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催眠権売買2
【SF 官能小説】

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体育教師佐竹先生-2

ふと気づくと、私は壁に頭を着けて全力で走っていた。
前の壁が邪魔で先に進めないのだ、しかしいつ消えるか分からない壁に対して妥協することはできない。
教員とゆう立場上、負けるわけにはいかないのだ。
横で応援している男子生徒が何故か大笑いしていて、
私の姿が滑稽に見えるのだろうか?失礼なやつだ。
反対側を見ると西野が私と同じ格好で走っていた。
女子と走っているなら、なおさら負けるわけにはいかない。
とはいえ、なんで制服着ているんだ、スカートじゃ走りづらいだろうに、
しかし、彼女の気迫は圧倒的だ、壁が崩れるかもしれないので気が抜けない。
この真剣勝負、先に前へ出たほうが勝者になるはずだ。
この熱い戦いに勝利したら、私を見て笑っている男子生徒は必ず感動するだろう。
そう思い、壁にぶつかる膝が痛いが全力疾走で走り続けた。
「はい、終了〜」男子生徒の口からタイムオーバーの報告が上がる。
なんてことだ、陸上部の顧問ともありながら、ゴール出来ないとは情けない。
私と西野は息せき切ってその場にへたり込んだ。
「まさか、タイムどころかゴールにも着けないとは……」
それを聞いた山本は
「だろ、俺の言った通りだろ?」と言った。
横で疲れている西野は「でも、壁が邪魔して先にいけなかったし」
「それは言い訳だよ、それでもゴール出来ると言ったのは西野じゃないか」
山本の言うとおりだ。反論のしようがない。
「先生……」西野が助けを求める目で見てくるが、
「西野、私達の負けだよ、万が一にも負ける事などないと思っていたが、完敗だ」
「……そんな……」西野は悔しそうな顔で床を見つめている。
「じゃあ、陸上を辞める約束は守ってもらうよ西野」
そうだった負けたら陸上辞める約束だった、
勝った時は何だったか覚えていないけど、それはどうでも良い事だ。
「……いやです。」
「は?」
「いや、やっぱり陸上だけは続けたい」
「何いってんの?絶対に勝てる賭けに負けたのは西野だろ」
「でも、陸上だけは続けたい、そのためには何でもします」
山本に懇願する西野をみていると、こんな状況だけど、
陸上が好きな西野に少しうれしく思った。
「まったく、強情だよな、わかったよ」
「え、それじゃ」
「ああ、いいよ、陸上は続けていいよ」
「あ、ありがとう」
涙目でうれしそうな表情が美しい
山本は西野の肩に手を置いて
「その代わり1つ約束してくれ」
「うん、私でできることなら」と嬉しさのあまり答える西野に対し、
山本がまた一瞬何かを言っていたが聞こえなかった。
そして新しい約束に緊張が走る
「絶対に催眠を解いてはいけない、解けても自分で催眠状態になるんだ、いいね」
それを聞いた西野は目を丸くしてからフッと肩が下りて安堵のため息をつくと
「なんだ、そんな事でいいの?」と言った。
「そうだ、西野は意志が強いから自己暗示で上書きしてくれるだけでいいから、簡単だろ?」
「そんな簡単な事なら大丈夫だよ、ほんとにそんな事でいいの?」
「いいよ、催眠解けてパニックになると顧客からクレームが来るから大変だったんだよ、自己暗示は良いアイデアだろ」
「そうね、でも自己暗示ってどうすればいいの?」
「簡単だよ、言った事を反復すればいいのさ」
何か取り返しのつかない事を約束しているように思えるのは俺だけだろうか
でもさっき山本の言った意味が分からない。
「山本?」
「はい、なんでしょう先生?」
爽やかな顔を見せる山本に
「顧客って何?」と聞くと、
「ああ、それは後で」と答えた。


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