初めての熟女AV-3
だが、まだこのDVDの続きを楽しみたかった。
ビールには、ほとんど口をつけておらず、温くなってしまっている。
アダルトビデオのストーリーそのものを楽しむなんて、悠斗には初めてだったかもしれない。
「ーーん」
カーテンの隙間から日が差し込んでいる。
枕元のスマートフォンで時刻を確認すると、昼の十二時前だった。
昨夜は、ほとんど早送りをせずじっくりとアダルトビデオを見たせいで、興奮のせいで寝付けず、ビールを何本か飲んだのだった。
まだ布団の中にいたかったが、さすがに空腹にはかなわず、トイレや歯磨きを済ませるとリビングへ向かう。
「悠斗、おはよう。お父さんは今日出かけてるよ。
昨日あんまり寝られなかった?ビールの缶、何本か捨ててあったから」
引き戸をあけて、真正面にあるダイニングテーブルの方を見ると、母親の向かいには佳織が座っている。
佳織は、白のタートルネックに茶色のチェック柄のタイトなロングスカートという出で立ちだった。
思わず悠斗は目を丸くした。
佳織は悠斗ににっこりと微笑んだ。
「あ…うん。昨日遅くまで起きてたら寝付けなくなっちゃって。おばさん、来てたんだね」
「悠斗、何てったっけ。あの小説ーーー」
「『谷田部実光(やたべさねみつ)の名推理』シリーズ」
佳織が悠斗の母親を遮って言う。
「そうそう!
あんたあれ、大学の時集めてなかった?本間さんが最近買ってみたら面白くてって。
悠斗が集めてたはずだから貸してあげるよって言っちゃったもんだからさ。来てくれたのよ。
ーーあたしちょっと買い物行かなきゃだから、本間さん、悠斗の部屋から取ってくれる?悠斗、戸締りよろしくね」
悠斗の母親はそう言って立ち上がると、本当に外に出ていってしまった。
せっかちな母親だ、悠斗はそう思ったが、謀らずも佳織と二人きりになったことを内心喜んでいる。
「俺の部屋、散らかってるけど…本棚、順番に並んでるから。適当に取ってくれるかな。最近のはないかもしれないけど」
「わぁ、ありがとう」
佳織の顔が、ぱぁっと明るくなる。
悠斗の部屋は、ドアを開けて正面が窓、右が本棚、左がベッドで真ん中にテーブルがある。
悠斗は部屋のカーテンを開ける。
しばらく掃除してなかったせいで埃っぽいが、仕方ない。
本を選ぶ佳織の後ろに少し離れて、悠斗は立っている。