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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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お守り-1


 空港線は、終点が近づくと整備エリアの下あたりで大きく左カーブする。ドアに向かって立っている俺の足にぽん、と赤いキャリングケースが当たる。振り向くと慌てた表情の女性がごめんなさい、と小さな声で言った。いえ、と返事してちょっとだけ微笑んでおく。このカーブでキャスター付きのキャリングケースが動いて身体に当たってくるのはよくあるし、この女性が今後うちのお客様になる可能性だってある。なんにせよ、愛想よくしておくに越したことはない。
 ドアに向き直った俺はもう一度小さく笑った。心の余裕って大事だな。イライラすることも減るし、今みたいに他人に寛容になれるし、結果自分や自分のまわりが平和になる。いいことずくめだ。ぜんぶしのちゃんのおかげだな。特にしのちゃんの「お守り」の。
 そう、しのちゃんが俺にくれた、大切な「お守り」。神社仏閣のそれとは違ってそうそう気軽に持ち歩けるものではないけれども、どんな有名な総本山のお守りよりも加護がありそうな、レモンイエローの巾着袋に入ったラベンダー色のお守り。


 終点の空港駅で電車を降りる。一般の乗客がほとんど利用しない、ホーム東端の改札口から出て、狭いコンコース途中の右側にあるドアからテンキーに暗証番号を入力して制限エリアに入る。いくつか並んでいるオフィスのいちばん左奥にある「さくら太平洋航空 SAKURA PACIFIC AIRWAYS」とレタリングされたガラス戸を、ここは社員証でスマートロックを解錠して開く。中は灯りが消えていて人の気配はない。また俺が一番乗りか。
 タイムカードを社員証で打刻し、壁のパネルで照明とエアコンをオンにする。自分のデスクのPCを起動させ、パーテーションの裏にあるロッカーへトートバッグを放り込む。
 以前ならここで、隣のロッカーが施錠されているかどうかをチェックし、うまいぐあいに開いていたら中を物色していたところだった。同い年の同期、琴美のロッカーにはたまにお宝が放置されている。伝線したパンスト、忘れ物のハンカチ、飲みかけのままのペットボトル。いちばんおいしかったのは、どうやら彼氏の部屋かどっかにお泊りした翌日の出勤時にロッカーにしまったまま置き忘れて帰ったポーチの中の洗濯前のショーツだ。よっぽど濡らしたのか、クロッチ部分がガビガビになって茶色いシミがくっきり残るショーツに残った、セックスする直前の琴美の膣臭でこの場で抜いたときは、お宝発見時に備えて俺のロッカーに常備してあったティッシュで抑えきれないほど噴出して床に垂れた精液の処理に慌てた。あんときは焦ったわ。そういえばしのちゃんと出逢ってからは琴美でシコってないな。
 さっき俺が通ってきた、コンコースに設置されたドアが閉まるばしゃん、という音が聞こえた。うちの始業時間にあのドアを出入りする他社の人はほとんどいないから、ばしゃんイコールうちの会社の誰かが出勤してくる音ということになる。この音がアラーム代わりになっていたから、社内でおちんちんを出してオナニーしてもある程度安全だった。
 やがてスマートロックがピピッ、と解錠されて誰かがオフィスに入ってきた。デスクの上にペットボトルっぽいものを置く音がし、やがて琴美がパーテーションを回ってきた。

「やん、いたんだ、おはよー」

 日焼けした丸っこい顔をほころばせて琴美が言った。口元からきれいに並んだ、どちらかといえば小粒な白い歯が覗く。

「おはよ、わりいな今日も俺が先だよ」

 自分のロッカーを右手で閉める俺のそばに琴美が近づいてくる。

「うん……今日こそ先に出社しようと思ったんだけどさ、青葉線が遅延しちゃってて。通勤急行止まってるし」

 俺の隣に立って、自分のロッカーを開けようとしている琴美の口から、唾液が揮発したときのような匂いがほんのりと漂ってくる。琴美は俺とそんなに背丈が変わらず、どんなときも相手の顔を見ながら話すから、琴美が近くにいて口を開いているとたいてい琴美の息臭を嗅ぐことになる。いい匂い、ではないけれどいわゆる口臭とも違う琴美の息臭。考えてみれば、俺が匂いフェチに目覚めたのはこの琴美の息臭がきっかけだったのかもしれない。

「青葉線、て、琴美んちと関係ないじゃん」

 俺のツッコミに琴美はえへへ、と笑った。コーラルピンクの色付きグロスがうっすらと塗られた唇。ちらりと見える歯茎と舌。こいつ、また彼氏んとこにお泊りしてきたのかよ。さすがにそう認めたことはないけれど、琴美にはこういう脇の甘さがある。
 それが、俺が琴美をオナペットにした理由のひとつだ。割合にかわいい―というか幼顔の―あまり色気のない雰囲気の琴美が、自分の性愛を匂わせる言動をしたり、その私物や無邪気に嗅がせてくれる息臭が俺に琴美の性愛を容易に想像させたりしてくれたりする、そのギャップ。彼女ではないけれども同期としてある程度親しい女の子のプライベートを妄想する興奮と、それを補完する、無邪気に嗅がせてくれる息臭や、脇の甘さゆえの施錠忘れで漁らせてくれた私物に付いているなんらかの分泌液などの、さまざまな匂い。今だって俺のおちんちんが半勃起くらいしてきたのは、いま嗅いでいる琴美の息臭は、ゆうべ琴美とセックスした彼氏も琴美のあえぎ声混じりに嗅いだ息臭と同じだ、というキモい連想を一瞬でしたからだ。ま、素人童貞の妄想なんてこんなもんだよ。


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