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夏ときみ
【元彼 官能小説】

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夏ときみ-4

事後、妙に気まずい雰囲気の中に居づらさをひしと感じた瑠花は、性交の余韻もそこそこに体液を拭い乱れた衣服を直した。無言で作業を進め、じゃあ、と言って部屋を出た。彼は何も言わずに彼女の背中を見送った。下半身のだるさに歩くのが億劫になり、バスを使って帰った。放心状態のまま車内の揺れに身を任せていた。思うことは沢山あった。しかしそれよりも今は何も考えたくなかった。家に着いた彼女は着替えも持たずに風呂場に直行した。音消しにシャワーを出したまま彼女は膣内に残された精液を必死で掻き出した。妊娠することは無いと分かっていても、あの人以外の遺伝子が胎内にあるのが気持ち悪かったのかもしれない。出血しているのにも関わらずとにかく無心でひりつく膣内を指で掻き回した。目からは涙が自然と溢れていた。1時間程後、やっと風呂場から出た彼女はバスタオルを巻いてよたよたと自室へ戻った。光るケータイを見れば彼からの不在着信で埋まっていた。

「……もしもし」
「あ!やっと出た。その、大丈夫?」

返事もせず通話を切る。そのまま着信拒否をして連絡先を消した。しばらく指を迷わせたあと、ついでにあの人の連絡先も。何だか少しすっきりしたような気がした。
寂しいからって男に縋るのはやめよう。瑠花は強く思った。罪悪感に負けてしまう。もうあの人のことで泣くのもやめよう。ほんとに瑠花のことを愛してくれる人にだけ体を許そう。
食べ物に当たったときや失敗して恥をかいたとき、もう二度とこんなことしない!と思うのにとても良く似ているな、とどこか諦めたように思った。私は馬鹿だからまた同じことを繰り返しては風呂場で泣くんだろう。呆れたように笑って彼女は眠りについた。目が覚めたら少しだけ強い私になっていることを願って。






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