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秘剣露時雨秘裂返しのお満
【コメディ 官能小説】

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お満の特別稽古 準備編-2

野山を駆け巡り、崖を飛び越え、荒海を泳いだ。真冬の海で精魂尽き果て海底に沈んだこともあったが、激しい波が幸いし、浜辺に打ち上げられて九死に一生を得たこともあった。

季節を問わず野宿が定宿、寺の軒下に寝起きできればその幸運に感謝した。

名を上げるに連れて現れる強敵達と刃を交えた。時には野生の獣、またはこの世の者ざらぬ魑魅魍魎との連戦に次ぐ連戦。瓶之真はそれら強敵の尽くを退けてきた。

幾多の命のやり取りを経た瓶之真にとっては、極限状態こそが日常。平常心を欠いた時には、過去の修羅場に思いを寄せれば、その心は不思議と落ち着いた。

今もそれで効を得たのか、瓶之真のソワソワと浮ついた心が徐々に鎮まってきた。

(我は道場の主、我が門下達の規範なり)

機を観ることに敏なる勝負師は、更に自身が師であることを自覚することで、心をどっしりと落ち着かせるまでに至った。

こうなればもう大丈夫だ。瓶之真は大きく息を吸い込むと、肺腑に溜まった息をゆっくりと吐き出した。

ふうぅぅぅ…

(我は明鏡止水の境地を得たり)

もうお満が入ってきても心はざわつかず、数拍待つ余裕と師たる威厳が備わっていた。

「よしっ!」

気合いの籠った瓶之真がスックと立ち上がると、お満に振り返った。瓶之真の発する気合いが小柄なお満を飲み込んだ。

「ひっ…」

圧倒的な威厳の後光を纏う師の姿を前にして、呑気なお満もさすがに気圧されて、恐れおののいた。

「ひぃぃ〜」

萎縮して怯む弟子に向かって師は威厳を込めて言った。

「オ、オ満、キタカーッ!」

ひっくり返って3音階ほど高くなったこの言葉には残念ながら威厳の片鱗も無かった。

突然の師の甲高い声に、吃驚したお満は可愛い目をパチクリさせた。

(し、しまった…)

失敗に追い討ちを掛けるように、瓶之真の鼻からタラリと鼻血が垂れてきた。

無理もない、何せ久し振りの生の女体だし、素人女は初めてなのだ。ましてや飛びきりの美少女なので、気合いを入れ過ぎた瓶之真が鼻血を垂らすのも仕方がないことだった。

「ぷはっ!鼻血垂らして『オ、オ満、キタカ−』だって〜、きゃははは」

裏表の無いお満は思ったことを口にして爆笑した。

「うっ…」

瓶之真は自身の顔が、鼻血に負けないくらい真っ赤になっていくのを自覚した。

「きゃははは、いったいナニ人やねん、きゃははは」

さすがにこれには瓶之真もキレた。

「ワ、笑ウデ無イ!」

悲しいことにその瓶之真の怒鳴り声も、更に高い音階となって広い道場にこだました。

「ヒーッ!どこから声出しとんねん、ウケる〜、ヒャハハハー」

こうして瓶之真の計画、【お満が抵抗し辛いように『師匠の威厳』を醸しながら卑猥な指導をする】が初っぱなで頓挫した。

腹を抱えて笑いこけるお満を前に威厳も何もあったんもんじゃない。瓶之真は頬をピクピクと震わせながら固まるしかなかった。

(くくくっ、所詮高嶺の花であったか…)

幾度も修羅場をくぐり抜けたからと言って、女性経験の浅い瓶之真にこの苦境を挽回する術は思い付かなかった。 敗北を覚った瓶之真は、ガックリと項垂れて膝を付いた。

しかし、このままでは物語は進まないし、享保の世を震撼した秘剣も誕生しない。話は都合よく続いていく。 


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