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the goddess of victory
【青春 恋愛小説】

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the goddess of victory-3

授業が終わり放課後、みんな各々に散っていく。
「じゃあ行ってくるわ」
「うん、また後でね」
俺は部活バックを肩に掛け、頼と図書室の前で別れる。
今週は頼が図書室当番なこともあり少し教室で待たせて、部活後一緒に帰っている。
けれど来週からはどうなるのだろう。
二人きりで過ごせる唯一の帰宅時間はなくなってしまうのか。
ああ、こんなことで不安になるなんて。
それだけ頼への気持ちが強くなっているんだと実感させられる。
今まで何度か告白された事はあったし、その中から付き合った子もいた。
けれど自分には陸上が一番なこともあったし、そこまで相手に気持ちが高ぶらなかった。
しまいには告白されたのに振られていた。
もちろん告白した方は俺のことを好きなってくれたから想いを告げて来たわけで。
俺も相手にこんな気持ちにさせていたのかなと今頃になってわかった。
敏弥は頼が誰構わず付き合うような子じゃないと言ってくれた。
俺だってそう思う。
でも今付き合って変わったことといったら一緒に帰る時間が出来たくらいで。
来週はどうなるかわからない。
「大山、ボケッとするな大会は明後日だぞ」
先生の声に俺は気持ちを切り替える。
そうだ悩んでも始まらない。
頼を信じよう、そして大会が落ち着いたらデートしたりもっと二人の時間を作ればいいじゃないか。
まずは大会で記録を出して女神に答えなくては。
俺は走りに集中した。

「お疲れ様。今日も軽々と跳んでたね」
「大会は明後日だぜ、まかせなさい」
帰り道を頼と並んで歩く。
明日は土曜で学校は休みだから頼と居れる時間はほぼない。
「明日は何時に終わるの」
「いつもよりは早いよ。準備もあるし四時位かな」
「わかった。終わったら教えて、公園で待ってるから」
「了解」
あっと言う間に頼の家につく。
ああ、やっぱりこの時間は短すぎるよ。
「祐輔」
頼が俺の名前を呼んで顔を近付けてくる。
次の瞬間、唇に柔らかいものが触れた。
「そんな顔しないで、今は大会に集中よ。明日も頑張ってね」
そういうと頼は家の中へ入っていった。
俺はあまりの突然なことに暫くその場に立ち尽くしていた。
頬にキスされたことはあったけど唇に頼からキスをくれたのは初めてだった。
「失礼します」
大会はいよいよ明日に迫った。
俺は先生に頼まれて用具室の鍵を職員室に取りにきた。
今朝頼からメールが入って無理しないでね、夕方待ってるからと書いてあった。
それをみただけでテンションが上がったのは言うまでもない。
「大山君」
担任の先生が声をかけてきた。
「いよいよ明日だね、暑さに負けずにしっかりね」
「ありがとうございます」
俺は頭を下げた。
すると先生は隣にやって来て
「彼女もいるし、心強いね」
と小声で耳元で話す。
「お似合いだもの貴方達」
先生知ってたのか、女は怖いな。
「昨日、白石さん図書室で料理の本みてたな。週末は自分が料理するんですって言ってたっけ」
先生はそう言いながら職員室を出ていった。
頼が週末家事を手伝うことはなんとなく知っていた。
今頃何しているんだろう。
大会がなかったらきっとデートとか出来たんだろうな。
いけない。
今は雑念を捨てて明日のために走らなければ。


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