいほど、魅力的であればあるほど課せられる、理不尽極まりない罰ゲームだ。それを言うのであればこのミスコン本選会自体が、壮大な罰ゲームも同然といっていい。

「ありえません! 裸になれって言うんですか? 非常識にもほどがあります!」
 美景は我慢ならず、聞き入れられないとは知りつつも抗議せずにはいられなかった。さすがに納得できないという出場者は他にもいる。

「本当に誰がいちばん美人なのかは、一糸まとわぬからだにしてみないと分からないもの。当然でしょ」
 無茶苦茶な理屈としか言いようがなかった。

「これ以上異議を勝手に申し立てることは不当な棄権行為とみなしますよ」
 何を言っても聞き入れられることはないのは、もうわかりきっていた。

 こんなコンテストになんて、出なければよかった。
 もともと出たい気など全く無かったから、クラスメートたちから推された時にも固辞すべきだった。
 文化祭のあれだけなら良かった。実はそれは予選で、上位得票者は非公開で本選を開催する。それを知らされた時、なにか怪しさ、いかがわしさを感じた。その予感を信じて本選を辞退しておけば、こんなことにはならなかった。
 ここまでされるぐらいなら、あの時退学覚悟でこの部屋を蹴って出た方がましだったかもしれない。

 美景は、下着だけの姿で16歳の肢体を恥じらいに震わせながら、後悔に苛まれていた。
 しかも下手をすれば、下着姿では済まないことになるのだ。

 こうなったら、男子たちの投票で勝ち残らないことを願うしかない。

「じゃあ男子諸君、3分間だけ考えていいから、それから投票してね」
「はーい!」
 男子たちは頷いて返事した。「全裸審査」と聞いて歓声はあがったものの、特に驚いた様子でもなかったから、これがプログラムに入っていることは最初から知らされていたのだろう。

「出場者のみんなは、見比べられるように前に並びなさい」
 指示されるままに、5人は並ぶ。成り行きで美景がセンターになってしまった。こうしてシンキングタイムの3分の間、下着姿の5人の美少女に向けて、男子たちのまなざしが交錯した。

 要するに彼らにとってみれば、裸を見たい女の子に投票するというわけだ。

 もう推しを完全に決めて1人に目を注いでいる者から、誰にしようかと視線を左右させる者まで、いろいろだ。

 美景は、そうした交錯するまなざしを時折からだに受けながら、敗退することをひたすら祈っていた。
 ミス和天高校の栄誉なんて別に要らないが、学費免除のためであっても、全裸を晒す辱めを受けるなんて冗談にもありえない。だいたいそんなことで学費免除を勝ち取ったとしても、両親は悲しみこそすれ決して喜ぶことはないはずだ。
 他の4人は、どういうつもりなのだろう。それを訝しみながら、彼女は審判の時を待つばかりだった。次第にドキドキと動悸が激しくなってくる。

「時間よ。じゃあ谷崎くんから、順に言っていってね」
 昭代が告げると、向かって左端の2年の谷崎徹弥が開口一番、「梨佳ちゃん」と決然と宣言した。この呼び方でも歴然とわかるように、彼はもっぱらの梨佳推しだ。さっきから、彼女の下着姿以外は眼中に無かったにも等しかった。

 それに続いて、順々に男子たちが名前を挙げていく。
(お願い、みんな、私に入れないで……)
「大渡さん」「琴音さん」「大渡」「梨佳先輩」。名字呼びと名前呼び、敬称の有無が交じっていた。最初の5人まで自分が全く呼ばれなかったので、美景はほっとする。このまま誰も入れないでくれれば、この地獄を抜けられる……。

 だが6人目、生徒会長の船戸政和が、「深瀬さん」と口にした。
(会長、やめて……!)
 面識もある船戸が自分の名前を言ったので、彼女は身震いした。でもまだ1票だけだから……そう気を取り直し、次の声を待つ。

「大渡」―副会長の小林敬一は言い切った。11人の投票で5人中3人を選ぶのだから、3票取れば最終審査進出は確定する。
 奈津江もそれを理解していて、小林の発言を聞いて頷き、小さくガッツポーズまでした。彼女はたとえ裸身を晒してでも審査に残り、ミス学園の座を勝ち取りたいらしい。

「秋村先輩」「梨佳ちゃん」……これで2人目、梨佳も通過した。奈津江には負けたくないのか、対抗心に満ちたまなざしを奈津江に投げかけもした。

 投票者はあと2人で、枠は残り1つ。ここでどちらかが琴音を選べばその時点で全ての枠は埋まり、美景の敗退が決定する。彼女がプロ野球に詳しければ、「マジック1」とでも表現するところだっただろう。
 そうなる結果を祈り、美景の慎ましやかな乳房の下で、心臓がいよいよ高鳴ってくる。


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