婚外恋愛 (1) / 番外編:美魔女グランプリ・前夜(募集要項)-3
「ん……! 入っちゃったね……えへへ……」
頬を紅潮させたゆきがはにかみ笑いすると、いまだ少女の面影が顔を覗かせる。かつて私を魅了した「ゆきちゃん」の天然の笑顔。しかしひとたび視線を下に向ければ、そこには幾度も中出しされ、汚らしく濡れた股間。精液でべとついた陰毛が生い茂り、グロテスクなまんこから淫臭を発する、可憐な「美少女」。背徳的なギャップは、男をさらに狂わせる。
Yのペニスが膣内で蠢くたびに「あっ……」「んん……!」と甘い声で答えるゆき。動きが止まると我慢できなくなったかのように、自らYにしがみつき下半身を押し付ける。押し付けながら身をかがませてYの乳首を口に含む。
妻が髪を耳にかけると、横顔が見えた。いたずらっぽい媚びた上目遣いで男の反応を伺っている。口元から可愛らしい舌を尖らせて、若い男の乳首をペロペロ舐め回している。もう片方の乳首は、白く細い指先で器用に転がしている。
「あれ? ふふふ……」
「なに、ゆきさん」
「また大っきくなってきた……?」
「今晩はいくらでもできそう」
「えぇ? もうやだぁ」
乳首を吸いながら嬉しそうに男を見上げるゆき。
「ゆきさんが可愛いすぎるせいです」
「職場のおばさんからかっちゃダメ」
「自分のことおばさんなんて言っちゃダメ」
「ぁん……! 中でピクッって動いた……うふふ」
「ゆきさんも動いて。職場のキレイなお姉さんの腰がいやらしく動くとこ、見せてください」
騎乗位で尻を動かしはじめるゆき。両手指で男の乳首をこりこり弄っている。「恥ずかしい」「見ないで」などと言いながらも腰の動きは止まらない。今よりひとまわり小さな胸が上下に揺れている。不思議な気分だった。当時の私は、妻の乳房がこんなふうに揺れるところを、一度たりとも見たことがなかったのだ。
「ねえ見て。精子が漏れ出てきた」
男女の絡み合った陰毛に付着した精液をYが指ですくい、ゆきに見せる。
「やぁん……もったいない」
くすりと笑い、男の指を咥え、粘ついた体液を吸い上げるゆき。
「ゆきさん、唇の端っこに精子がくっついてる」
「ゃだぁ……こっち……?」
「うん、そこ」
「取れた?」
「取れた」
「嘘。取れてないでしょう……?」
「なんでわかるの? そのままの方がいいです。しばらくそうしてて」
「もう……エッチ……」
ちょっと拗ねてみせて、次の瞬間には精一杯の可愛らしい笑顔を作るゆき。彼女の唇には、Yが言ったのとは反対側に、精液がこびりついていた。
辛い。何から何まであざとすぎる。こんな「美少女」にこんな態度をとられて夢中にならない男などこの世に存在しないだろう。この女には昔からこういうところがあった。私のことをそれだけ好いてくれているのだと、当時の私は無邪気に喜んでいた。ひょっとして本当に天然でやっているのでは? なんて可愛い女の子なんだろう、などと能天気に考えていた。
今こうして客観的に見るとはっきりわかる。この女はすべて分かってやっているのだ。人一倍の独占欲がそうさせるのか。とんだ小悪魔、とんだクソビッチ精液中出し便所妻である。
画面の中のゆきがYに抱きつき、耳元でささやいた。
「ねぇ、もっと出して……」
*
いったいゆきはどれだけの精をその身に注がれたのだろう。愛する妻が、私の知らぬところで知らぬ男に何度も何度も中出しされている。当時も毎日見せてくれていた、ゆきの屈託のない笑顔が浮かんでは消える。
きつかったのは挿入行為だけではない。妻は私とはしたことのないプレイの数々を当たり前のようにこなしていた。この女が元来、性に奔放な女であることが思い出され、胸が傷む。Yのペニスを愛おしそうにフェラチオする姿、シックスナインで互いの性器を舐め合う姿、男の乳首を指で舌で愛撫し全身にキスして奉仕する姿。夫との夫婦生活を拒否しセックスレスを続けていた妻の、裏の顔。
行為の合間には唇を重ね、愛を語る。鼻にかかった甘え声が聞こえるたびに胸が抉られる。私の大好きなゆきの女の声。
「満員電車で手を繋いでたとき、ずっとこうしてたいって思ってた」
手を繋ぎ、指を絡ませながら、深く、ゆったりしたセックスを楽しむ男女。
「電車が止まってラッキーって思っちゃった」
「駅で繋いだ手を離しちゃうとね、Yくんとの秘密の恋が終わっちゃうって思って寂しかった」
「でも手の甲にキスしてくれて嬉しかった」
動画の最後には、ゆきからYへのメッセージが収められていた。
「えーっと、コホン。Yくん、今日は一晩の思い出、ありがとう。こんな私でよかったのかな。ちょっと自信がないけど、Yくんがいっぱい喜んでくれたので、ゆきも嬉しかったです」
全裸で毛布をまとい、乱れた髪の毛を指先で少し気にする仕草をしている。久しぶりのセックスで少し疲れた人妻の表情がなんとも色っぽい。
幸せそうにビデオに語りかける妻。
「恥ずかしいこともいっぱいしちゃったけど、これを見てYくんがゆきのこと思い出してくれたらと思って、一生懸命頑張ったんだよ」
嫌だった?と質問するYに、「嫌じゃなかった……です」と、照れ笑いしながら答えるゆき。だよねというYに、恥ずかしそうに下を向き髪に手をやり「えへへ」と笑う。彼女が男に可愛いと思われたいときに見せる仕草に反吐が出る。
「大好きなYくん、ゆきもこの夜の思い出を、一生大切にして、心の中にしまっておきます。二人だけの秘密だね。会社でYくんの顔見たら思い出しちゃうかな。恥ずかしいね」
また照れ笑い。