そ、ソレじゃボクがパパ?-3
床に落ちた白濁液は結構な量だった。瑞華はそれをティッシュを手に取って拭き取る。そして、ここまでの射精ショーを見るに堪えず、真っ赤になった顔を背けていたみさきの方を見やった。
「このまま、あんたの中に突っ込んじゃおうかな」
瑞華はティッシュをみさきの秘裂の間近に突きつけ、邪に微笑みかけて言う。
「そ、そんな……やめてください……!」
みさきは恐怖に凍りついた。
つまり、彼女の子宮に茂正の精子を入れられる。そんなことをされて、もし妊娠でもしてしまったらどうしよう……。
日に日に大きくなってくるお腹、その腹に降り注ぐ同級生たちの好奇の眼と嘲笑。悲しむ父親、そして天国の母親。そんな光景がいやでも思い浮かんで、空恐ろしくなる。
まだ14歳なのに。中学生の妊娠なんて架空の話ぐらいにしか思えなかったのに、まさか彼女自身の身に起きるなんて。亡き母の思いを胸に自分のからだを大事にしていきたかったのに、こんな最悪なやり方で自身が母親にされてしまったら……。
瑞華も女だというのに、やろうとしていることは実質的に強姦以外の何ものでもない。
みさきの下半身全体ががくがくと震え、穢れを知らぬワレメも恐怖におののいていた。
「待ってくれ、それじゃ僕が……」
茂正も狼狽していた。もしかしたら自分がパパになりかねないのだ。それも童貞のままで(どうせなら自分で彼女に挿入したかったと、ここで少年は思っただろうか?)。
2人の様子を交互に眺め、その様子をしばらく楽しんでから、瑞華はティッシュをゴミ箱に放り捨てた。
「ま、それはやめとくけど」
本当に子供ができたら大騒ぎになって、追及が自分たちにも及んで危うくなるかもしれない。それぐらいは瑞華も考えている。ただ恐怖を煽ってみただけなのだが、それと本気とも区別がつかないのが、みさきの純真さだった。
「パパになれなくて残念だった?」
瑞華からこんな風に言われ、屈辱と恥ずかしさ、罪悪感に加えて、いまだ残る性的興奮で、なお息も荒い茂正。どうにか、すっかり委縮した自分のモノをズボンの内に収め、ゆっくりと立ち上がった。
「でもあんたにはこれ、一生の思い出かもね、ドーテイ君」
いくらなんでも男子中学生でそれを馬鹿にされたり恥じ入ったりする歳ではない。実はそう言う瑞華たちのなかに経験済みの娘なんて1人もいないから、茂正のことを言えた手前でもない。だがそんなことは知らない茂正には、同い年の瑞華らが、あたかも経験豊富なお姉さんのように映ってもおかしくなかっただろう。
これまでの間、茂正の見せた醜態は朝菜によっていくつもスマホで撮られていた。みさきの顔は映っていないが、彼女の胸や陰部に興奮しつつ見入る姿。ズボンのチャックを開けられてモノを飛び出させた姿、などだ。
朝菜はスマホの画面を繰って、そのありさまの数々を見せつける。
「今日のことは絶対に秘密よ。わかってるね」
こんなものを誰かに晒されたら、茂正も終わりだ。この出来事を口外することも、瑞華たちの悪行を告発することも、できようはずがなかった。
「黙ってさえいるなら、もうあんたになんか用はないから」
瑞華からすれば、茂正を弄るのも愉快だったとはいえ、彼はあくまでみさきを辱めるための道具でしかなかった。口さえ封じておけば、これから後の彼のことはどうでもよかった。
「まあ、これでおしまいね」
そう言われた茂正は、顔を真っ赤にしつつも、名残惜しさにもう一度みさきの裸身を見やる。スマホを持たない彼は、記念撮影ということもできない。その代わりに、彼女の姿をしっかり目に、脳裏に焼き付けておきたいという思いだった。
「それ、記念に持って帰る?」
剥ぎ取られ、床に打ち捨てられていたみさきのブラジャーとパンティの方に目を遣って、瑞華は茂正に訊く。
「そ、それはいいよ……」
茂正は震える声で答えた。持ち帰りたい気はあっただろうが、あいにく鞄は教室に置いたままこの部室まで連れられて来ていて、入れるものが無い。女の子の下着を手に持ったまま校内を歩いたらどんな目で見られるかを思うと、遠慮せざるを得ないのも当然だろう。「袋を貸して」などとも言い出せなかった。
「よかったじゃない。あんたもノーパンで帰ることにならなくて」
そう言って瑞華はみさきに奪っていた制服を投げ返し、公江に羽交い絞めを解かせた。みさきはおずおずと下着を拾い、身に着けはじめる。美少女の裸をまだ見ていたかった茂正は、それを制止したい衝動に駆られかけた。
「二人で一緒に帰ったら? もしかしたらパパとママになるかもしれなかったんだもん」
みさきが制服姿に戻ったのを見て、瑞華はからかいつつドアを開け、茂正ともども追いやるように部室の外へ出した。
こんなことがあっては、二人とも言葉を交わすどころか、互いの顔も見られたものではない。
「相生さん、ごめん!」
茂正の方が矢も楯もたまらなくなり、どぎまぎしながら一言を残すと、真っ赤な顔のまま一目散に駆け去っていく。なお恥ずかしさに震えるみさきは、自分の裸を目で辱めた男の姿が完全に見えなくなるまで、顔を背けながらしばらく立ち尽くしていた。
その日の晩、あまりの屈辱と罪悪感にもかかわらず、茂正はあの時見たみさきの裸身をありありと思い返しては、改めて独り遊びに耽ったこと。その後も自らを慰める際には、少年はいつもあの光景を思い浮かべていたこと。もう二度と口を利くこともできなくなったが、それでも教室でみさきの姿を目にしては、裸の姿が重なって見えて仕方が無かったこと。何度となく彼女のヌードが夢に出てきては、そのたびにパンツを汚してしまったことなどは、想像に難くあるまい。