両想い?-2
とある月曜日、弥生と茜が修のところにやって来た。
「ねーねー、昨日私達動物園行ったのー♪」
「動物園?」
何でそんな話をしてきたのか意味がわからなかった。
「ほら見てよ、パンダ。可愛いでしょー?」
弥生は修に写真を見せる。
「パンダとか興味…、うおっ!?」
弥生は目を丸くする修を見てニヤニヤする。
「ちょっとー、パンダじゃなくて違うの見て可愛いとか思ってないよねー♪」
その写真はパンダの前でピースサインをして笑う恭子の姿が写っていた。
「…、これくれ!!」
手を伸ばす修から写真を遠ざける。
「どーしよーかなー♪」
すると茜が別の写真を見せる。
「ほら、こっちはレッサーパンダちゃんだよー!」
それにも恭子が写っていた。
「く、くれ!!」
「どーしよーかなー♪でもこっちもあるんだけど♪」
「だー!全部くれー!」
それらの写真はたまたま恭子が写っていたのではなく、恭子が好きな自分の為に意図的に撮った事は明らかだった。
「頼むー、くれー!」
「キャハハ!高梨くんてそんなに動物好きだったっけー??」
「違うよ、弥生♪大好きな恭子ちゃんが写ってるからでしょー♪」
「えー、そうなのー?♪高梨くん、イヤラシー♪」
「イヤラシくても何でもいいから、くれー!」
「キャハハ!!」
揶揄う為だろうが何だろうが構わないが、明らかに自分の為に恭子の写真を撮ってきてくれた気持ちは嬉しかったし、感謝した。
「マック!じゃあマック奢る!!」
弥生と茜は目を合わせてニヤッと笑う。
「しょうがない、それで手を打つとしましょーか♪」
そう言って恭子の写る写真を全部修に手渡した。
「ありがとー!ありがとうな、弥生、茜♪」
「アハハ、またいっぱい撮って来てあげるよ♪」
修はその写真を鞄に閉まった。
今すぐじっくりと恭子の写真を見たくて仕方がないところだが、そろそろ中学最後の大会が控えており、部活も頑張らなきゃいけない。二度目の人生、セックスも大事だが、2回戦敗退した最後の大会も後悔の一つである。修は元々の人生以上に一生懸命部活には励んできた。弱気になったあのマウンドでの自分が悔しくて堪らなかった。修の野球レベルは確実に上がっていた。恭子にも野球にも全力で立ち向かう修であった。