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the goddess of victory
【青春 恋愛小説】

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the goddess of victory-4

まだ梅雨明けしていないけれど空は青く澄んでいる。
明日の天気も晴れだからグランドの状態もいいに違いない。
「大山、今日はあまり走り込まなくてもいいから。自分の体と相談しながら練習しろ」
「はい」
軽いウォーミングアップのためにグランドを走る。
受ける風が気持いい。
とてもいい感じだ。
それから休憩を挟みながら何本か走ってタイムを確認する。
この調子でいけばいい記録がでそうだ。
頼も観に来てくれるしかっこいいところを見せたい。
そして全国へ連れていってやりたい。
全国大会は夏休みにあるが、頼は来てくれるだろうか。

「よし明日は気合いを入れていこう。今日はここまで」
「ありがとうございました」
練習が終わり頼にメールする。
俺は急いで明日必要なものをバックに詰め込み学校を出る。
待ち合わせは頼の家の近くの公園だ。
子ども達の声が聞こえてくる。
入り口で一度立ち止まり頼を探す。
木の陰になっているベンチに座っている。
白い半袖のポロシャツとデニムのスカート身に纏う。
私服の頼を見るのは初めてで少し緊張する。
「お疲れ様、明日はいい走りができそう?」
「当たり前だろ、俺を誰だと思ってるんだよ」
「ただの陸上バカ」
「おいおい」
頼の隣を見ると大きなスーパーの袋があった。
「友達と遊んで夕飯の買い物してきたの。チョット買いすぎたかな」
「そっか、じゃああまり時間とらせたら悪いな」
「ううん、まだ平気よ」
俺は頼の隣に座り手を握った。
頼も握り返してくれる。
そのまま今度は彼女の肩に頭を乗せた。
「少しいいか」
「うん」
頼は嫌な顔せず肩を貸してくれた。
目を閉じる。
「明日、観てるからね」
「ああ」
「祐輔らしい走りをしてね」
そういうと頼は俺の頭を優しく撫でた。

目覚ましが時間を知らせる。
俺はカーテンを開けた。
予想通り空は見事な快晴で陽の光が眩しいくらいだ。
顔を洗いにいこうと立ち上がると携帯がなった。
メールだ、こんな朝早くから誰だろうと思いながら発信者の名前をみて慌てて開く。
「渡したいものがあるの。公園に来れる?」
一体なんだろう。
集合時間には余裕で間に合う時間に起きたので、少しだけなら問題ないだろう。
俺は二十分後に行くとメールをして急いで準備をした。
会場の運動場が近くなので自転車で行くことにする。
まさか朝一に頼と会えるなんて思ってもみなかったので嬉しい。
今日は会場で頼の顔さえ見れればいいと思っていたから。
公園が近付いてくるとちょうど頼が向かい側から歩いてくるのが見えた。
「おはよう、ごめんね忙しいのに」
「おはよう、早くにどうした」
「これを渡したかったの」
頼が紙袋から巾着袋を取り出して俺に渡す。
マジかよ……
「好みがよくわからないから口に合うか分からないけど、一生懸命作ったのよ」
ちゃんと作ってくれていたなんて、しかもこんなに朝早くから。
やべ、嬉しすぎて泣きそうだ。


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