大帝国重工総帥-3
「かぁさん三太です」
「入って下さい」
上品な美人の女性が三太の母親、袋小路紀香だ。典子に似た雰囲気に少し凛とした感じがプラスされる女性だ。
総帥が前妻を亡くして、直ぐに嫁として迎えたのが紀香だ、紀香は直ぐに妊娠して、三太を生んだ、
後妻と言う事で、前妻の子供たち3人を立派に育てる事に、一生懸命で三太の扱いに少し
手抜きだったと言う、後悔を抱えている、その穴埋めをする意味で、三太は西条の家で麗子と遊ばせ、典子に世話を頼んでいたのだ。
紀香は典子の3歳年上の実姉だ。美人姉妹の二人は、姉は袋小路へ妹は西条へ嫁いだ形だ。
三太が典子を追いかけるのは、母親の面影を典子に見るからだろう。
「麗子さんと結婚されたと聞きました」
「ハイかぁさんその通りです(笑)」
「私は典子に世話を頼むとばかり、思っていましたが間違いでしたか？」
「かぁさんもそう思われていたのですか？」
「あなたは典子が大好きで男なら典子を迎えて、面倒みると思っていましたよ」
「オヤジもかぁさんも気になるのはそこなんですね(笑)」
「ええ真っすぐで、信念を曲げない男が、娘の麗子と結婚と聞けば不安になります」
「それはかぁさんにも心配かけましたね(笑)」
「私にも説明して下さい」
三太は麗子のお願いで、対外的な立場は、夫婦となり、実際は典子に世話されている事を
細かく説明した。
「今の話を聞いたら安心しました(笑)」
紀香が初めて、笑顔を見せた、典子に似た嬉しそうな笑顔だった。
「総帥からは、三太の嫁は典子だから、心配はないと言われていたのですが、本人に
確認するまでは、不安でした(笑)」
「そうでしたか(笑)」
「かぁさんが心配する事は、何もないと思いますが、ご心配なら明日、典子と直接お話しください」
「典子が来るんですか？(笑)」
「ええオヤジと仕事の話で来ます」
「それなら後は、明日詳しく本人から聞きましょう(笑)」
「それが良いですかぁさん(笑)」
「今日はこちらに泊るのですか？」
「明日典子と泊りますかね(笑)」
「そうですか、使用人たちもあなたに会いたがっていましたから(笑)」
「なら明日はパーティーでもしますか(笑)」
「そうですね(笑)あなたが居ると、イベントがココの家は増えます(笑)」
「みんなが楽しいのは平和ですよ(笑)」
「ありがとう三太(笑)」
紀香も総帥と同じで、三太の前では、笑顔が絶えない。
「それでは僕は、引き上げます、また明日かぁさん」
「判りました、いってらっしゃい」
「行ってきます」
三太は頭を下げ、部屋を後にした。
三太が西条の屋敷に戻ると、典子と信子が少し険しい顔で、ソファーに座って待っていた。
「ただいま(笑)」
「お早いお帰りでしたね、お泊りになるかと思いましたよ」
「あれ？二人共ご機嫌斜めですね(笑)」
「説明を聞かないと理解できない事が起こりましたので・・」
典子が言った。
「何の事でしょう？」
秘書の三上さんから私にお問い合わせが来て、三太さまの直属の部下は何人ですか？と
詳しく尋ねられたので、困りました。
「それは典子が話を了解しているものとして話したからですね(笑)」
「私は何も聞いていません」
「そんなに怒る話では無いですよ(笑)」
「オヤジがおもちゃをプレゼントしてくれたのです(笑)」
「玩具のプレゼント？」
「ハイ、その説明をする前に、麗子との結婚はフェイクだとオヤジにはバレていました」
「総帥は内情を理解していると？」
「そうです(笑)典子が嫁じゃないのは可笑しいと言っていました、かぁさんも・・・(笑)」
「その確認がしたくて、私を呼んだようです(笑)」
「そうですか(笑)二人には通じませんね」
「それでプレゼントの話です(笑)」
「典子を嫁にもらうのなら、重工と西条出資の会社を1つやると言う話になってもらいました」
「三太さまが社長として就くという事ですね(笑)」
「まぁ〜その会社を重工に並ぶ企業に育てると言う、オヤジの出した卒業試験ですけどね
(笑)」
「それで部下をそちらに移動させる話で問い合わせですか？」
「ですね(笑)」
「戦略企画室のメンバーを連れて行くという事ですね」
「ええ典子と信子もです(笑)」
信子は、子供におもちゃのプレゼントと言ったら、金持ちなら車や腕時計など装飾品なら
驚かないが、
会社を与え、その成長を観るとは・・・総帥とは少しスケールが違うと思った。
「明日はその話を含めて、典子と信子も袋小路に一緒に行ってもらいますから(笑)」
「私たちも実家に行くのですか？」
「典子とはオヤジもかぁさんも会うのを楽しみにしています(笑)」
「信子は私の秘書として紹介したいですから、三上にも(笑)」
二人は先程とは別に心、穏やかでは、なくなっていた。