リモート夫婦の愛情生活 -4
4. オフ会
Zoomのデートが続いた。鉄太郎は精液を抜くことで欲求不満の高まりはある程度落ち着くが、亜矢子のストレスは益々高まった。いくらオナニーをしても、鉄太郎のモノが入るわけでなく、精液が膣を潤すわけでもない。画像からは、鉄太郎の体臭を嗅ぎ取ることも出来ない。
「やっぱり、鉄太郎さんが欲しい」
鉄太郎には、日増しに高まる亜矢子の満たされない想いがひしひしと感じられた。
「亜矢子さん、オフ会やろうか。コロナも少し収まって、外出自粛もゆるくなってきたよ」
「ええ、ぜひお願いよ。このままだと頭がおかしくなりそうなの、鉄太郎さん、一度私の家に、夕食に来て下さらない。お寺さんに女が出入りするのは、世間体が良くないでしょう。私の家なら、マンションだから誰が出入りしても誰も気にしないわ」
花見季節が終わって、新緑が初夏の日にきらきらと眩いばかりに輝く。隅田公園を見下ろす大川べりのマンションの地下駐車場に、鉄太郎はスカイラインGTを停めて、亜矢子から聞いていた三階にエレベーターで昇った。
「いらっしゃい」
気配を察したのか、鉄太郎がドアを開けると亜矢子が両手を広げて出迎えた。鉄太郎は、持参したバラの花束と箱入り吟醸酒を渡した。
「あら嬉しい、赤いバラね。花言葉は愛」
「月並みで申し訳ないが、他に思いつかなくてね」
「分かりやすくていいわ、ありがとう」
「すぐ、お風呂にお入りになって、体ごとそっくりコロナ払いをしてくださいな」亜矢子は有無を言わさず、鉄太郎を風呂場に案内した。
脱衣場でバスケットに汗ばんだ下着を放り込むと、風呂場のドアを開けた。仄かに木の香りがする。窓下に沿って、檜作りの湯舟がでんと収まっている。
掛け湯もそこそこに、首から上を残して、どっぷりと湯に身体を沈める。
「お背中、流しましょう」亜矢子の声に振り向くと、裸身の前をタオルで隠した亜矢子が立っていた。
「檜の風呂に、美女の三助さんか、こんな贅沢じゃおチンチンが恐縮して首を引っ込めちまうよ」「まあ、それは困りますわ・・・これからというのに・・」