腐食していく二人-9
絶好の攻撃のチャンスに、噛む事すら出来ない……。
外れない手枷から手首を必死に引き抜こうとした。
絶対に当たらない蹴りを、何度も繰り出していた。
全く怯む気配すら無かったのに、大きな声で罵った。
今まで自分がしてきた事は、何もかも無意味だ。
何の用も足さない時だけは威勢よく、肝心な時には何も出来ない。
完全なる負け犬の遠吠え……不用意に脚に近づき始めた男共の顔やカメラに我慢がならず、明日香は蹴りを放った……全くの無駄……何も変わりはしない……。
『……分かってるんだよ明日香あ……このシチュエーションにドキドキしてんだろ?自慢の身体を満遍なく撮って貰えて、しかも色んなヤツらに観て貰えるんだあ……クククッ……明日香は最高だよ。最高のメスだ……』
「う…あ"ッ!?な、なにをッッ…!……ぷがああッ!?」
男がストッキングを捲って口元を出した瞬間、いきなり両手で頬を包んで唇を奪ってきた。
自在に動かせるはずの口は意思≠ゥら引き離さざるを得ず、分厚くて長い舌が侵入してくるのも、それが明日香の舌に絡みついてくるのも阻止出来ない。
「ぷあ"あ"ッ!やめ……ほむ"ぅ"ッ!?ぶぶぶぅ"ッ!」
長い《口姦》に曝される明日香の顔は、あちこちに強烈な嫌悪による歪みが起きていた。
瞳はひん剥かれたり固く閉ざされたり、眉毛もへの字になったり吊り上がったりと落ち着かない。
(とッ…斗真さんッッッ)
生臭い舌は明日香の口の中の全てを舐め回した。
絶望に震えていた歯の表も裏も、もちろん歯茎も忘れてはいなかった。
怯えきった舌への食害も容赦はなく、吐き出すのが間に合わぬほどに唾がドロドロと流し込まれもしていた。
『ヒヒヒッ!そうかあ〜、キスされたのが嬉しかったのかあ〜』
『心配しないで?染みが浮き出た瞬間からジワジワ拡がるまで全部撮ってあるからさあ』
「ッ………!」
もう終わった……。
男の指が秘肉を叩くと、絶対的な恥辱の水音が明日香の鼓膜へ届いてきた。
陶酔の境地へと誘われる昂りも、恍惚に浸る浮遊感すらも無かったのに、この身体は堕ちた……。
『すーちゃん見てたよねえ?彼氏が居る明日香先生だってああなった≠だ。すーちゃんは少しもオカシくなかったんだよお?』
『そういうコトだよ涼花ちゃん。これから毎日、朝から晩まで御主人様とイチャラブセックスしまくっちゃえよお』
「〜〜〜〜〜〜!」
ただポロポロと涙を溢すだけの涼花に、あの変質者は嬉しそうに纏わりついてキスの雨を降らせていた。
例え自分の身体の反応がどうであれ、涼花はまた凌辱されたに違いない。
だが、そのきっかけを作ったのは、間違いなく自分だ……。
『つーかよぉ、俺らに弄られて濡らしたってコトは、俺らのチンポが「欲しい」ってコトで間違いねえよなあ?』
『まさか「違う」とは言わねえだろ。こんなにグショ濡れにしたんだから』
股布に出来た染みは、前みごろとの繋ぎ目まで乗り越えて拡大していた。
鮮やかな青は局部のみを紺色に変え、そして明日香だけが放てる淫らな香りを漂わせていた。
それは斗真から貰った香水の香りと混じり合い、そして次第に打ち消していった。