お満の特別稽古 準備編-1
第壱六ノ章【お満の特別稽古 準備編】
「お満、食したか」
竿之介を寝床に横たえた瓶之真は、いそいそと母屋に戻ると同時に、お満に声を掛けた。もちろん姿勢は勃起が目立たないように前屈みの姿勢だ。
瓶之真は余りにもウキウキしていたので、お満達の長屋の中が、精液と愛液でじっとりとした生臭さが充満していた事にも気付かなかったほどだ。
「あい、馳走に相成りました」
お満は手を合わせてから、片づけをし始めた。そんなお満を瓶之真は制した。
「片づけなどはせずともよい。それよりもそなたは湯殿に行って、少し汗を流して参れ」
「えっ!湯殿?お風呂でございまするか」
今から稽古をしようというのにお満は驚いた。
「そうじゃ、今からの稽古は心身ともに清めなくてはならぬ。師の命であるから早く入って参れ」
「あい…」
確かに今日は、竿之介の愛撫や、自慰行為で股間は愛液で汚れていた。このままでは神聖な稽古に支障が出るかもしれない。お満は師の命に素直に従い、母屋の裏にある湯殿に向かった。
幾度もの大火事を経験した江戸町の家屋には一般的に内湯がない。しかし、無駄に広い道場の敷地と、水の悪い江戸にしては珍しく井戸の水も豊富なので、過去に多くの門弟が利用していたであろう広い湯殿があった。
全裸になったお満は、木桶で湯を掬い、それを愛液で汚れた股間に掛けて割れ目を擦った。
「はあうううん」
その刺激だけで、赤玉を採り入れて体質が淫らに変化した女体は、のけ反ってしまうほどの快感をお満に与え、湯で綺麗にしたはずの割れ目が新たに湧き出た愛液で汚れた。
お満は擦る事を諦めて、数回股間に向かってお湯を掛けてから湯殿に浸かった。
「はあぁ、生き返るぅ〜」
父親の逐電騒ぎ以降、こんなにゆったりとした気分は久しぶりだった。
しかし、お満は弛緩しかけた気を直ぐに引き締めた。
「駄目よお満、ゆっくりとしてられないのよ。お家再興のために寛いではいられないんだから」
そう自分に言い聞かせたお満は、湯殿から出ると敏感な部分に極力刺激を与えないように女体を拭いた。
乳首と股間は擦らずに手ぬぐいを押し当てて水気を吸い取った。しかし、割れ目に押し当てる度に、その刺激で水気が溢れてくるからキリが無かったので途中で諦めた。
胸にサラシを巻き、その上に稽古着を着たお満は師匠の待つ道場へと足を運んだ。 性格的に緊張する事はない。お満は道場の引き戸を開けると元気よく挨拶をした。
「せんせー、お待たせしました!」
お満の声が道場に反響しても、瓶之真は微動だにもせず、神棚の前に正座をして黙とうしていた。
黙とうの邪魔をしてはいけない事くらいはお満にもわかった。手持無沙汰のお満は改めて夜の道場をキョロキョロと見渡した。門下の居ない道場の中は昼間と違った凛とした空気が満ちていた。何故か蝋燭と行燈の灯りがアチコチに灯されていて、道場内を煌々と照らしていた。
(お満一人のお稽古のために…)
貧乏道場のはずなのに、高価な灯りを用意してくれていることにお満は感激した。
そんなお満の感激を他所に、瓶之真はお満に背中を向けたまましばらく黙祷を続けていた。
瓶之真は道場主らしく、お満が来る前から神棚の前に座って構えていたのだが、しばらくは全く落ち着かずソワソワと腰を上げては入り口を振り返るを何度も繰り返していたのだ。
「やあん、ドキドキが治まらないわ〜」
思わずオネエ言葉が出てくるほど、瓶之真は舞い上がっていた。
「い、いかん。落ち着け…落ち着け…我は剣者なり…」
師たる者に威厳が無ければ、お満は自分の指導に疑問を持つだろう。そうなればお満を思うように操れない。瓶之真は逸る心を落ち着かせるために、いつもしているように、厳しかった修行を思い出すことにした。