平来良 平九郎物語 続々編 毎日お姫様抱っこ-2
「奥様一年経ちましたね。お姫様抱っこも明日でひとまず終わり。」
「親方帰りました。」
「そうか、回しを付けて先輩と取ってみろ」
「はけあい、のこった。」「あれ、押し切った、あの負け越しが」
「お前いつの間にか強くなったな。」
「親方有難うございました。親方の御蔭で勝つことが出来ました」
「実はな、一年前は内心辞めてもらおうかなと思っていたんだよ。丁度その時、利根川製薬の会長さんが見えて、お姫様抱っこの話が来たので、もしかしたら、お前の好きなお姫様抱っこを毎日したら、うまくゆくかも知れないと、掛けてみたんだよ。もう辞めなくても良くなった。そんなに泣かなくてもいいよ、利根川会長さんに感謝しなさい。」
「浅の海さん、噂に聞くと押しの一手で相撲のブルトーザと言われる位になったそうね。ホテルから帰っても、お姫様抱っこやってくれたから強くなれたのよ。もっとやってね、それと、押しの一棒で沢山入れて貰ったのも良かった。お姫様抱っこで優しく触って貰ったのもね」
「僕今日は負けちゃった、悔しい」
「いいのよ、負ける時はまけるのよ、無理して勝つ気一心で骨でも折ってごらん。休場したり格下げされたら、本当の負けですよ。あの徳川家康ですら、何度も負けて逃げて落武者になったのですよ。無理に戦うより負けて逃げて命を大切にしたのよ。だから幾度も再挑戦して、最後には日本を統一したのよ。負けてもいいの、勝負の世界は敗者に屈辱を授けるようになっているの。意地の悪い下心のやつがいて、普段は勝った時には手を添えて起こしてくれるかも知れませんが、叶わないと思ったら、嫉妬心が起き上がり、骨を折る技術を使うかも知れないのよ、その時は負けて離れるのよ。相撲だから、相手の骨を折っても犯罪にはならないから、余程注意して組まないと恐ろしいから、心の奥の嫉妬心には
注意しないと、取り返しの付かない負傷があるの。今日はお負けで良かったのよ。何年ぶりかで奇跡的に大関復帰もいたでしょう。その方ももしかして、力士的に致命傷を負わせて勝てないようにしてやると、呪われたかも分からないのよ。皆、本心は隠しているから真相は出て来ないのよ。出てくるのは、負傷させて休場させることなの。」
「奥様、負けた辛い気持ちが楽になりました。負ける事は勝つためにあるように思います。」
「もし、貴方が負傷して、骨折で当木でもしたら、あたしも太いのが来ない我慢が嫌なの。元気で入ってきて欲しいの。」
「浅の海のお母様、こんにちは、平来良です。」
「どうぞお上がり下さい。お待ちしておりました。よく来られました。」
「失礼させて上がらせて頂きます。」
「赤ちゃん可愛くなりましたね。」
「貴女のお孫さんですよ。抱いてみて下さい。」
「ホイホイ、よしよし、泣かなくてもいいのよ。おばあちゃんですよ。初めて抱っこは怖いのね。お母さんにお返しします、時々来てね。怖くなくなったら、抱っこしましょうね。」
「おばあちゃんお若いですね。失礼ですが御幾つですか？」
「40歳ですよ。」「あたしと同い年だわ。」
「浅の海よろしくお願い致します。あれは相撲取りのくせに力ずくで、性犯罪したのよ。警察に付き添って出頭したの。相手のご両親は、厳罰にするよう警察に直訴したの。帰ってから主人が、大学の同僚で助教授で運悪く奥様を亡くされた方が居られるので聞いてみたら、自分は初婚でもないし、相手が姦通される位のいい女性ならということで、被害者に陳謝に出向き、助教授の顔写真を見せたら、ＯＫになって結婚しました。お礼に起訴は取り下げてもらいました。いい後妻幸運ですと言われました。元被害者からも、大学教授の嫁になれるとは思いませんでした。と感謝されましたよ。お子様も出来て、可愛いくて子育てが楽しいと言っていました。あれは性欲が強く、再犯したら大学教授の親の顔に泥を塗り打つ手もないと思っていました。平来良さん、息子の性欲を処理して頂き、孫まで産んで頂き大変有難いです。これで息子もお蔭様で性犯罪しなくて、常人で世間を渡る事が出来ます。奥様とは同い年ですが、貴女の体無くしては常人ではいられない息子ですから、今後もよろしくお願い致します。これで主人も安心して、国から託された50億ｋｍも先の宇宙ロケット制御と通信や画像転送の大学の研究課題に協力業者と共に挑戦出来、好成果を報告出来ると思います。」