少・女・解・剖-3
ここまでくれば、次に何をされるかは、いかに純真な恵理子でも予感できる。その予感を裏付けるように、沼口はあるものを取りだした。
「これからおとなしく言うことを聞いてれば、これだけは着けておいてやるよ」
恵理子の眼前に突き付けられたのはゴムだ。沼口はそれをブラブラと振りながら、宣告する。
「けど、変に逆らったら着けずに犯す。もちろん中で出す。どうなるかわかってるな」
いたって性知識の乏しい清純な少女にも、それが何を意味するかぐらいは理解できた。優等生らしく、学校の性教育の授業も恥ずかしがりながらも真面目に聞いていたから、避妊の何たるやは知っている。でも、実際にそんなことが問題になるのはずっと先、大人になってからだと思っていた。
身体的な発育はやや奥手ぎみの恵理子も、初潮はとっくに経験している。小学6年生の冬だった。中学生のからだで、女性はもう妊娠できることだって彼女も承知している。TVドラマでそういうストーリーを観たこともあった。でも恵理子はそんなことが起こるのはせいぜいフィクションの世界ぐらいだろうと思っていた。ましてや、それを自分が本気で心配する必要があるなんて今まで想像すらしていなかった。
もし避妊しない沼口に犯されて、赤ちゃんができてしまったら。
恥ずかしくて誰にも言えずにいるうちに、みるみる沼口の子供を身ごもったお腹がふくらんでくる。やがて同級生たちもなんとなく気づいてひそひそと噂するようになり、体育の着替えの時にでも、ついにバレてしまう。クラスの女子たちには嘲笑され、男子たちの好奇心の的になる。先生からは叱責され、近所中で爪弾きにされ、今まで大事に育ててくれた両親は悲しみ絶望する……そんな忌まわしい光景がいやでも心に浮かんできてしまう。
「その歳でママになりたいんじゃなければ、おとなしく従うんだな」
妊娠への恐怖は、少女に抵抗する気持ちをついに完全に失わせた。