初めての視姦-2
「は?」
「その…俺と…飯塚さんのしてるところを見たいって…」
(ーーああ。そういうこと……)
冴子には何となく合点が行った。
今まで頑なに悠斗のことをギリギリで拒んでいた佳織が、何故優斗とそういう関係になったか。
(多分、あたしとのこと門井くんが言ったか、察したのね……)
あの、すれ違った時の冴子を見る、じっとりとした切れ長の目つきを思い返す。
(他の人と寝てるって思ったら、いてもたってもいられなくなったわけだ。その一方で興奮しちゃったってところかな)
冴子は机から体を起こした。
「いいよ。一役買ってあげる。
その代わり、見られてるからって手抜かないからね。いつも通りにする。あたしと門井くんのエッチ見て、普通でいられるかしら、あの真面目そうな奥様は」
パンパン、と衣服をはたいて、冴子は乱れたそれを直しながら言った。
さらには、グイッと悠斗のネクタイを引っ張り、手繰り寄せて、悠斗の耳元で妖しく囁く。
「楽しみにしてる。きっと歳上のオネーサマに二言はないでしょうけど……他の女とーーしかもあたしと関係を続けていいって言ったこと後悔しても知らないんだから」
ゴールデンウィークに差し掛かる、四月の終わりの金曜日の昼だった。
その日は祝日で、冴子の最寄り駅で三人で待ち合わせをして、シティホテルに向かう。ホテルは、冴子が予約した。
「すみません、飯塚さん…ホテルの予約…」
「いえ、とんでもない。わざわざ最寄りまで来てくれてありがとう。そこ、休憩もあるしね。よく使うの。複数でも使いやすくて」
「ふ、複数…」
悠斗はどきまぎしながら答えた。
冴子は、白のVネックのカットソーに茶色の革のジャケット、膝丈までの紺のタイトなスカートに、ショートブーツという出で立ちである。
話をしながら、悠斗の視線がじっとりと胸元や臀部に向けられているのがわかった。
ホテルに着くと、佳織が会計を済ませる。
部屋はダブルベッドで、冴子にとってはいつも通りの、二人にとっては非日常な空間だっただろう。
「先にシャワー浴びてきます。佳織さん…でしたよね。
本当によろしいですか。やめてと言われても、途中でやめないですよ。やめるなら、今です」
駅からホテルまでの間、緊張からかほとんど話をしなかった佳織に、冴子は言い放った。
綺麗な女だーーと佳織を見て冴子は思った。