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催眠権売買2
【SF 官能小説】

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体育教師佐竹先生-1

「ピッ」笛を短く鳴らすと、横一列に並んだ生徒が全力で走り出す陸上部。
私は、選手のタイムを見て、個別にフォームを注意する。
高校のグラウンドでは球技を使った部活が場所を広く使っているが、
陸上部も十分なスペースを与えられていた。
体育教師になったのは、高校時代に在籍していたレスリング部の先生の影響で、
部活を通して人生を語るような情熱のあつい人だった。
そんな先生を私は本気で尊敬して将来こんな教師になりたいと目指した職業だ。
希望どおり高校の体育教師になったものの、レスリング部には国体出の先生が顧問なので
私の出る幕がなく、陸上部の顧問になった。
陸上部が悪いわけではない、選択できる競技が沢山あり、高校で基礎の体を作れば
大学では大抵のスポーツに順応できるのが利点だ。
しかし、恩師のように情熱をぶつけるには女生徒がいると非常にやりづらい。
色々と社会的問題もあり、憧れていた熱い語らいが出来ないところが残念だ。
ゴール近くで笛を鳴らす私の横を1年男子が走り抜けた。
腕の振りや太ももの高さなど指導したあとで、スタート地点に並ぶ次の生徒を見る。
3人並んだ女子の真ん中に、西野七海が立っていた。
西野か・・・・・・
何年も教師を努めていたので当然ではあるが可愛い女生徒は沢山いた、発展途上の体で大人になりかけの顔
触ってみたいと思う事はあるけど所詮は田舎の高校、子供っぽい部分を見つけては、
私は大人の女性のほうが良いと自分に言い聞かせて、やましいことを考えないようにしていた。
だけど、彼女はダメだ。
どんな表情でも輝いていて胸や股など気を抜くと見てしまう。
教師でありながら、どうしようもなく彼女に恋していた。
笛の音で彼女は走り出し、指導したぶんフォームが美しくなると、さらに輝いていく。
あの細くて白い足や腕を触ってみたい。
おそらくこの学校で彼女に触れても問題にならないのは私だけだと思う。
しかし触ったら最後、毎日触らずにはいられなくなるだろう、そしたら変態教師に成り下がってしまう。
私は頭の中で”冷静”とゆう2文字を強く思い、誰にも分からないように指導していた。

しかしながら、西野の魅力に取り憑かれているのは私だけではない。
体育教師の部屋で年配の先生が「西野は桁違いに可愛いな〜」と話したが、
それに対して誰も反応が無かった。
私には分かる、教師としてそこで同調したら自分の思いをさらけ出しそうになるからだ。
それは触れてはいけない話題なのだ。その後同じ話をした者はいない。
でも学生達は自由だ、特に他校の生徒が西野を見にくるほど人気が目に見えて分かる。
陸上部も入部希望者が沢山増えたのも、西野効果なのだと思う、

それから幾月かたち私の想いなど微塵も感じさせないまま指導していると、
最近休みがちになった西野が練習終わり頃に「お話があります」と言って来たので、職員室で話すことにした。
誰もいない体育教師の部屋で待っていると、西野が制服に着替えて入ってきた。
「しつれいします」緊張しているのか無表情で近づいてくる。
「どうしたんだ?」と聞くが、おおよそ何を言うか分かる。
「先生、退部させてください」と深々と頭を下げた。
やっぱりだ
私は大きくため息をついて問いかけた。
「何故だ西野、タイムも伸びてきて楽しい時期だと思うんだけどな」
「家庭の事情です」辛い決断なのか西野の表情が固まっていて読めない。
「ご両親が反対しているのか?」
「はい」妙に無表情で人形に話しているみたいな気分になる。
「西野が続けたいなら、先生はご両親を説得する自信はあるぞ、ご両親に合わせてくれないか?」
目があった。
「……それはできません」
一瞬表情が崩れたような気がした。
「先生は西野の成長を見るのが楽しみなんだ、今は辞めるべきではないと思うぞ」
「せんせい……」
西野の目から大粒の涙が落ちて、
先程とは違い表情が出てきて、口がワナワナとなり泣きそうになる。
もう一押しすれば退部を下げてくれるかもしれない
そう思った時、西野はピタリと涙を止めると、目を大きくして回りを見て私に目が止まる。
「あれ?先生?」
と、まるで初めて見たような顔で私を見つめた。
表情の変化についていけない不思議な感じだけど、説得するしかない。
「やっぱり、退部は考え直さないか?」と言うと、
「え! 何です? この退部」と初めて見たように答えた。
「何って今、西野が言ってきたんだろ、大丈夫か?」
なにかおかしい
「私辞めませんよ、走るの好きなんだから……って、あれ?」
西野は後ろによろけて机に手をかけると、独り言のように
「うっそ……まただ」と言って、青ざめた顔でこちらに向き、
「先生変なんです、私、変な事たくさんあるんです。
 何日も記憶が無かったり、知らない部屋で目覚めたり」と鬼気迫る顔を近づけてきて突拍子のない事を言う
「ん? 何を言っているの?」
慌ててる西野の話を整理していたら、
入り口のドアのところから、
「へぇ〜これはすごいなぁ」と声が聞こえて来た。
いつのまにか男子生徒が立ってこちらを見ていた。
見覚えあるのに名前が出てこない。
その生徒は「西野は本当に陸上が好きなんだね」というと
西野は驚いて振り向いて「山本くん」と言う。
山本?、そうだ確かそんな名前だった。
西野は「先生、変になったのは隣のクラスの山本くんが話しかけてきてからです、彼が……」
私は西野とふたりで山本を見ると、彼は大きな声で何かを言った。
しかし不思議と何も聞こえない。
世界中が静かになり、彼の動作だけが目に焼き付いた。
何か歩きながら話しているけど、やはり聞こえない、
彼は西野の髪を掴み、激しく何かを言っているが、
西野に表情がなく、なぜか大事な事を言っているような気がするが、
彼を見てるとどうでも良いと思ってきた。
二人は、まるで音の消したテレビドラマを見ているようだ。
そして彼は私を向き何かを言っている。
聞こえないはずの声が心地よかった。


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